【詐欺ニュースまとめ 10/15】広島で県内最悪の2億円超、糸島の82歳は金6.1キロ1億4300万円 フィッシング製造工場も停止
15日は年金支給日。詐欺関連の報道が相次いだ。広島で県内最悪の2億円超、福岡では金塊6.1キロ(約1億4300万円)。フィッシング製造の拠点停止、ラオス拠点のかけ子逮捕も。
1. フィッシングの「製造工場」に初の強制停止 キットは2300社超のひな型入り、日本向けに1億通超
偽サイトの「製造工場」に、ついに手が入った。警察庁は14日、フィッシングサイトの作成キットなどを売っていた34のドメインを、米マイクロソフトと連携して停止したと発表した。対象はキット「コグイ」「アイアンマン」と、不正に取得したクラウドのアカウントの販売サイト。アイアンマンには、日本の金融機関や病院など2300社超の偽サイトのひな型が詰まっていた。昨年把握された約12万の偽サイトのうち、半数がこの2つのキットで作られたという。今年5月以降、日本向けに送られた誘導メールは1億通を超えた。販売には中国系の犯罪組織が関与しているとみられ、テレグラムで売られていた。マイクロソフトは関連する約2500のアカウントも凍結。警察庁の情報に基づく無効化は初めてだ。今年上半期のフィッシング報告は約73万1000件。
2. 呉市の70代男性から暗号資産2億円超 県内最悪の被害、「道具屋」の31歳男を逮捕
広島県内で把握された特殊詐欺として、過去最悪の被害額だ。広島県警と呉署は14日、大阪市阿倍野区の自称飲食店従業員の男(31)を詐欺容疑で逮捕した。呉市の70代男性から、2億円を超える暗号資産をだまし取った疑いがある。県警は男を、犯行に必要な機器をそろえる「道具屋」とみている。TBSなどによれば、役割は電話の発信番号を偽装する「電話交換機」の設置。ニセ警察官を装うこの種の機器が絡む被害は、全国で7億円を超えるとみられるという。画面に映る番号は本物の警察の番号。だまされるなと言うほうが酷だ。奴らは表に出ず、こうした「道具屋」に仕込ませて金を吸い上げる。分業の末端でも、背後に一本の線がつながる。県警は組織の全容解明を急ぐ。
3. 金6.1キロ、時価1億4300万円 糸島の82歳、「金融庁職員」3人に3回手渡し
札束ではない。金塊だ。福岡県糸島市の82歳の男性が、金6.1キロ(時価約1億4300万円)をだまし取られていた。9月上旬、郵便局員を名乗る男から電話があり、カード8枚と現金40万円があなた宛てに送られている、と告げられた。次は大阪府警の警察官を名乗る男が出て、「資金洗浄事件の容疑者として浮上している」。SNSに誘導されると、今度は検察官を名乗る男が「疑いを晴らすために資産を確認させてほしい」。男性は9月10日から10月5日にかけて3回、自宅にあった金2キロと、追加で買うよう指示された金4.1キロを、自宅に現れた金融庁職員を名乗る男3人に手渡した。電話、SNS、そして訪問。三段構えで老人を追い込む。警察は「資金調査」などの言葉が出たら電話を切るよう呼びかけている。
4. 長崎・時津町で4900万円、長野・北佐久で3000万円 「あなたの口座が犯罪に」
ニセ警察の電話は、この日も高齢女性の貯金を狙い撃ちにした。長崎県時津町の80代女性は、8月下旬に警視庁の警察官を名乗る男から「口座のお金が詐欺の被害金でないか調査するため、現金を引き出しておくように」と言われた。さらに「引き出した現金を調べる必要がある。後で返す」と言われ、今月上旬までに3回に分け、計約4900万円を自宅ポスト付近などへ置いた。何者かが持ち去った。長野県北佐久郡の60代女性には、警察官を名乗る人物が「口座が資金洗浄に悪用され、あなたも共犯の疑いだ」という趣旨のうそを告げ、現金3000万円をだまし取られた。どちらも、被害者を犯人扱いして不安に陥れ、金を差し出させる型だ。後で返すという約束が、守られることはない。
5. 受け子の逮捕が続く 仙台で800万円、伊豆市で990万円
現金を受け取りに現れる「受け子」の逮捕が続いた。仙台では、千葉県船橋市の無職の男(58)が逮捕された。7月17日、仙台市若林区の60代男性が「うその為替取引」のもうけ話を信じて用意した現金800万円を、路上の車内で為替取引所の職員を装って受け取った疑いだ。男は容疑を認めているという。静岡県伊豆市では、住居不定で自称無職の台湾籍の男(20)が緊急逮捕された。9月下旬、80代女性に警察官を装った別の人物が電話をかけ、男が自宅で現金990万円を受け取ったとされる。女性が渡した直後に不審に思って通報し、警察が男を押さえた。こちらは認否が明らかにされていない。どちらの金も、組織の指示役のもとへ流れる予定だった。捕まるのはたいてい、末端の使い捨てだ。
