【詐欺ニュースまとめ 10/13】ボイスフィッシングの洗浄役を逮捕、ベトナムでも7人立件 現役教師は暗号資産口座を譲渡目的で開設
13日に報じられた詐欺事件は、洗浄役の逮捕から各地の被害まで15件。ニセ警察詐欺は千曲市の80代が約4000万円、生駒市の80代が4800万円。佐賀ではロマンス詐欺が連続した。
1. 自動音声の「更新時期です」から数時間で引き出し ボイスフィッシングの金を洗った仲介役を逮捕
金融機関を装う自動音声が「ネットバンキングの更新時期だ」と電話をかける。応じた企業にはメールで偽サイトのリンクが届き、入力したIDとパスワードで口座から金が抜かれる。ボイスフィッシングだ。その金を洗った仲介役が逮捕された。警察庁サイバー特捜部と埼玉県警の合同捜査本部が13日に発表した。逮捕されたのは東京都在住のベトナム国籍、グエン・テイ・フオン被告(34)。2025年3月に被害金計3000万円を洗浄した疑いだ。金はベトナムのグループの口座を転々とし、日本国内のATMでベトナム人の出し子が引き出して暗号資産などの形で詐欺グループへ還流した。引き出しは不正送金から数時間以内。口座凍結を逃れる段取りだった。
2. ベトナム当局も7人を立件 2025年3月10日の1日で日本人15人から約7億700万円
日本での逮捕と同じ事件の、ベトナム側の動きだ。北部フート省警察が、日本で詐取された金を暗号資産に換えて洗っていた国際的なマネーロンダリンググループを摘発し、7人を立件した。報道によると、外国人の詐欺グループは銀行員になりすまして日本の企業に電話をかけ、口座の管理権限を奪った。2025年3月10日には日本人15人から計約7億700万円をだまし取り、ベトナムの仲介役を通じてテザー(USDT)やイーサリアム(ETH)などに変換して国外の詐欺グループへ送った。仲介役の取り分は取引額の1〜2%。3人が逮捕され、4人は居住地からの移動を禁じられた。家宅捜索では高級乗用車や預金通帳3冊などが押収された。
3. 口座を用意した側に、現役の教師 暗号資産の口座を譲渡目的で開設、54歳を逮捕
詐欺の金を洗うには、他人名義の口座が要る。その口座を用意した側に、教壇に立つ人間がいた。岐阜県立岐阜盲学校の教師、山崎源太郎容疑者(54)が逮捕された。容疑は、譲渡する意図を伏せたまま、今年2月にネット経由で暗号資産の口座を作ったことだ。この口座が特殊詐欺のマネーロンダリングに悪用されていたことから関与が分かったという。調べに対し、容疑を認めている。口座の売買や譲渡は、特殊詐欺などに悪用される恐れがあるとして法律で禁じられている。警察は詳しい動機を調べる。奪った金は、動かす口座がなければ洗えない。一枚の口座が、犯罪の部品になる。
4. 「いい仕事がある」と誘って海外へ かけ子にする目的の移送、広島で男女を再逮捕
海外で「かけ子」をやらせるために、人を連れ出す。広島県警は13日、特殊詐欺のかけ子をさせる目的で20代の男性を国外へ移送しようとしたとして、広島市の会社役員の女(32)と長崎県の無職の男(43)を国外移送誘拐などの疑いで再逮捕した。「お金を稼ぎたいならいい仕事がある」と誘い、福岡県から関西国際空港まで運んだ疑いだ。2人は容疑を否認している。県警は男性が渡されたスマートフォンと、かけ子のマニュアルとみられる画像の一部も公開した。文面は大阪府警をかたって金をだまし取る手口を細かく書いたもの。リクルートに関わった人物が他にもいるとみて捜査している。
5. カンボジア拠点のかけ子に、懲役5年6月 名古屋地裁、求刑は10年
カンボジアの拠点に渡り、日本へ電話をかけ続けた男に、判決が出た。カンボジア北西部ポイペトを拠点とした特殊詐欺事件で、かけ子として詐欺罪などに問われた大阪府豊中市の無職、植村泰之被告(26)。名古屋地裁は13日、懲役5年6月、罰金200万円を言い渡した。求刑は懲役10年、罰金400万円だった。入江恭子裁判官は判決理由で、詐欺の成功率を上げるための行為に触れたと報じられている。海外拠点の特殊詐欺は、ここ数日も拠点オーナーとみられる男やリーダー格の逮捕が続いた。電話をかける末端の若者にも、実刑という重い現実が待っている。
6. 「小さい金額からでいい」で15回、約1カ月で3700万円 基山町の40代女性
