【詐欺ニュースまとめ 9/23】90代男性から6000万円、台湾籍の2人を逮捕 沼津2500万・富山2080万と“ニセ警察”の大口被害が続く
9/23は20件超の詐欺が報じられた。岐阜の90代男性から6000万円を奪った疑いで台湾籍の2人が逮捕。沼津2500万円、富山2080万円とニセ警察の大口被害が続き、長野・北海道・福島の集計も出そろった。
1. 観光目的で入国、受け子と回収役 90代男性の6000万円で台湾籍の2人逮捕
岐阜県警が2人を捕まえた。台湾籍のリン・チイ容疑者(27)は詐欺の疑い。チェン・ジンチ容疑者(25)は組織犯罪処罰法違反の疑いだ。狙われたのは岐阜県の90代の男性。今年7月、警察官を装った電話が入る。「暴力団がらみで逮捕状が出ている」。そして「資金洗浄の件で6000万円を用意しろ」。男性は言われるまま現金を渡し、6000万円を失った疑いがある。警察の見立てでは、リン容疑者が現金を受け取る「受け子」、チェン容疑者が金を集める「回収役」。2人は観光目的で日本に入り、闇バイト組織の一員として動いていたとみられる。山形県で起きた同じような詐欺にも関わったとして、警察は調べを進めている。認否は明らかにされていない。観光客の顔をして入国し、高齢者の金を運ぶ。奴らの手足は国境を越えてやってくる。
2. 「110」を押したはずが大分県警へ 沼津の50代会社員が4回の振り込みで2500万円
始まりは8月下旬。静岡・沼津市の50代の会社員の携帯に、「+」で始まる番号から着信があった。名乗ったのはクレジットカードの債権管理会社。「大分県内で、あなた名義のカードが作られている」。覚えがないなら被害届を出すか、この電話を警察へ回すという。男性がダイヤルで110を押す。つながった先は「大分県警捜査二課」。ここが罠だった。“警察官”は言う。あなたに犯罪の疑いがかかっている。晴らすには現金を送る必要がある、と。誘導されたのはアプリ「Teams」。そこで指示が飛び、法人名のような別々の口座へ4回に分けて振り込んだ。合計およそ2500万円。アプリの操作がうまくいかず、おかしいと感じた男性は23日に警察へ相談し、被害が明らかになった。電話の途中で押す110は、本物の110ではない。
3. 「逮捕状も出ている」から9か月 富山の50代女性、新しく作った口座から2080万円
富山南署が23日に発表した。富山市の50代の女性が、ニセ警察詐欺で2080万円を奪われた。電話が鳴ったのは去年12月。通信事業者を名乗る者が「あなたの電話が詐欺に使われている。愛知県警に連絡を」。次に出てきた“愛知県警の警察官”はこう告げた。詐欺事件の犯人として、あなたに捜査が及んでいる。逮捕状まで出ている、と。女性は指示どおりに送金用の口座を新しく開き、「資金調査」の名目で振り込みを重ねた。TBS系の報道では、無実を証明するため暗号資産に換えるよう求められたとも伝えられている。終わりを告げたのは銀行だった。口座を凍結するという連絡で、ようやく詐欺だと気づいたという。「言われた通りにしないと逮捕され、周りに迷惑がかかると思った」。女性はそう振り返る。誰にも相談させない。それが奴らの台本だ。
4. “WHOの医師”に好意、報奨金の「輸送費」で405万円 仙北の50代男性
秋田・仙北市の50代の男性が失ったのは、現金405万円と電子マネー約30万円分。計約435万円だ。入口はFacebookの友達申請。今年7月、相手は「WHOで医師をしている日本人女性」を名乗った。やり取りはLINEに移る。やがて届いたのは困りごとの話だ。中国でATMから金を下ろした直後、バッグを盗まれた。お金を貸してほしい。好意を抱いていた男性は、交通費などの名目で電子マネーを買い、その番号を伝えた。今月に入ると話は一段大きくなる。「WHOの海外派遣の報奨金が出た」「運送会社を使って送る」。その輸送費として、男性は21日までに405万円を指定口座へ振り込んだ。運送会社をネットで調べると、詐欺を指摘する書き込みが見つかった。仙北署が22日に発表している。会ったことのない“医師”が、なぜ金を必要とするのか。
5. 「4万円の保険料が戻る」2日にわたるATM操作 秋田市の60代男性が約200万円
秋田市でも被害が明らかになった。今月19日、60代の男性の自宅に秋田市役所の職員を名乗る男から電話がかかる。「4万円の保険料の還付がある」。続いて金融機関の職員を名乗る男が現れ、ATMへ行くよう指示した。男性は還付金を受け取る手続きだと信じ、電話越しの指示どおりにボタンを押す。それで終わりではなかった。「手続きに不具合があったかもしれない」。そう言われた男性は、21日にも再びATMを操作している。知人にこの話をすると、詐欺だと言われた。口座を確かめると、合わせて約200万円が別の口座へ送られていたという。秋田中央署が調べている。4万円を受け取るはずが、200万円が出ていく。ATMは金を受け取る機械ではない、と頭では分かっていても、電話で急かされると手が動く。奴らはその一瞬を突く。
