【詐欺ニュースまとめ 11/7】長野で9390万円のニセ警察詐欺、埼玉は暗号資産1億2015万円を29回送金
ニセ警察詐欺が相次ぎ、長野では今年の県内最高とされる9390万円の被害。埼玉では暗号資産の投資詐欺で約1億2015万円が消えた。マレーシアの拠点摘発、AIで声をまねた約200億円事件、バイナンス便乗メールも。
1. 公園に現金を置かせ、総額9390万円 長野市の60代女性、県内で今年最高額のニセ警察詐欺
名義のクレジットカードが10枚も作られている。10月下旬、長野市の60代女性の自宅に、金融機関の職員を名乗る者から電話が入った。ここから地獄が始まる。次に現れたのは警察官や検察官を名乗る男ら。SNSの通話で、容疑がかかっていると告げ、金は国に預けろと畳みかける。報道では「無実を証明するため」という名目だったとされる。女性は言われるまま、自宅近くの公園に現金を置いた。そうして11月上旬までに、合わせて9390万円をだまし取られた。長野県内で今年確認された特殊詐欺では最高額だという。警察はニセ警察詐欺として捜査している。電話一本で人を犯人に仕立て、公園に札束を置かせる。奴らの脚本は、年々えげつなくなっている。
2. 「サイトを開いて入金すれば稼げる」で1億2015万円 埼玉の59歳会社員が29回送金
最初は一本の電話だった。2025年11月下旬、埼玉県の男性会社員(59)のスマホに、投資の助言担当者を名乗る人物から、サイトで入金すれば取引で稼げる、と電話が入る。男性は12月3日から今年4月24日にかけ、約1億円相当の暗号資産を送金。それで終わらない。今度はSNSで「投資の先生」を名乗る者らが現れ、「安定した投資戦略を策定します」と誘い、4月27日から6月2日までにさらに約2000万円相当を送らせた。6月2日の送金後、男性が返金を求めると、返ってきたのは「追加で投資を」の一言。不審に思って弁護士に相談し、ようやくだまされたと気づいた。送金は計29回、被害は1億2015万円に上る。電話とSNSで二重に絡め取る、執拗な手口だ。
3. だまし取った金の延べ棒を売りさばいた疑い 韓国籍の会社役員の男と妻ら3人を熊谷署が逮捕
盗んだ金は、現金に換えてこそ意味がある。その「換金役」が捕まった。熊谷署が5日に逮捕したのは3人。荒川区に住む韓国籍の会社役員の男(50)、その妻で会社役員の女(55)、江東区のパートの女(70)だ。容疑は詐欺と組織犯罪処罰法違反。夫婦の容疑は、2025年8月、金地金を使ったうその投資話で大阪市の男性(当時60)から時価で計約4830万円分の金地金3個を受け取り、翌日、古物商でうち1個を約1720万円で売った疑い。妻とパートの女は同年9月、熊谷市の女性(当時61)に警察官などを装い、「資産を調査する」と金の延べ棒4個(計2190万円相当)を郵便受けから回収。翌日、貴金属商社で計約2400万円で売却した疑いだ。被害届から、売却役だった疑いが浮かんだ。
4. マレーシアの詐欺拠点を摘発、日本人1人含む117人を拘束 9月以降で日本人30人以上
東南アジアの詐欺拠点摘発が止まらない。地元メディアによると、マレーシアの首都クアラルンプール近郊、セランゴール州で3日、入国管理局が特殊詐欺の拠点とみられる住宅6カ所を摘発した。拘束されたのは、日本、中国、韓国、カンボジアなどの国籍の117人。現地の日本大使館によると、このうち日本人は1人で、詳細を確認中だという。グループは投資詐欺などに関わっていたとみられ、現場からはパソコンや携帯電話約200台が押収された。同国では詐欺絡みの摘発が続いていて、9月以降に身柄を拘束された日本人は30人を超える。日本の被害者から奪った金の出どころは、遠い異国の住宅街の一室。そこに日本人が混じっているという事実が、重い。
5. 【続報】ラオス拠点の詐欺グループ、日本人男女9人を3回目の再逮捕へ 栃木・神奈川の合同捜査本部
ラオスを拠点にした日本人の特殊詐欺グループをめぐり、新たな動きがあった。栃木、神奈川両県警の合同捜査本部が、別の詐欺未遂容疑で、20〜60代の日本人男女9人を9日から11日にかけて再逮捕する方針を固めたことが、6日に捜査関係者への取材で分かった。9人はすでに詐欺未遂容疑で逮捕されており、今回で逮捕は3回目になる。報道では、複数人が5月に栃木県上三川町で起きた強盗殺人事件の主導役と面識があったとも伝えられている。海外の拠点から日本へ電話をかけ続ける詐欺と、国内で起きた凶悪事件。その間に人のつながりがあったのかどうかも、今後の捜査の焦点になる。詐欺の再逮捕を重ねるのは、それだけ余罪が積み上がっているということだ。