きっかけは、マッチングアプリだった。佐賀県基山町の40代の女性は、今年4月上旬ごろ、オーストラリア出身を名乗る男とやり取りするうちに好意を抱いた。男は、少額でいいから思い切ってやってみよう、と暗号資産の投資を持ちかけ、指示どおりに口座を開設させた。女性は約1カ月で15回、指定されたアドレスへ暗号資産を送金した。報道によれば被害は約3700万円相当、鳥栖署の発表では約3763万円。投資資金が底をつき、家族に相談して被害に気づいた。「10万円くらいを元本にして」という誘い文句は、最初の一歩を小さく見せるための道具にすぎない。
7. 「叔父が金融アナリスト」「毎回10%の収益」 鳥栖署管内でロマンス詐欺が連続
佐賀県警鳥栖署は13日、管内でSNS型ロマンス詐欺が連続して発生したと発表した。基山町の女性のほか、みやき町の30代の男性も被害に遭った。男性は報道によって約870万円とも、800万円相当とも伝えられている。被害者はいずれもマッチングアプリで知り合った相手とSNSで親しくなり、「叔父は金融アナリスト」と持ち上げられ、「毎回1〜1.5割の利益が出る」と投資を勧められた。言われるまま暗号資産の口座を作り、複数回に分けて相手のアドレスへ送った。恋愛感情と「身内のプロ」の肩書きを組み合わせる、型どおりの手口だ。
8. 「1億円が入った口座がある」ビデオ通話で逮捕状を見せられ、暗号資産800万円 みやき町の40代女性
同じ鳥栖署管内では、ニセ警察詐欺も発生した。みやき町の40代女性に、7月29日、宅配業者を名乗る男から「あなたの住所から荷物が送られ、スキャンしたらお金だった」と電話があった。続いて警察官を名乗る男が国際的な資金洗浄で捕まえた被疑者が、女性から口座を買ったと話している、と告げ、SNSのビデオ通話に誘導した。画面には警察手帳のようなものと、逮捕状のような書類。「押収した口座には1億円が入っている」「保釈金は最低500万円くらい」。女性は7月31日と8月1日の2回、計約800万円相当の暗号資産を指定アドレスに送った。警察は、警察官がSNSで逮捕状を見せたり暗号資産を請求したりすることは絶対にないと呼びかけている。
9. 警察官や検察官を名乗る電話 生駒市の80代女性、3回で現金4800万円を郵便受けへ
奈良県生駒市の80代の女性が、現金4800万円をだまし取られた。警察によると、今年6月、警察官や検察官を名乗る男らから電話があった。「口座のお金が不正に使われていないか確認するため、引き出すように」という指示だ。女性は現金を引き出し、計3回にわたって自宅の郵便受けに置いた。置かれた現金は、そのまま持ち去られた。受け渡しに顔を合わせる必要はない。電話一本で、郵便受けが金庫から集金箱に変わる。しかも指示は、自分の口座の金を調べるためという名目だった。女性は言われるまま、自分で現金を引き出している。3回の受け渡しで、4800万円が玄関先から消えた。ニセ警察詐欺の被害額の大きさは、この日も際立った。
10. 「捜査上の守秘義務」を信じて半年 千曲市の80代女性、約4000万円
長野県千曲市の80代女性に、今年3月中旬、検察官を名乗る男から電話があった。荷物に他人名義のカードが入っており、このままでは犯罪者になりかねない、という話だった。続いて警察官を名乗る男が電話やSNSのメッセージで、通帳の残高を尋ね、「調べるので指定する口座に振り込んでください」と求めた。女性は4月上旬、3回にわたって個人名義の口座に約4000万円を振り込んだ。その後、相手と連絡が取れなくなり、10月に警察へ相談して被害に気づいた。理由は「捜査上の守秘義務」。家族にも話さず、約半年、被害に気づかなかった。額は報道により約3948万円とも伝えられている。
11. 公園のトイレ2カ所に紙袋と封筒 大分市の70代女性、「容疑を晴らすため」1200万円
大分市の70代の女性が、ニセ警察詐欺で1200万円余りをだまし取られた。9月、日本郵便の職員を名乗る男から、送った荷物が受け取られず、中に通帳やスマホがあったと連絡が入った。電話は広島県警の警察官を名乗る男に転送され、「マネーロンダリングの容疑がかかっている」と告げられた。指示されて入れたメッセージアプリには、逮捕状のような画像が届く。「容疑を晴らすため現金番号を確認したい」。女性は紙袋と封筒に入れた現金を、指定された公園のトイレ2カ所に置いた。大分市の60代女性も同じ手口で約700万円を失ったという。