6. ラオス拠点のかけ子、北海道警が機内で逮捕 現地で101人拘束、函館の70代男性から50万円
海外のかけ子グループに、国境を越えて手錠がかかった。北海道警は15日、ラオスを拠点に特殊詐欺に関与したとして、中木村匠容疑者(29)ら20〜50代の男を逮捕した。人数は報道により7人、8人と分かれている。ラオス南東部のセコン県を拠点にするグループのメンバーとみられ、現地当局が6月に101人を拘束。道警が引き渡しを受け、移送の航空機内で逮捕状を執行した。容疑は6月、警察官や金融機関の職員を名乗って函館市の70代男性に「紙幣の識別番号を調査する必要がある」などとうそをかけ、現金50万円をだまし取った疑い。道警は9月にも、摘発を逃れて帰国した青砥敬宏容疑者(24)を同じ容疑で逮捕している。認否は明らかにされていない。余罪があるとみて、押収品の解析を進める。
7. 偽広告を放置したメタ社の責任、横浜地裁は認めず 被害者6人ら約4300万円の請求を棄却
著名人をかたる偽の投資広告で被害に遭った人たちの訴えを、司法は退けた。横浜地裁は15日、投資詐欺の被害者6人と法人1社が、メタの日米両法人に計約4300万円の賠償を求めた訴訟で、請求を棄却した。全国6地裁に起こされた同種の訴訟で、初めての判決だ。原告らは2023年に、楽天グループ会長らの名前や顔写真を無断で使った偽広告をフェイスブックなどで見て、LINEに誘導され、送金した。判決は、広告が詐欺的な虚偽広告だと容易に認識できたとは言い難いと指摘。メタ側が広告の真実性を調査して提供をやめる義務を負っていたとは言えないと結論づけた。原告側の弁護士は「虚偽広告の氾濫を容認する不当な判決だ」として、控訴する方針を示した。他の地裁の判断が次に注目される。
8. MRI詐欺、13年半で被害回復に幕 1300億円集め、戻ったのは約54億円
13年半かかって、戻ったのは1割にも届かない。米国の運用会社「MRIインターナショナル」をめぐる巨額詐欺事件で、被害弁護団が15日に会見した。米証券取引委員会が回収した資産約54億円の配当が8月末に始まり、被害回復の手続きが終結。弁護団は活動を終えるという。MRIは、医療機関の診療報酬債権への投資話を日本人に持ちかけ、約8700人から総額約1300億円を集めていた。2013年に巨額の資産消失が発覚し、米当局は出資金を私的に流用したと判断。2015年に社長ら3人が起訴され、いずれも有罪が確定している。配当を受けた被害者の女性は会見で「長い道のりだった」と話した。弁護団長は、企業から資産を回収して被害者に配当する制度が日本にはないとして、金融庁に法整備を求めた。
9. ホテルの客室にPCを隠し、Wi-Fiでフィッシングメール約48万件 中国籍の夫婦を再逮捕
客を装ってホテルに入り込み、ネットワークを犯行の足場にした。兵庫県警は15日、神戸市の中国籍で無職の男(39)を偽計業務妨害容疑などで再逮捕した。昨年5月15日、神戸市中央区のホテルに客を装って侵入し、客室にパソコンを隠して館内のWi-Fiに接続。クレジットカード会社を装うフィッシングメールを大量に送り、ホテルの業務を妨害した疑いだ。押収したパソコンには約240万件のメールアドレスが保存され、約48万件の送信履歴が残っていた。県警は、別の人物が遠隔操作したとみている。男は妻(39)とともに、今年1月、他人のカード情報でダウンジャケットなど約47万円分を買った電子計算機使用詐欺容疑でも逮捕された。2人は7〜8月にも別のホテルの件で逮捕されている。認否は明らかにされていない。
10. 「被害金の25%をビットコインで」 詐欺被害者に「取り戻す」と近づく二次被害、沼津で200万円
一度だまされた人間を、奴らは放さない。静岡県沼津市の30代男性のスマホに、8月中旬、調査会社を名乗る男から電話があった。「あなたが振り込んだお金を追跡したら、海外の口座に送金されていた。取り戻すため、裁判所に返金申請手続きをする必要がある」。男性は、昨年投資詐欺の被害に遭っていた。電話は弁護士を名乗る男に代わり、「資産証明の代金として、被害金の25%をビットコインで送金する必要がある」と求めた。男性は10月上旬まで複数回、指定されたアドレスに計200万円相当の暗号資産を送った。戻らない上にさらに送金を求められ、不審に思って警察に相談して発覚した。警察は、犯人側が過去の被害情報を知っていたのかも調べる。返金をうたう詐欺は、暗号資産で増えていると警察は注意を呼びかけている。