6. AIでCEOと弁護士になりすまし、約1億2900万ドルを詐取 米司法省が外国籍の3人を起訴
社長の声。社長の顔。ビデオ通話の向こうで指示するのは、全部ニセモノだった。米司法省は11月5日、経営トップや大手法律事務所の弁護士の声と映像をAIで似せ、社員に送金させ、約1億2900万ドル(約200億円)を詐取したとして、外国籍の被告3人を起訴したと明らかにした。被害は2024〜26年に世界各地で出ており、米国の病院や銀行、英国のフィンテック企業などが被害を受けたとされる。手口はこうだ。まずCEOを名乗って社員に機密取引への協力を求め、次に弁護士役に連絡させる。弁護士役も被告側が演じ、高額送金を指示した。手書きの台本まであったという。資金は暗号資産に換えられた。3人はスペインと英国で逮捕され、電信詐欺と資金洗浄の最長刑期は各20年。起訴内容は申し立てにすぎない。
7. バイナンスの補償を装うメール、日本でも確認 「0.0042BTC先払い」を要求
他人の不幸に群がる連中がいる。10月29日、暗号資産取引所バイナンスから約1兆円規模の資産が流出した。会社側は、自前の資金と保護基金で利用者の損失をすべて穴埋めすると表明している。奴らはその補償を口実にした。ルーマニアのセキュリティ企業ビットディフェンダーが3日に公表した調査によると、補償を装う詐欺メールが日本を含む5カ国で確認された。「補償の対象に登録されている」として、確認手数料に0.0042BTC(約5万円)を指定先へ送れと迫る。同社は返金される兆候はないとみている。別の手口として、トラストウォレットをかたり、アカウント停止をちらつかせて偽の確認ページへ誘導するメールもあった。どちらのメールにも、両社は無関係だ。
8. 郵便局員から大阪府警、LINEで取り調べ 富山市の60代男性が暗号資産で1000万円
富山西署は6日、富山市の60代男性が、ニセ警察詐欺で1000万円をだまし取られたと発表した。8月8日、男性宅の電話に大阪の郵便局員をかたる人物から連絡があった。「男性名義の国際郵便をエックス線で検査したら、中身が通帳やキャッシュカードだった」。犯罪に使われている可能性があるとして「警察につなぐ」と言われ、次に出てきたのが大阪府警をかたる男だ。特殊詐欺事件に関わった疑いが男性にあるというのだ。やりとりはLINEに移された。男性は男の指示に従い、アプリで1000万円分の暗号資産を購入して、だまし取られた。富山県警は、捜査機関がLINEなどのSNSで連絡を取ることも、捜査名目で現金を振り込ませることも絶対にないと呼びかけている。
9. 「紙幣番号を確認するため現金を」 小国町の70代女性から600万円、受け子の32歳男を逮捕
警察官になりすまして現金を受け取った男が、防犯カメラの映像から割り出された。熊本県警は6日、岐阜市の無職、竹内佑岐容疑者(32)を詐欺の疑いで逮捕した。報道によると、容疑は7月、警察官などを名乗る人物が熊本・小国町の70代女性に、逮捕した人物が口座を使って犯罪収益のすり替えを図っている、紙幣番号の確認が要るので現金を下ろして私服警官に渡せ、という趣旨のうその電話をかけ、竹内容疑者が路上で現金600万円を受け取ったというもの。女性は翌日に警察へ相談した。周辺の防犯カメラなどを調べた捜査で、岐阜県にいた竹内容疑者にたどり着いた。警察は竹内容疑者の認否を明らかにしておらず、ほかの事件に関わっていないかも調べている。
10. 「息子をかたり、弁護士を装って2回訪問」 木更津の83歳女性から2000万円、15歳少女を再逮捕
受け子は15歳の高校生だった。千葉県警いすみ署は5日までに、詐欺の疑いで住所不定の高校生の少女(15)を再逮捕した。電話de詐欺の受け子とみている。容疑は9月7日、木更津市の無職女性(83)方に息子をかたって株や仮想通貨の税金を滞納しており、払わなければ訴えられる、という趣旨のうその電話をかけ、弁護士を装って女性方を2回訪れ、現金計2000万円をだまし取った疑い。少女は、SNSで知り合った友人に仕事を紹介されたと説明し、容疑を認めているという。似た詐欺事件で先に逮捕されていて、防犯カメラの解析などから今回の件が浮かんだ。別事件への関与の有無も調べている。仕事紹介の顔をした誘いが、子どもを犯罪の最前線に立たせている。
11. 年金の払戻金と交通事故の示談金 三重・津市で130万円、菰野町で150万円
