【詐欺ニュースまとめ 10/19】都内の被害は9カ月で544億円、札幌の男性は「株が5倍」広告から4300万円
19日までに報じられた詐欺は十数件。警視庁は都内の特殊詐欺が1〜9月で約544億円、前年同期比42%増と公表した。ニセ警察と暗号資産の送金は、御殿場・群馬・宮城・福井で相次いだ。
1. 「株が5倍」の動画広告からLINEへ 札幌の60代男性、空港で現金を手渡して約4300万円
「株が5倍に増える」。6月、札幌市白石区の60代男性がスマホで動画を見ていると、そんな広告が現れた。開いた先で待っていたのは、アシスタントを名乗る女と、LINEグループだ。そこでは「センセイ」と呼ばれる人物が儲け話を語り、利益が出たと書き込む「サクラ」とみられる参加者まで揃っていた。男性は30万円、150万円と振り込み、銀行の送金上限に阻まれると、新千歳空港などで証券会社を名乗る人物に現金を直接手渡した。総額は約4300万円。流れを止めたのは、画面に出た配当「8億円」の数字だった。かえって怖くなってAIに尋ねると、返ってきたのは「詐欺の手口です」。警察に相談し、だまされたと知った。北海道のSNS型投資詐欺の確認は今年すでに114件で、前年1年分を超えている。
2. 拠点なし、自宅がかけ場 名古屋のアパートで「テレワーク型」かけ子、警察官役だけで80〜90人
愛知県警が8月に逮捕した男は、名古屋市南区のアパートの自室で、かけ子をしていた。拠点はない。上位者がスマホを渡し、台本とマニュアルでオンライン「研修」を受けさせ、発信元をたどれない海外製の通信アプリで電話させたという。アプリでは端末が動いているか、通話の中身まで遠隔で見られた。男の履歴には、100人以上の被害者との通話が残っていた。このグループのかけ子は通信業者役、警察官役、検事役に分かれ、警察官役だけで80〜90人。海外の大規模拠点を潰しても、自宅に散らばられては一網打尽にできない。捜査幹部は、補充が容易になり壊滅リスクが減ると見る。今年のニセ警察詐欺は8月末の暫定値で728億6千万円、前年同期比27.0%増。毎日約3億円が消えている計算になる。
3. 都内の特殊詐欺、9月末で約544億円 去年1年分に迫る勢い、福島は過去最悪のペース
数字が止まらない。警視庁によると、今年9月末までの都内の特殊詐欺の被害額は約544億円。前年の同じ時期より160億円増え、42%増だ。認知件数は5624件で約1400件増えた。過去最悪だった去年1年の被害額約558億円、5879件に、もう届きかけている。内訳の最多はSNS型投資詐欺の約205億円。続くのがニセ警察官詐欺の約175億円、SNS型ロマンス詐欺の約68億円だった。福島県警も19日、1〜9月のなりすまし詐欺を発表した。認知は244件、被害額は19億1930万円で、過去最悪のペース。最多はSNS型投資詐欺の8億6094万円で、前年同期より4億7905万円増えた。ニセ警察詐欺は5億2385万円で、1億6486万円減っている。
4. 「あなたからカードを買ったと言っている」 御殿場の70代男性、暗号資産1800万円相当
静岡県御殿場市の70代の無職男性が、暗号資産で計1800万円相当を奪われた。9月中旬、自宅の固定電話などに運送会社を名乗る人物から連絡が入る。あなたが送った荷物の中にキャッシュカードやパスポートが多数入っていた、という筋書きだ。続いて警察官を名乗る人物が畳みかける。逮捕した男が、あなたからキャッシュカードを買ったと話している。潔白を証明するため、口座の現金を調べる必要がある。信じた男性は指示のとおり、複数回にわたって指定された送信先アドレスへ暗号資産を送った。荷物、カードの売買、潔白の証明。三段の作り話で、疑われる側に立たされ、自分から金を差し出す。警察は特殊詐欺事件として捜査しており、警察がお金の振り込みを指示することは絶対にないと注意している。
5. 検察官役の「麻薬が入っていた」 群馬・吉岡町の70代女性が1956万円分、栃木・大田原では1739万円相当
群馬県吉岡町の70代のパート従業員の女性は、6月、検察官などを装う人物から電話を受けた。預かっている郵便物に麻薬が入っていた、あなたは犯罪組織の容疑者だ、口座のお金が犯罪収益でないと確認するため送ってもらう。指示で暗号資産のアカウントを開き、2回にわたって合わせて1956万円分を送り、だまし取られた。栃木県でも暗号資産の被害が出た。大田原市の会社員男性(55)が19日、暗号資産1739万7111円相当をだまし取られたと警察に届け出た。下野新聞は、SNS型ロマンス詐欺の被害と報じている。経緯の詳細は、現時点で記事から確認できていない。口座の中身を「確認する」と言って送金させるのも、恋愛感情につけ込むのも、行き着く先は同じだ。暗号資産のアドレスである。
