【詐欺ニュースまとめ 10/14】かけ子の「雇用契約書」を広島県警が公表、大樹生命の元職員は10年で1億2000万円 大分の80代女性は4300万円
10月14日までに報じられた詐欺は約16件。ニセ警察の被害が各地で相次ぎ、大分では80代女性が約4300万円を失った。かけ子の雇用契約書、保険元職員の1億円超の詐取疑いも明らかになった。
1. 「1日10時間勤務」「業績6%」 かけ子の雇用契約書とみられる書面を広島県警が公表
海外へ送り込まれるかけ子には、契約書まで用意されていた。広島県警は13日、広島市の会社役員の女(32)と長崎市の無職の男(43)を、所在国外移送誘拐などの容疑で再逮捕した。2人は3〜4月、22歳の男性に「稼げるいい仕事がある」と声をかけ、関西空港まで移送した疑いだ。女は否認、男は「勧誘はしていない」と話している。男性のスマートフォンには、報酬のやり取りと雇用契約書とみられる書面が残っていた。業種は「営業・営業補佐」、勤務は1日10時間、休みは日曜、期間は半年。基本給はなく、業績に応じて6〜7%の歩合が支払われる。警察官を名乗る電話の台本まで見つかった。やっていることは詐欺の分業制そのものだ。県警は「線」という言葉を分担を示す用語とみている。働き口の顔をした入口の先に、犯罪の現場が待つ。
2. ミャンマー拠点の犯罪組織「魏家」、中国の法院が3人に死刑 関連資金は約2880億円
ミャンマーを拠点にした巨大な詐欺・犯罪組織に、極刑が下った。中国福建省泉州市の中級人民法院などは13日、犯罪組織「魏家」の主要メンバー3人に死刑判決を言い渡したと発表した。ほかに3人が無期懲役。さらに55人の被告に、懲役24年から3年3カ月の判決が出ている。裁判所によれば、組織の舞台は、中国・雲南省と接するミャンマー北東部のコーカン地区。2019年以降、武装勢力を抱え込んで犯罪拠点を築いた。ネットを使った詐欺や賭博場の開設、売春、麻薬の密売までやった。詐欺に関わった中国人ら4人を殺害した罪も認定された。詐欺と賭博に関係した資金は約122億元、日本円で約2880億円にのぼる。詐欺拠点の裏側にあるのは、人の命を奪ってまで守られる犯罪の稼ぎだ。電話の向こうの「かけ子」も、その歯車に組み込まれている。
3. 「運用の乗り換え」で約500万円 大樹生命の元営業職員を逮捕、約20人から1億2000万円か
守るはずの保険が、だます道具になった。埼玉県警は14日、66歳の元営業職員を詐欺の疑いで逮捕した。大樹生命保険に勤めていた鈴木まさえ容疑者(66)である。2024年7月、当時80代の男性顧客に「今の保険より今回の商品のほうがいい」と持ちかけ、既存の契約を解約させたうえで約500万円を自分の口座に振り込ませた疑いだ。容疑は認めており、「生活費などに使った」と供述しているという。県警は、2013年からの約10年間に、およそ20人の顧客から合計で約1億2000万円を詐取していた可能性があるとみて捜査している。解約金を、そのまま新しい商品の代金として振り込ませる流れ。客からすれば、顔なじみの担当者の言葉に従っただけだ。10年にわたり、同じ手口が続いていたことになる。被害者が出てくるかどうかはこれからだ。
4. 駐車場で2400万円、あとは送金 大分市の80代女性が約4300万円のニセ警察詐欺
電話は宅配業者から始まった。大分市の80代の女性宅に9月上旬、「あなたが発送を依頼した荷物に犯罪に関わる物が入っていた」と連絡が入る。警視庁の警察官を名乗る男に代わり、「詐欺で逮捕した男の仲間が、あなたに金を渡したと話している」と告げられた。やがて東京地検の検事を名乗る男も加わる。「口座に入った紙幣の番号を調べる必要がある」。女性は飲食店の駐車場で、紙袋に入れた現金2400万円を男に渡した。続いて「別の口座へ送金して、その様子をモニタリングする」と言われ、振り込みにも応じた。合計は約4300万円。NHKは4290万円と伝えている。発覚のきっかけは、金融機関から警察への連絡だった。大分県内では14日、別府市の20代男性が100万円をだまし取られる被害も明らかになった。
5. 「株の税金を滞納している」 水戸市の91歳男性、息子を名乗る男らに2050万円
電話をかけたのは、息子を名乗る男だった。茨城県警水戸署によると、水戸市の91歳の9月24日ごろ、男性宅の電話が鳴った。長男を名乗る男は、株について相談したいことがあると切り出した。代わった証券会社の社員役は、「息子さんの株取引で300万円の利益が出た」「口座が凍結されて入金できない」「利益にかかる税金を滞納している」と畳みかける。さらに「申告漏れになるので700万円を払ってほしい」と求めた。翌25日昼ごろ、玄関先で弁護士を名乗る男に700万円を手渡した。話はそこで終わらない。「追加徴税が必要」と言われ、同じ日のうちに2回、計1350万円を渡した。合計は2050万円。NHKは、水戸を含む県央地域で同様の被害が相次いでいると伝えている。茨城県警は県央地域に今年初の特殊詐欺警報を出していた。