三重県で、手口の違う特殊詐欺が同じ時期に2件発表された。津南署は5日、津市の60代男性が約130万円をだまし取られたと発表した。同日、年金機構の職員を名乗る男から、年金の払い戻しがあると電話が入り、次に百五銀行の職員を名乗る男が、カードを持って指定の金融機関へ行くよう指示。男性は還付金がもらえると信じて、市内のATMから4回にわたり振り込んだ。振り込んだ自覚はなく、口座から現金が消えたことで金融機関に相談して発覚した。四日市西署は6日、菰野町の70代女性が交通事故の示談金名目で150万円をだまし取られたと発表。11月5日に「風邪で喉の調子が悪い」と話す男から「相手に請求されている」と電話があり、弟と思い込んだ女性は、弁護士助手を名乗る女に路上で手渡した。
12. 「お金の指紋を調べる」と「10日以上の勾留」 秋田・横手市で200万円、静岡・長泉町でも200万円
ニセ警察の脅し文句は、地域を問わずに似通ってくる。秋田県警横手署は6日、横手市の60代女性が現金200万円をだまし取られたと発表した。10月上旬、固定電話に警察官を名乗る男が連絡。携帯電話が大量に買われて東京へ送られているとして、「お金の指紋を調べる」と言い出したという。静岡県長泉町の40代男性会社員は、10月下旬にクレジットカード会社の社員や警察官をかたる者から「未払いがある」と電話を受け、LINEのビデオ通話へ誘導された。「マネーロンダリングに関与している」「家族や周りの人に話せば10日以上の勾留と罰金」と脅され、11月上旬に現金約200万円を振り込んだ。スマホでニュースを調べて似た手口に気づき、警察署に相談して詐欺が発覚した。
13. フィッシング報告は9月に9万4661件、Amazonをかたる偽メールだけで約33%
偽メールの波が、また高くなった。フィッシング対策協議会がまとめた2026年9月分の報告件数は9万4661件で、前月から1万2323件増加し、増加率は約15.0%。偽サイトのURL件数は4万9032件で、約23.2%増えた。報告全体のうち、Amazonをかたるものが約33.2%と最も多く、Appleは約11.1%で減少した。セゾンカード、アメリカン・エキスプレス、国税庁をかたるものを加えた上位5ブランドで全体の約65.3%を占める。業種別ではEC系が約47.9%、クレジット・信販系が約35.0%。一方で、証券会社をかたるフィッシングの報告は9月、ゼロだった。報告数は実際の被害の動向を完全に反映するとは限らないが、傾向を見るには目安になる。
14. 「独身」と偽って交際、出産後に連絡が途絶える 30代女性が男性医師を提訴、約2200万円を請求
結婚詐欺に匹敵する、と被害を訴える女性が会見を開いた。妻帯者なのに独身だと偽って付き合う「独身偽装」で貞操権を侵されたなどとして、東京都内に住む30代の女性が、約2200万円の損害賠償を求めて9月に東京地裁へ提訴し、6日に会見した。訴状などによると、2023年、医師の男性が独身を装って女性に近づき、交際が始まった。妊娠が分かると既婚者であることを明かし、「妻と離婚する」と説明。ところが女性が出産すると、連絡が取れなくなったという。女性は妊娠中に暴行を受けたとも主張している。女性は会見で、結婚詐欺に並ぶほど悪質だと強調し、この問題を広く知ってほしいと訴えた。男性はANNの取材に、弁護士から答えないように言われていると話している。
15. ビデオ通話でかざされる「ニセ警察手帳」と、実在の裁判官名入りの「逮捕状」 警察庁が公開した手口の動画
名前が合っていたら、信じてしまうのが人間だ。警察庁の特殊詐欺対策ページ「SOS47」で、大阪府警提供のニセ警察詐欺のビデオ通話を記録した動画が公開されている。「070」から始まる番号の着信後、警視庁を名乗る男が「千葉県警から協力要請を受けた」と告げ、LINEのビデオ通話へ誘導。千葉県警の刑事部捜査二課を名乗る男が「ニセ警察手帳」をかざし、名前を読み上げさせる。続けてLINEで送られてくる「逮捕状」には、被害者の実名のほか、実在の裁判官と検察官の名前まで書かれている。男は「第三者に話すな」と口止めし、20日間の勾留を被害者の人数分、繰り返し請求することもあると不安をあおる。警察は、SNSでのやりとりも、逮捕状や警察手帳の画像送信も、守秘義務を求めることもないと呼びかけている。
断言する。「警察」を名乗る相手が金を預けろと言った時点で、それは詐欺だ。
長野の9390万円も、富山の1000万円も、熊本の600万円も、入り口は電話一本だった。警察が捜査名目で現金を預かることも、LINEで取り調べることも、逮捕状を画像で送ることもない。名前が合っていても、手帳が本物らしくても関係ない。実在の裁判官の名前まで使うのが奴らのやり方だ。電話を切る。かけ直す。それが一番確実な防御になる。