12. 「あなたに令状が出ている」盛岡市の20代男性、潔白を証明するはずが約380万円
岩手県盛岡市の20代の男性が、9月、警察官と検察官を名乗る者に約380万円をだまし取られた。発端は9月25日。他県の警察官を名乗る男が、男性の携帯を鳴らした。「詐欺事件の犯人を逮捕した。被害金があなた名義の口座に振り込まれていた。あなたに共犯者の疑いがかかっている。裁判所から令状が出ている」。すぐに検察官を名乗る男が「潔白を証明するには口座の現金をすべて調べる必要がある」と続け、男性は指定口座に送金した。直後から連絡が取れなくなり、番号をネットで調べて詐欺と気づいた。20代の若者でも、令状の一言で金を動かしてしまう。年齢は盾にならない。
13. 別々のアプリ、別々の「アシスタント」 宮古市の男性、出金のたびに保証金を求められ1500万円
岩手県宮古市の男性が、SNS型投資詐欺で現金約1500万円をだまし取られた。男性は6月、SNSで投資の投稿を見ていた。7月に別々の投資家のアシスタントを名乗る者らからダイレクトメッセージが届き、勧められた別々の名前の投資アプリで株式投資を始めた。一方の口座に8月下旬までに約700万円、もう一方に8月上旬までに約800万円をネットバンキングで入金した。アプリ上には利益が表示される。出金しようとカスタマーサポートに連絡すると、どちらからもサービス料金や保証金を求められ、不審に思って詐欺と気づいた。男性の年代は報道により30代、40代と分かれている。犯人グループは別々のはずなのに、手口は同じ型だった。
14. 「広告投稿に出資すれば稼げる」 藤枝市の40代男性、複数回の振り込みで約1100万円
静岡県藤枝市の40代の無職男性が、SNSで知り合った相手に「広告投稿に出資することでお金を稼げる」と誘われ、現金約1100万円をだまし取られた。きっかけは6月下旬。男性は7月中旬から8月中旬にかけて、「出稿費用」の名目で、相手の口座へ現金を何度も振り込んだ。広告に出資するだけで稼げる。聞こえはいいが、実際に広告が出た形跡は報じられていない。警察は特殊詐欺事件として捜査するとともに、SNS上でお金を求められたり投資に勧誘されたりしたら詐欺だと注意を呼びかけている。副業を装う誘いは、投資の入り口でもある。
15. 「トクリュウのボスを捕まえた」 名張市の70代女性、「警察官が取りに行く」で現金800万円
三重県名張市の70代の無職女性が、警察官などをかたる特殊詐欺で現金800万円をだまし取られた。三重県警名張署が13日に発表した。9月22日ごろ、女性宅の固定電話に宅配業者を名乗る人物が現れた。用件は、届け先の荷物から現金が見つかったというものだ。続いて札幌の警察官を名乗る人物がトクリュウのボスを逮捕したところ、女性から個人情報を買ったと供述している、と告げ、別の警察官を名乗る人物がLINE通話で、全額を出金するよう指示し、受け取りに行くと言い添えた。女性は紙袋に入れた現金を玄関先に置き、何者かに持ち去られた。娘に話して詐欺と指摘され、発覚した。
16. 岡山は1週間で12件・1億5800万円余 愛知は9月末までで260億円超、前年の1.5倍
数字も出そろった。岡山県警の集計では、5日からの1週間(11日まで)に確認した特殊詐欺が12件、被害額は計1億5800万円余りに達した。内訳はニセ警察詐欺が9件で、ほかに架空料金に関する詐欺なども含まれる。愛知県警は、今年1月から9月末までの県内の特殊詐欺被害額が260億円を超え、2025年の同じ時期の約1.5倍になったと明らかにした。名古屋市のコンビニでは、強盗を想定した訓練に加え、高齢者が電子マネー10万円分を買いに来た場面を想定し、使い道を確認する訓練があった。1週間に12件。1日に2件近い。被害は、統計の数字の裏で毎日起きている。
断言する。電話の向こうの「警察」は、1円も預からない。
この日報じられた被害を並べると、共通点は明白だ。警察官も検察官も、令状も逮捕状も、LINEやビデオ通話の画面の中にしか存在しない。郵便受けや公園のトイレに置いた現金は、誰かが回収していく。投資アプリの利益は、出金の段階で保証金に変わる。洗浄役も、口座を用意した者も、かけ子もいる。分業が進むほど、手口は型どおりになる。型を知っていれば、電話の途中で切れる。お金の話が出たら、その場で払わない。それだけで、被害の入り口は閉じる。