6. 「スーパーのATMで還付金」翌日には“返金”の電話 北海道の70代女性が300万円
北海道の70代女性がテレビ取材に応じ、還付金詐欺の一部始終を語った。最初の電話は市役所職員を名乗る男から。「医療費の還付金が3万円くらいある。スーパーなどで引き出せる」。女性は指示されるままATMを操作し、約200万円が奴らの口座に振り込まれた。手口はここで終わらない。翌日、今度は金融機関を名乗る男が「振り込んだお金を返すので、スーパーのATMへ」。女性は再び指示どおりに操作し、さらに約100万円を失った。合わせて約300万円。還付金詐欺という言葉はテレビで知っていた。それでもその時は気づけなかったという。せかされて、警察へ連絡する考えも浮かばなかった。道警によると、道内の今年の特殊詐欺の被害総額は約38億円。過去最悪のペースで膨らみ続けている。
7. 「携帯が壊れた、新しい番号に」翌日には「不倫がばれた」 大津の73歳が500万円
滋賀県警大津署が22日に発表した。大津市の73歳の女性が、娘を名乗る女らに現金500万円をだまし取られた。最初の電話は16日。娘を名乗る女が「携帯電話が壊れた。これからは新しい番号にかけて」。古典的な下準備だ。本番は翌日だった。「不倫が相手の奥さんにばれて、慰謝料を請求されている」。娘からの相談だと信じた女性は、その日のうちに現金を用意し、大津市内の路上で「代理の事務員」を名乗る男に手渡したという。電話番号が変わったという連絡。すぐに続く金の相談。現れるのは本人ではない代理人。3つがそろえば、それは奴らの型そのものだ。家族の声は、電話越しなら誰にでも作れる。元の番号にかけ直す。その一手間が、最後の防波堤になる。
8. 電話会社から“兵庫県警”へ 「犯罪収益か確認する」で高崎の70代が340万円を郵送
群馬県警高崎北署が発表した。被害に遭ったのは高崎市の70代の男性。奪われた現金は340万円だ。発端は7月21日。電話会社の社員を名乗る男が「あなた名義でたくさんの電話が契約されている」。そこへ兵庫県警の警察官を装う男が加わる。「あなた名義の口座が作られ、マネーロンダリングに使われている」「口座のお金が犯罪収益と関係ないか確かめる」。男性は8月4日と7日の2回、指定された場所へ現金を郵便で送った。電話会社から警察へ。遠くの県警の名前。そして「確認」のための現金。この日報じられた沼津、富山、岐阜の事件と骨組みは同じだ。警察が現金を送らせて調べることはない。郵送を求められた時点で、答えは出ている。
9. 8か月で約27億円、過去最悪を5億円上回る 長野ではオレオレ詐欺が去年1年の3倍
長野県警のまとめが出た。8月末までに確認された特殊詐欺は372件。被害は26億9800万円余りに達した。統計のある2004年以降で最悪だった去年の同じ時期と比べ、件数で104件、金額で5億円余り上回る。目立つのはオレオレ詐欺の再燃だ。息子などの親族を名乗る電話が相次ぎ、8月だけで46件。去年1年間の3倍にあたる数である。しかも一人芝居ではない。親族役のあとに金融機関の職員や弁護士事務所の職員が次々と登場し、「逮捕を免れる」「口座の凍結を解除する」などと口実を並べ、金を出させる手口だという。手口別では、ニセ警察詐欺が77件・8億6000万円余り、SNS型投資詐欺が73件・9億1000万円余り。古い手口も新しい手口も、どちらも止まっていない。
10. 件数は27件増、SNS型投資詐欺は4億円以上増えて7億5800万円 福島の8か月
福島県警のまとめによると、8月末までのなりすまし詐欺の被害は228件。前の年の同じ時期より27件増えた。一方で被害額は約1億1700万円減っている。件数は増え、総額は減った。それで安心できる数字ではない。中身を見ると一目瞭然だ。最も被害額が大きかったのはSNS型投資詐欺で、7億5800万円あまり。前の年より4億円以上膨らんでいる。全体の額が下がったなかで、この手口だけが突出して伸びた形だ。SNSで知り合った相手、SNSで見かけた広告、そこから始まる儲け話。警察は、そうした話はまず詐欺を疑うよう呼びかけている。この日は長野でもSNS型投資詐欺が9億円を超えたと報じられた。地方でも、奴らの主戦場はスマホの画面の中にある。
11. 【続報】家賃400万円超の拠点、押収パソコンに“顔を変えるAI” 数十種類の顔を用意