6. ニセの「守秘義務誓約書」と偽の捜索差押許可状 宮城・若林区の60代女性、スマホ送りつけ1270万円
9月16日、仙台市若林区の60代女性の自宅に警察官を名乗る男から電話があった。特殊詐欺グループの一員として疑われている、という内容だ。数日後、SNSで画像が届く。事情聴取で知った情報を外に漏らさないと誓わせる「守秘義務誓約書」と、東京高裁の裁判官が出したと偽る「捜索差押許可状」だった。さらに自宅へスマートフォンが郵送され、男は疑いを晴らすために警察へお金を払う必要があると迫る。女性は、送りつけられたそのスマホで3回送金し、約1270万円を失った。書類は偽造、スマホは犯人の道具。しかも「誰にも言うな」という口封じ付きだ。警察は、SNS上で誓約書を送ることはないと呼びかけている。送金に使う端末まで犯人が用意する手口は、普通の疑いの目では見抜きにくい。
7. ビデオ通話で警察手帳、LINEで逮捕状の写真 福井市の30代男性、同じ日に2回振り込んで500万円
福井市の30代男性は10月7日、携帯電話に警察官などを名乗る男女から連絡を受けた。カードが詐欺に悪用された恐れがある、と。誘導されたLINEのビデオ通話では、警察手帳のようなものを見せられ、自分の名前が入った逮捕状などの書類の写真まで送られてくる。そのうえで犯人グループは、身の潔白を証明するには資金証明書が必要だと持ちかけた。男性は指示どおり、同じ日に2回に分けて指定の口座へ振り込み、合計500万円をだまし取られた。最初の連絡から送金まで、1日で終わっている。考える時間を与えない、という手口の見本だ。警察は特殊詐欺事件として捜査している。電話一本で始まり、ビデオ通話と画像で信じ込ませる流れは、各地の被害報道と同じ型である。
8. 「保険証が悪用されている」で暗号資産390万円相当、「保険料の還付」で200万円 福井と秋田
保険を名乗る入口が二つ並んだ。福井県の70代女性は、自宅の電話に「保険局」を名乗る男から連絡を受けた。保険証が悪用されている、被害届を出してください。続いて警察官を名乗る者が、キャッシュカードが資金洗浄に使われている、捜査が必要だ、口座を開設して資金を預ければ調査できる、事件が解決したらお金は戻る、と言い出す。女性は指示のまま銀行口座と暗号資産の口座を作り、暗号資産を買って、390万円相当を送金した。秋田市では、ことし9月、保険料の還付手続きを装う電話を受けた60代の男性が、現金およそ200万円をだまし取られた。警察は特殊詐欺事件として捜査している。還付や悪用の話から入り、いつのまにか警察の捜査の話にすり替える。順番を覚えておくだけで、見抜ける確率は上がる。
9. 「荷物に現金が入っている」郵便局員役から警察官役へ 鹿児島の離島で450万円、長野・北安曇郡で860万円
郵便局員を名乗る入口の被害が、離島と山間部で同時に出た。鹿児島県の離島に住む70代女性のスマホに、9月、+で始まる国際電話番号から電話が入った。あなた宛ての荷物に現金が入っている、警察に出頭しなければならない。直後に警察官を名乗る男が追跡捜査のために450万円を用意しろと言い、LINEに誘導してLINE電話で指示。女性は引き出した現金を玄関に出し、だまし取られた。県内では同様のニセ警察詐欺で、70代女性の510万円、30代男性の約875万円も確認されている。長野県北安曇郡の80代男性は、9月中旬、外国に送った荷物から現金とカードが出たと告げられ、紙で包んだ860万円を自宅敷地に置いて失った。さらに振り込みを求められ、金融機関で声をかけられて気づいた。
10. 「金融庁職員」になりすましてカードを盗んだ20歳を逮捕 別の受け子役は台湾籍の28歳、計1280万円
受け子の逮捕が続く。千葉県の船橋東署は15日、1月30日に船橋市の86歳男性宅へ金融庁の職員になりすまして上がり込み、カードをすり取った疑いで、20歳のアルバイトの男を逮捕した。事前に氏名不詳者が警察官などをかたって電話をかけ、カードが不正に使われているので交換する必要があると偽っていた。船橋市内では7月にも、警察官をかたって女性から現金をだまし取る事件が起きている。新潟では津川署などが、特殊詐欺の受け子役などとみて、住所不定で無職の台湾籍の男(28)を逮捕した。8月17、18日に阿賀町の60代男性から約280万円、8月21日から9月2日にかけて愛知県の60代女性から1000万円をだまし取った疑いだ。顔を出すのは末端の運び屋だけ。
