【詐欺ニュースまとめ 10/21】山口でSNS投資詐欺2億4585万円、宮城のパート女性は2億2000万円
21日は山口で2億4585万円相当、宮城で2億2000万円と、2億円を超える被害が県内最悪の額で二つ並んだ。ニセ警察詐欺が中心で、全国で警察職員7万人超の情報流出も判明した。
1. 「無罪を証明するには全資産を」 宮城のパート女性、約40回で2億2000万円
2億2000万円。宮城県内では今年最大の被害だ。県警が21日に発表した。被害者は60代のパート女性。5月、カード会社の職員を名乗る男から「大量の携帯電話が契約されている」と電話が入る。続いて北海道警の警察官役がLINEのビデオ通話に現れ、制服姿で名前や住所、資産状況まで聞き出した。仕上げは札幌高裁の検察官役だ。「疑いが晴れれば返金される」。女性は7月下旬までに約40回、指定のネットバンク口座へ送り続けた。途中、送金元の金融機関が県警に情報を提供し、警察官が対面で2時間あまり説得している。それでも止まらなかった。奴らが先に吹き込んでいたからだ。「宮城県警は信用できない」と。本物の警察を、偽の口実で遠ざける。底の深い手口である。
2. 証券会社の社員を名乗る人物に現金と金の延べ棒を手渡し 山口・岩国の60代女性、2億4585万円相当
山口県内で確認された特殊詐欺として、過去最悪の被害額になった。岩国市の会社役員の60代女性が、2億4585万円相当をだまし取られたとNHKなどが伝えた。きっかけはSNSだ。6月ごろ、実在する証券会社の社員を名乗る人物と知り合う。「先生が勧める銘柄を売買すれば利益が出る」。信じた女性は7月から9月にかけて、指定口座に送金し、さらに相手に直接、現金と金の延べ棒まで手渡した。内訳は現金2億2120万円と、約2500万円相当の金。振り込みだけで終わらせない。対面で現物を回収する、SNS型投資詐欺の典型的な動きだ。警察はSNS上のもうけ話は詐欺を疑うよう呼びかけている。実在の会社名と社員の肩書きは、信用させる最強の道具になる。
3. マッチングアプリで恋愛感情、そして「委託料」 九州7県と山口の約100人から1億円か、27歳の元社長ら4人逮捕
恋愛を入口にした投資詐欺の組織が、福岡県警に摘発された。県警は21日、投資コンサルタント会社の元社長、山下太雅容疑者(27)ら4人を詐欺などの疑いで逮捕した。認否は明らかにしていない。逮捕容疑は2023年8月ごろから翌年1月ごろにかけて、福岡県須恵町の20代の男女にアプリ経由で近づき、「預けた資産は高い確率で増える」と持ちかけ、アドバイザリー業務の委託料として100万円ずつをだまし取った疑いだ。役割分担がえげつない。勧誘役の2人が被害者に恋愛感情を抱かせ、その上で山下容疑者に引き合わせていたとみられる。県警の見立てでは、2022年から2年半ほどの間に、被害者は九州7県と山口県の約100人、総額は1億円規模にのぼる。好意を信用に変え、信用を金に変える流れ作業だった。
4. ハノイの拠点で拘束、日本へ移送 ベトナムのかけ子ら4人を徳島県警が逮捕
舞台はベトナムだ。徳島県警は21日、2月に現地当局に拘束された日本人の男4人を日本へ移送し、詐欺容疑で逮捕したと発表した。自称大阪市の会社役員(61)ら20代から60代で、ハノイ市内の拠点でかけ子や管理役をしていたとみられる。認否は明らかにしていない。逮捕容疑は今年1〜2月、ベトナムから警察官を装って沖縄県の60代女性に電話をかけ、「詐欺事件に関与した疑いを解消するには調査が必要」とうそを言って、50万円を振り込ませた疑い。拠点からは通信端末や、警察官の制服のようなものも見つかった。県警はこのグループが、徳島県在住者を含む複数の被害者から少なくとも数千万円をだまし取った可能性があるとみて追及する。海を越えても、台本は同じ。ニセ警察だ。
5. 警察官ら7万人超の個人情報が流出か 福岡1万1000人、関東4県3万6600人、群馬は全職員3700人
最悪の悪用先が見えている。ニセ警察詐欺だ。防災情報を扱う大阪府箕面市のアルカディアが不正アクセスを受け、各地の警察で働く7万人超の情報が外に出た恐れがあると、テレビ朝日などが伝えた。福岡県警は警察官や職員およそ1万1000人分、神奈川や埼玉など関東4県では約3万6600人分。群馬県警も全職員約3700人分の漏えいの恐れが20日に分かった。名前と所属、私用メールアドレスなどが対象とされる。元警視庁公安部の専門家は指摘する。実在の捜査員の名前が出れば、問い合わせを受けても「確かにおります」と答えられてしまい、被害者はだまされやすくなる。さらに、名乗らずに動く捜査員の身にも危険が及びかねないという。これまでの防御策が崩れかねない。