6. 「身の潔白を証明するため」 旭川の50代女性、4回に分けて暗号資産1560万円相当
現金ではなく、暗号資産が狙われた。北海道の旭川東署は14日、旭川市の50代女性が約1560万円相当の暗号資産をだまし取られたと発表した。9月1日ごろ、固定電話に郵便局員を名乗る者から「あなたが差出人の荷物が受取人不明で、検察官に引き継ぐ」と電話があった。検察職員を名乗る者に代わると、「逮捕した犯人が、あなたから口座を買ったと供述している」「潔白を証明するには、口座の現金を調べる必要がある」と言われた。女性はLINEとビデオ通話でやり取りを続け、9月26日から29日までの間に、指定されたアドレスへ4回に分けて暗号資産を送った。連絡は10月4日ごろまで取れていたという。いったん送った暗号資産は、取り戻すのが難しい。警察は、警察官や検察職員が金銭を求めることはないと呼びかけている。
7. マッチングアプリの男から投資を勧められ、暗号資産960万円と現金500万円 仙台市の50代女性
出会いの入口は、マッチングアプリだった。警察によると、仙台市泉区の50代の女性会社員は8月10日、アプリで知り合った男から投資を勧められた。指示に従って暗号資産のアプリを入れ、8月23日から9月10日にかけて、投資名目で複数回、計960万円相当の暗号資産を指定されたアドレスへ送金した。さらに別に現金500万円も、指定された口座へ振り込んでいる。被害額は合わせて約1460万円になる。気づくきっかけは、大金を送ったことへの不安だった。女性がインターネットで調べて、詐欺だと分かったという。マッチングアプリで知り合った相手から投資の話が出たら、その時点で疑う材料になる。恋愛と金の話が同じ相手から出ること自体が、典型的な型だ。
8. 「ミャンマーの詐欺事件に関与している」 甲府の20代女性、516万円相当の暗号資産
最初の入り口は、1通のショートメッセージだった。山梨県甲府市の20代の会社員女性のスマートフォンに、今月1日、「至急連絡をください」と届いた。記された番号にかけると、警視庁の警察官を名乗る男が「ミャンマーの詐欺事件にあなたが関わっている」と告げる。続いて警視庁サイバー対策課を名乗る別の男が出た。潔白が分かれば全額を返すという。女性は指示どおりに暗号資産を購入し、指定されたアドレスへ総額約516万円相当を送った。不安になった女性が警視庁に相談して、被害が発覚した。警視庁の警察官とサイバー対策課を名乗る二役を使い分け、全額返金という餌まで添えている。
9. 「口座を1カ所に集めて」 福岡市の73歳女性、暗号資産取引所のアカウントを作らされ3300万円
福岡市南区の73歳の女性宅に6月22日、運輸業の社員を名乗る男から電話があった。北海道宛てに女性名義の荷物があり、中身は現金だという話だった。電話は北海道警の警察官を名乗る男に代わる。「詐欺で逮捕した者が、あなたの名前で通帳を作ったと話している」。女性はSNSに誘導され、ビデオ通話でニセの書類を見せられた。「口座を凍結しなければならない」「預金を守るため、1カ所に集める必要がある」。言われるまま、本人名義で暗号資産取引所のアカウントを開設し、3回に分けて計3300万円を専用口座へ振り込んだ。福岡南署は、「資金洗浄」「SNSで取り調べ」といった言葉が出たら電話を切るよう呼びかけている。犯人は捜査機関を名乗り、口座の凍結という言葉で不安をあおった。
10. 「身体検査」で裸の画像を送らせ「全国にばらまく」 愛知県内で昨年22件、全国で247件
金を奪うだけでは終わらない。警察官を装う「ニセ警察詐欺」に乗じて、女性に裸の画像を送らせる被害が相次いでいる。愛知県警によると、県内で昨年1年間に確認されたのは未遂を含めて22件。警察庁などによれば、全国では未遂や相談も含めて247件にのぼる。被害者の8割が20〜30代だった。今年の事例では、20代の女性に大阪府警を名乗る人物から「あなたの彼氏が詐欺グループに関与している」と電話があった。偽の警察手帳を見せられ、「容疑を晴らすために身体検査をする」と言われて、自分で撮った裸の画像をLINEで送った。後から不安になって家族に相談し、被害に気づいた。典型的な手口は、服を脱がせたうえで「録画している」と脅す形だ。県警幹部は、警察が電話で身体検査や裸の写真を求めることはないと話している。
11. ウソの工事と消毒液の代理購入 福井の建設会社が1350万円、全国で相次ぐ