11. 米ブルックリン地検とFBI、投資詐欺の偽サイト241件とサーバー112台を無力化 出金しようとすれば「税金」
海の向こうでも、同じ型の詐欺が荒れている。米ニューヨーク市ブルックリンの地区検事局は、FBIと連携し、ロシア語話者を狙った暗号資産投資詐欺の基盤を解体したと14日に発表した。無力化したのは詐欺用ドメイン241件とサーバー112台。約3年にわたる捜査の成果だという。手口はフェイスブックのロシア語広告から始まる。投資アドバイザーを名乗る者から電話が来て、偽の投資サイトで暗号資産を買わせ、指定アドレスへ送金させる。出金を試みれば、アカウントを凍結されるか、税金や手数料の名目で追加の支払いを求められた。被害の数週間後には「資金を取り戻せる」と再び接触する二次被害も確認された。被害総額は数千万ドルと推計され、約30万ドルを押収したという。日本の手口とそっくりだ。
12. 漁協の元組合長に有罪判決 網の修理の人件費を延べ50人分水増し、約145万円を詐取
「共存共栄」をうたう漁協のトップが、仲間を欺いた。高知地裁は15日、網の修理をめぐる人件費を水増しして約145万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた須崎町漁協の元組合長、和田義光被告(76)に、懲役2年2カ月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。起訴状によると、2021年2月に地元の漁業者団体の協議会へ出した申告で、網の修理などにかかった人件費を延べ50人分も上乗せ。現金約145万円を受け取ったとされる。裁判では、全額に詐欺罪が成立するのか、水増し分の約78万円だけなのかが争点だった。裁判官は全額で成立すると判断。仲間の漁師の労苦を踏み台に自分だけが得をしようとした点を重く見て、悪質だと指摘した。
13. 山形鉄道など9億円超の被害に関与か ベトナム国籍の34歳女を資金洗浄容疑で逮捕
9億円超の被害の裏に、ベトナムの資金洗浄グループがいた疑いが強まった。詐欺でだまし取られた約3000万円を資金洗浄したとして、組織犯罪処罰法違反容疑などで、ベトナム国籍のグエン・ティ・フオン容疑者(34)が逮捕された。容疑は、去年3月に仲間と管理していた複数の口座を使い、約3000万円をベトナムを拠点とするグループの口座へ送らせたこと。このグループは、金融機関を装う電話で偽サイトに誘導する「ボイスフィッシング」で、企業の口座情報などを入手したとみられる。山形県内では去年3月には地元銀行の行員を名乗る連絡が相次ぎ、山形鉄道(長井市)など複数の企業が計9億1200万円余りを失った。ベトナム当局はグループの7人を現地で逮捕しており、指示役はベトナム国内にいたという。警察は県内の事件への関与も調べている。
14. 長崎26億円、島根12億円、広島44億円 年金支給日に県警が相次ぎ被害統計を公表
数字が悲鳴を上げている。年金支給日の15日、各県警の統計が出そろった。長崎県警は、9月末までの特殊詐欺の認知件数が422件(前年同期比126件増)、被害額は約26億2838万円(約14億3672万円増)と発表。SNS型投資・ロマンス詐欺が182件、約15億6235万円を占める。島根県では、今年の被害額が12億3700万円余りに達し、過去最悪だった昨年1年間をすでに約1億5000万円上回った。広島県は9月末で約44億2400万円。うち警察官をかたる手口が約17億7000万円にのぼり、年代別では20代男性が最も被害に遭っているという。県警は、警察官が電話やSNSで連絡して捜査名目で金銭を要求することはないと訴える。どの県でも、増えているのは「ニセ警察」と「SNS型」だ。
断言する。電話口の「警察」「金融庁」はすべて偽物だ。
この日の被害は、糸島の金塊も、時津町と北佐久の数千万円も、同じ型だった。警察官を名乗り、口座や資産を「調べる」と言う。本物の警察や金融庁の職員が、電話やSNSで金や金塊を求めることはない。検察官や金融庁職員が自宅に来て現金や金を受け取ることもない。「お金の話」が出た時点で、相手は詐欺師だ。年金支給日の注意喚起を聞き流すな。