6. 口座を作らせて、50回以上の振り込み 札幌の70代女性、検察庁をかたる男らに5200万円
手口がじわじわと長い。札幌南署が20日に明らかにした。札幌市南区の70代女性が、検察庁などを名乗る男たちに約5200万円をだまし取られた。始まりは2025年7月中旬、女性の固定電話に入った電話だ。男3人が、現金を入れたレターパックを送ったと切り出し、このままでは容疑者になると脅す。次に「口座の金を捜査したい」と言い、住民票やマイナンバーカードを送らせて、女性名義の口座を犯人側が開設した。その口座へ今年6月9日までに50回以上、合計約5200万円を振り込ませたという。ほぼ1年近くに及ぶ。1回で終わらせず、細く長く吸い上げ続ける。道警は「検察官や警察官を名乗って現金を振り込ませる電話は特殊詐欺」と呼びかけている。
7. 公園のトイレに紙袋、2回で1470万円 大分・別府の60代女性、広島の警察官役とSignalで検察官役
紙袋を置いた場所は公園のトイレだった。大分県別府市の60代女性が、ニセ警察詐欺で1470万円をだまし取られた。9月29日、女性の携帯に広島県の郵便局員を名乗る女から電話が入る。「あなたが送った荷物にキャッシュカードが入っている」。広島県警の警察官役が「犯罪グループがあなたに200万円を渡した」と言い、検察官役とは通話アプリのSignalで連絡を取らされた。ビデオ通話で逮捕状のようなものを見せられ、「無実を証明するため現金を確認する」。女性は620万円と850万円を2回に分けて、公園のトイレに紙袋で置いた。金融機関から連絡を受けた警察官が自宅に来たことを伝えると、相手は一方的に電話を切った。その沈黙が、詐欺の証拠だった。
8. 携帯会社の社員から警視庁へ、紙袋とATM 松山の60代女性、約700万円
二つの方法で、取られた。松山市の60代の無職女性が約700万円をだまし取られ、警察は21日に被害届を受理した。7月28日、携帯電話会社の社員を名乗る女から電話があった。続いて警視庁の警察官役と検察官役の男が現れ、犯罪への関与と資金調査をでっち上げる。女性は言われるまま口座の現金を全部引き出して手元に置いた。8月5日、約190万円が入った紙袋を自宅前に置き、何者かに回収される。さらに別の「警視庁の警察官」がビデオ通話で警察手帳のようなものを見せ、8月19〜26日にATMから約510万円を振り込ませた。連絡が取れなくなって、女性が警察に相談した。回収と振り込み、受け渡しの方法を変えながら、同じ人を二度三度と狙うのが彼らのやり方だ。
9. 「資産を全部、紙袋に入れて玄関前に」 青森の80代女性、現金590万円と18金ネックレス9本
現金だけでは終わらない。青森県内の80代女性が、590万円の現金に加え、約50万円分の18金ネックレス9本まで奪われた。県警三戸署が発表した。先月29日ごろ、自宅の固定電話に警視庁の職員を名乗る男から電話が入る。麻薬事件の容疑者が女性名義のカードを持っていた、口座が資金洗浄に使われている、と告げる。次に検事役が「資産の特別調査をする。定期預金も全部解約して、調査のあとに返す」と告げた。女性は定期預金を解約して現金を用意した。今月16日、検事役の男から指示が来る。「資産を紙袋に入れて玄関前に置いて、置いたら家に入っていて」。紙袋は、間もなく消えた。連絡が取れなくなって、初めて被害に気づいた。
10. 架空発注で会社の金を還流、東芝子会社の元社員3人を再逮捕 被害は2億5000万円以上か
詐欺の現場は、会社の内側だった。警視庁は21日までに、東芝グループ会社で働いていた元社員の岩沢英智容疑者(51)、中嶋弘晃容疑者(54)、赤楚由紀朗容疑者(42)を、詐欺の疑いで再逮捕した。日ごろ付き合いのある都内の部品メーカーへ、実際にはない設計の仕事などを発注した形にして、2022年11月から翌年9月にかけ約4600万円を会社から振り込ませた疑い。この金は部品製造会社から3人の知人の口座を経由して、3人の手に渡っていたという。先月には同じ手口の約3800万円で逮捕されていた。警視庁は同様の手口で合計2億5000万円以上を引き出し、風俗店などに使っていたとみて調べている。外から来る詐欺だけを警戒していても、足りない。