狙われたのは、個人ではなく会社だ。福井県警によると、4月下旬、鯖江市の建設会社に、実在のクリニックの副医院長だと称する男が電話をかけてきた。「修繕工事をお願いしたい」。契約をほのめかしたうえで、「備品の業者と関係が悪くなった。代わりに消毒液を購入してほしい」と頼む。紹介された業者にLINEで連絡すると、発注書と見積書が届いた。会社は指定された口座に計1350万円を振り込んだ。クリニックから代金が支払われないのを不審に思って問い合わせ、そんな依頼はしていないと言われて発覚した。滋賀県では3〜4月に3件、約130万〜680万円の被害があった。山形県で8月に2件、宮城県で7〜9月に3件も確認されている。警察庁は昨年12月ごろから同じ手口を確認している。名乗る相手は、病院、介護施設、学校の関係者だ。
12. 知事名義の許可通知書を偽造 架空の「行政書士法人」を富山県と国交省が刑事告発
存在しない法人が、行政書士を名乗って建設業者から手数料を取っていた。富山県は14日、国土交通省と連名で、実体のない行政書士法人の運営者を、名前が分からないまま公文書偽造と偽造公文書行使の疑いで高岡署に刑事告発した。県によれば、この法人はウェブサイトを通じて、去年5月ごろに県内の建設業者から建設業の許可更新の申請代行を請け負った。そして県知事名義の許可通知書を偽造して渡し、手数料などとして約12万7000円をだまし取った。去年9月にも同じ手口で73万円余りをだました。被害額は合わせて約85万9000円だ。行政手続きを任せる相手を、検索で見つけてサイトだけで判断する。そこに入り込む手口だ。見ている画面が本物かどうかを、画面の中だけでは確かめられない。許可の確認は、役所の窓口へ直接問い合わせるのが確実だ。
13. 「AI生成」の女性写真に中高年が実在の人物と錯覚 韓国で、ロマンス詐欺への悪用を懸念
存在しない人間が、交流相手として人気を集めている。韓国で、AIが作ったとみられる女性の写真と身の上話を並べたSNSの投稿に、中高年の利用者が本物の女性だと思い込んだような返信を寄せていると、KOREA WAVEが14日に報じた。「浦項に住む41歳の看護師」などと名乗る投稿は、別人の話に見えるのに文章の構成が似ている。年齢や職業、悩みを書いたうえで「似た境遇の人と話したい」と交流を促す形だ。写真には、肌が滑らかすぎる、小物がぼやけるといった不自然さがある。それでも「一度会おう」「DMを確認して」と返す書き込みや、自分の年齢、居住地、職業を明かす書き込みが続いた。ほかの利用者からは、個人情報を簡単に出しすぎていると心配する声が出ている。記事は、親密になった後に金銭を求めるロマンス詐欺に悪用される恐れがあると指摘した。
14. 治療日数を水増しして保険会社に請求 福島市の接骨院の柔道整復師を逮捕、余罪も捜査
警察は14日、福島市の接骨院の院長を詐欺の疑いで逮捕した。福島テレビによると、捜査員が接骨院に入ったのは午前9時前だった。院長は2024年6月から9月にかけて、交通事故で通院中の患者と共謀し、実際の治療日数を水増しして保険会社に施術費用を請求した疑いだ。だまし取ったとされるのは約34万円。NHKは、33万円余りと伝えている。保険会社が警察に相談し、警察は今年度に関係先を捜索して裏付けを固めてきた。認否は明らかにされていない。警察は、同様の犯行を複数の人物と共謀して繰り返していたとみて、共犯や余罪を調べる。金額は小さくても、請求の水増しは積み重なるほど大きな被害になる。保険の請求は、通院した日の記録がそのまま根拠になる。
15. オレオレ詐欺が去年の7倍近く 長野県内は9月末までに427件・29億2000万円
数字が、手口の変化を物語る。長野県警によると、2026年1月から9月末までの県内の特殊詐欺被害は427件、29億2000万円余り。前の年の同じ時期より115件、2億300万円余り増えた。なかでも急増したのが、息子などをかたって金を要求するオレオレ詐欺だ。被害は95件、1億9700万円余りで、件数は去年の7倍近くに膨らんだ。翌15日が年金の支給日。長野駅前では、警察官や生保協会の職員らが通行人に声をかけた。県警の担当者は、電話でお金の話が出たらすぐに詐欺を疑い、最寄りの警察署に相談してほしいと訴えている。茨城でも同じ日、息子を名乗る男らから2050万円をだまし取られた91歳の男性の被害が報じられた。オレオレ詐欺は古い手口の顔をして、ふたたび増えている。
断言する。電話で「捜査のため」と言い出した時点で、相手は警察ではない。
この日の報道は、警察官や検事を名乗る詐欺の被害が全国で並んだ。大分では4300万円、福岡では3300万円。暗号資産への送金や取引所の口座開設まで指示されている。一方で、かけ子の雇用契約書は、詐欺が分業の会社組織として動いていることを示した。金融機関の窓口で止まった例もある。口座や暗号資産を使った指示を受けたら、送る前に必ず第三者へ話す。犯人側が最も嫌うのは、その一手間だ。