11. ラオスの拠点から大阪の78歳へ電話、3人を再逮捕 栃木の強盗殺人の主導役と面識か
19日、栃木・神奈川両県警の捜査本部が3人を詐欺未遂の疑いで再逮捕した。ラオスから大阪市の78歳の男性に電話をかけ、金を引き出そうとしたとされる。再逮捕されたのは、阿部紗耶佳容疑者(41)、具志堅湧人容疑者(27)、近藤貴仁容疑者(49)の3人。いずれも住所不定、無職。6月15日、共謀してラオス国内から男性に電話をかけ、NTT社員、警察官、検察官を名乗って、携帯電話が不正に契約されている、あなた名義の口座が犯罪に使われている、などとうそを言った疑いだ。捜査本部は2日までに3人を含む9人を逮捕していて、うち一部は、5月の栃木県上三川町の強盗殺人で主導役とされる男と顔見知りだった可能性があるという。残る6人も再逮捕する方針。3人の認否は明らかにされていない。
12. わざと急ブレーキで追突事故を偽装 佐賀市の元夫婦を逮捕、保険金約240万円
佐賀県警は19日、おととし9月に追突事故を装って保険金をだまし取ったとして、佐賀市の建築業、今村朗容疑者(72)と、62歳の元妻を詐欺の疑いで逮捕した。舞台は佐賀市東与賀町の県道。2人の乗用車が故意に急停止し、後続の車を追突させたとされる。そのあと警察などに届け出て、事故の被害者になりすまし、保険会社から合計約240万円を受け取った疑いだ。内訳は修理費など約60万円と、治療費など約180万円。事故そのものが仕組まれていたことになる。警察は関係者からの情報提供で捜査に着手した。捜査に支障があるとして、2人の認否は明らかにしていない。余罪があるとみて調べを進めている。電話もSNSも使わない。車一台で作れる詐欺である。
13. 漏れた予約情報で届く「予約を確認してください」 宿泊予約者に偽メッセージ、最大約445万人分
不正アクセスで流れ出た個人情報が、詐欺に使われ始めた。9月27日、兵庫県尼崎市の35歳会社員男性の通信アプリに、英文のメッセージが届く。2週間前に旅行サイトで予約した佐賀県内の宿泊施設の名前で、予約の確定を求める内容だった。自分の名前も利用日も正しく書かれている。施設からの連絡と信じてリンク先に進み、クレジットカード番号を入力したが、決済画面はエラー。別のカードでも同じだった。不審に思って予約サイトを見ると、カード情報を盗む詐欺メッセージへの注意書きがあった。男性はすぐ2枚のカードを止め、金銭被害は出ていない。ホテルや旅館向けの予約管理システムを提供する「手間いらず」は9月28日、不正アクセスを公表。最大約445万人分の情報が流出した可能性がある。横須賀市では防災メールの登録者に、カード会社をかたるメールも届いた。
14. SNSでネックレスの売買を約束し、40万円を詐取 広島地検、強盗致傷から詐欺に切り替えて起訴
広島地検は、今年3月に広島市東区の路上で起きた事件で、同市安佐北区の会社員の男を、強盗致傷から詐欺に切り替えて起訴した。起訴状によると男は、10代の男2人と共謀し、SNSでネックレスの売買を約束した20代の男性と待ち合わせた。ネックレスは渡さず、現金40万円をだまし取った、という罪だ。現場にいた10代の2人は、逃げる際に車にしがみついた男性をそのまま引きずり、ケガをさせたとして、強盗殺人未遂の罪で広島家裁に送致されている。警察は男を強盗致傷の疑いで逮捕、送検していた。広島地検は、強盗致傷については送致事実を認定するに足りる十分な証拠がないと説明した。SNSで知り合った相手との売買は、会った瞬間に金が動く。そこが狙われた。
断言する。警察は、電話でもLINEでも、金も暗号資産も預からない。
この日の被害は、どれも「捜査に協力している」つもりの人から出た。荷物にカードが入っていた、保険証が悪用された、潔白を証明したい。入口は違っても、最後は「送れ」「置け」「振り込め」に行き着く。警察手帳も逮捕状の写真も、画面の中のただの画像だ。拠点を捨てて自宅に散るかけ子、漏れた情報で名前入りの偽メッセージを送る奴ら。手口は変わっても、金を受け取る場面は必ずある。そこで一度止まれるかどうかで、結果は決まる。