11. 財務マネージャーになりすまし、コンビニ駐車場で現金800万円 北九州の薬剤師女性、計1800万円
手渡しの場所はコンビニの駐車場だった。福岡県警は21日、SNS型投資詐欺の受け子として北九州市の女性から現金をだまし取ったなどとして、同市小倉北区の無職、鶴田正一容疑者(52)を再逮捕した。調べに対し、事実を認める供述をしているという。被害者は55歳の薬剤師の女性。SNS上で「汗水たらす労働より圧倒的に効率がいい」という趣旨の言葉で投資を持ちかけられ、2月にはその話を信じ込んだ。鶴田容疑者は株取引をサポートする「財務マネージャー」になりすまし、3月に八幡西区のコンビニ駐車場で現金800万円を受け取った疑いだ。4月の現金1000万円の件で9月に逮捕されており、被害は合わせて1800万円にのぼる。対面で受け取る役が、いちばん足がつきやすい。それでも組織は人を差し出し続ける。
12. 元妻の嫌がらせを理由に慰謝料450万円 自衛官の男性に恋愛感情を抱かせた35歳の女を逮捕
狙われたのは、公務員だった。警視庁滝野川署は21日、さいたま市西区の職業不詳、長島めぐみ容疑者(35)を詐欺の疑いで逮捕した。「認めないです」と容疑を否認している。逮捕容疑は仲間と共謀し、2024年7〜8月ごろ、30代の男性自衛官に恋愛感情を抱かせたうえで、「元妻から嫌がらせを受けている」とうその話をして、慰謝料の名目で450万円をだまし取った疑い。2人は同年1月ごろ、ネットで知り合っていた。男性が元妻にトラブルがなかったことを確かめ、昨年10月に署へ相談して発覚した。署によると、長島容疑者は公務員ばかりを選んで接触していた疑いがあり、別の公務員からも1000万円を得ていたとみて裏付けを進める。好意につけ込み、架空のトラブルで金を引き出す。典型的なロマンス型の手口だ。
13. 【続報】カンボジア拠点のかけ子グループ、被害総額は1億5000万円か リーダー格の31歳ら4人再逮捕
新たな数字が出た。20日に再逮捕された福岡県警の4人が属するカンボジア拠点の日本人グループについて、被害の全体像が報じられた。リーダー格とみられるのは大井拓実容疑者(31)。2025年12月から今年1月にかけて警察官を装い、神奈川県の30代女性ら3人に「資金洗浄の容疑がかかっている」とうそを言って、計1384万円をだまし取った疑いだ。県警は認否を明らかにしていない。グループの手口や使われた偽名で出された被害届は38件確認され、1都1府14県で総額はおよそ1億5000万円とみられる。すでに逮捕された男女は8人にのぼる。一部のメンバーは、SNSで見かけた「2日働くだけで50万円」という趣旨の海外での発掘・採掘の仕事に応募したと説明しているという。
14. 神戸の80代女性のカードと通帳を盗み、ATMから9回 指示役か、東京の42歳ら3人を再逮捕
指示役の影が見えた。鹿児島県警などは20日、東京都の42歳の会社役員の男ら3人を窃盗の疑いで19日に再逮捕している。鹿児島、北海道、千葉の3道県警による共同の捜査で、匿名・流動型犯罪グループによる特殊詐欺の指示役格とみている。再逮捕の容疑は、正体不明の共犯者と示し合わせ、2025年9月25日に神戸市の80代女性へ偽の電話をかけたうえ、金融機関の職員を装った受け子が女性宅を訪ねてキャッシュカード1枚と通帳を盗み、ATMから9回にわたって現金約80万円を引き出した疑い。ほかの2人は東京都の32歳の会社経営の男と、千葉県の35歳の無職の男。3人は同様の手口で今年9月に逮捕されていた。複数の被害が確認されており、県警は関連を調べる。鹿児島の事件の捜査から糸がたぐられた。
断言する。2億円は、警察が目の前にいても止まらない。
宮城の女性は、本物の警察官に説得された。それでも送金は続いた。偽の警察が先に「県警は信用できない」と吹き込んでいたからだ。山口では実在する証券会社の社員が名乗られ、全国では警察職員7万人超の情報漏えいも伝えられた。名前と所属が本物と一致する時代に入る。だから決めておくことがある。電話で警察や検察、証券会社を名乗られたら、その場で切る。相手が言った番号ではなく、自分で調べた番号にかけ直す。金の話が出た時点で、相手は詐欺だ。例外はない。