先週、タイ・バンコクで摘発された特殊詐欺の拠点。月の家賃が400万円を超えるとされる高級住宅で、16日にタイ警察が日本人ら14人を拘束した事件だ。その後のANNの取材で、新たな事実が出てきた。日本人を狙ったビデオ通話で、画面に映る顔をAIで変えるソフトが使われていたとみられる。押収されたパソコンには、あらかじめ数十種類の顔が設定されていた。外国人の顔も、女性の顔も選べる。有名人を設定した形跡もあったという。外国人が日本人を装うこともできる。自分の素顔を隠し、摘発を逃れる狙いもあったとみられる。拠点からは警察の制服のようなものも見つかった。タイ警察は、AIがこうした形で使われたのは初めてだとしたうえで、今後AIの犯罪利用が進むとみている。画面の向こうの“警察官”が本物の顔である保証は、もうない。
12. 4700部屋、携帯1万台超、そして日本の“警察手帳” カンボジアが拠点を公開し国際会議
カンボジアで特殊詐欺対策の国際会議が23日、首都プノンペンで開かれた。それを前に、当局は摘発した大規模な拠点を報道陣に公開している。今年、南部のプレイベン州などで3つの施設が詐欺拠点として摘発され、200人以上が拘束された。ある施設は部屋が4700以上。押収されたパソコンは3700台以上、携帯電話は1万台以上にのぼる。もう1つの施設からは、日本の警察官の制服や警察手帳の偽物とみられる品も押収された。日本人も狙われていたとみられる。会議には日本や米国、東南アジア各国が参加する見込みとされた。カンボジアは組織犯罪の温床と指摘されてきたが、政府は対策を強め、8月には国内の大規模拠点を完全に制圧したと宣言している。ただ、偽の警察手帳が海の向こうで量産されていた事実は重い。
13. 偽造の『ワンピース』カードを買取店へ、1枚9万円 36歳の会社員を逮捕
新潟の警察が23日、住居不定の会社員の男(36)を詐欺の疑いで逮捕した。舞台は新潟市西区の古物買取店。男は去年8月、人気漫画「ワンピース」の偽造トレカ1枚を本物と装って持ち込み、代金として現金9万円をだまし取った疑いがある。発覚のきっかけは別の事件だ。男は去年7月にも、西区の別の買取店で偽造カード1枚を売り、現金10万円をだまし取っていた。その捜査の中で今回の件が浮かんだという。男は取り調べに黙秘している。カードがどうやって偽造されたのか、動機は何か。警察が調べを進めている。人気カードは1枚で数万円、数十万円の値がつく。値段が上がれば、偽物も出回る。店も買い手も、1枚ごとの真贋を疑わなければならない時代だ。
14. “韓国の人気俳優”と1年近くの交際、通話は一度もなし 30代女性が約350万円
韓国の俳優イ・ドンウクを名乗る相手に、30代後半の女性が3500万ウォン、日本円で約350万円を送った。韓国SBSの番組が報じたものだ。女性はエキストラとして活動していた。今年初めから連絡を取り合い、相手は告白めいた言葉を送り、両親へのあいさつの話まで出た。自撮りやプレゼントの写真も届いた。だが約8か月、電話は一度もない。メッセージだけの関係だった。番組に出た弁護士によると、相手は「資産の差が大きいから」と7億ウォン相当の高級品を送ったと言い、税関で止まったとして通関費用を数百万ウォンずつ繰り返し求めたという。女性は積立金や生活費まで送り、被害届を出した。所属事務所は、所属俳優がSNSや個人メッセージで金品や個人情報を求めることは絶対にないとコメントしている。
15. 「初回83%OFF」の裏に定期購入 京都の相談は10年で最多、消費者団体が提訴
格安の「お試し」と思って注文したら、実は定期購入だった。解約するにも手数料がかかる。そんな通販のトラブルが京都で増えている。府内の消費生活相談窓口に寄せられた2025年度の相談は2359件。前年度より約200件多く、この10年で最も多かった。適格消費者団体の「京都消費者契約ネットワーク」は15日、ダイエット食品を売る会社を相手に、広告表示の差し止めを求めて京都地裁に提訴した。団体側は、バナーで「980円」「初回83%OFF」を強調しながら実際は定期購入で、解約に約5000円かかる点を問題にしている。会社側の主張は確認できていない。2022年の法改正で最終確認画面での明示は義務になったが、相談は減らない。注文の前に最終画面を確かめ、スクリーンショットで残す。それが自分を守る記録になる。
断言する。電話の向こうの「警察官」も、画面の向こうの顔も、本物だと思うな。
この日並んだ大口被害は、ほぼ同じ骨組みをしていた。電話会社やカード会社を名乗る最初の電話。遠い県の県警への“転送”。そして「疑いを晴らすため」「資金を調べるため」の送金。岐阜で6000万円、沼津で2500万円、富山で2080万円、高崎で340万円。バンコクの拠点では、ビデオ通話の顔すらAIで作り替えられていたとみられる。見た目も声も、もう手がかりにならない。頼れるのは仕組みの知識だけだ。警察が電話で逮捕状を告げることも、捜査のために金を振り込ませることもない。還付金をATMで受け取ることもない。途中で110を押させる電話は、それ自体が罠だ。一度電話を切り、自分で調べた番号にかけ直す。奴らが最も嫌うのは、その沈黙の数分間である。