【詐欺ニュースまとめ 9/30】芦屋の65歳、暗号資産8億2600万円相当が消えた 東芝子会社の元社員3人、架空発注で10年2.5億円超か
この日報じられた詐欺事件は約40件。芦屋では警察官を名乗る電話から暗号資産8億2600万円相当が消え、島根でも7998万円。ニセ警察の大口被害が並び、投資名目で現金を手渡しさせる手口も目立った。
1. 「19人が訴えている」 芦屋の65歳、暗号資産8億2600万円相当が消えた
桁が違う。兵庫県警芦屋署が30日に発表した被害は、約8億2600万円相当。芦屋市に住む65歳の男性が失ったのは、現金ではなく暗号資産だった。 始まりは9月5日。携帯電話を鳴らしたのは、愛知県警の警察官を名乗る男。男性の口座に2億数千万円が入金され、19人の被害者が訴えを起こしている――そういう作り話である。続いて持ち出されたのが“無実の証明”と“資産の保全”。男性は指示のとおり、預金や証券を暗号資産に替え、自分名義のウォレットへ移した。 送り先は自分の名義。それでも守れなかった。中身は10回に分けて、相手が管理するアドレスへ勝手に送られていったという。署は電子計算機使用詐欺事件として調べている。 預金も証券も、いったん暗号資産に替えさせてしまえば、奴らには窓口の声かけも振込の上限も関係ない。1人の被害が8億円を超えた。
2. 2か月間、毎日届いた“警察官”のメッセージ 島根の70代女性、2日間で7998万円
島根県警が30日に発表した。県東部に住む70代の女性が、7998万円をだまし取られた。 7月、北海道警の警察官を名乗る男から電話。5億円の被害が出た事件に関わった疑いがある、無関係だと証明するには金を振り込め、という筋書きだった。女性は9月10日までの2日間、指定された口座へ10回。合わせて7998万円である。 見るべきは時間のかけ方だ。最初の電話から振り込みまで約2か月。その間、男は毎日メッセージアプリで連絡を取り続け、女性は相手を信用するようになったという。脅して急がせるだけではない。毎日のやり取りで信用を積み、最後の2日間で一気に抜く。 島根県内の特殊詐欺の被害額は、8月末までで10億円を超えた。過去最悪だった去年1年分に、すでに並ぶ水準。そこへこの1件が加わる。
3. 秋田は暗号資産5055万円相当、一宮は金地金1.9キロ “現金以外”で奪う
現金を振り込ませない被害が、この日も2件。 秋田市では50代の男性が、警察官などを名乗る人物からのうその電話を受け、5055万円相当の暗号資産をだまし取られた。秋田県警が特殊詐欺事件として捜査している。 愛知県一宮市では70代の女性。7月、警察官などを名乗る男から、マネーロンダリングの一味と疑われていると電話が入った。次に出てきたのは検察官を名乗る男。持っている口座をすべて聞き出し、金を1つの銀行にまとめさせた。そのうえで命じたのが金地金の購入である。女性は2回に分けて約4300万円相当、重さ1.9キロを買い、自宅に来た男女に手渡した。 金地金なら送金の記録が残らない。持ち運びもたやすい。詐欺グループが金を選ぶ理由を、警察はそうみている。警察が金を買えと指示することは、絶対にない。
4. アプリの画面は“利益1億円以上” 新宿の飲食店で3680万円を手渡した会社員
埼玉県警川口署が調べている被害は、合わせて4129万円。 男性会社員の入り口は、SNSの投資広告だった。知り合った人物に投資グループへ招かれ、投資家や暗号資産交換業者をかたる人物からメッセージが届く。世界30カ国以上で事業をしている、今の好機は小遣い稼ぎのためのものではない――そんな調子である。 男性は5月29日から6月23日にかけて、ネットバンキングやATMで6回、計449万3420円を送金。ここまでは振り込みだ。ところが7月8日から24日は違う。東京都新宿区内の飲食店で、提携業者をかたる男らに現金を手渡した。その額、計3680万円。 入れるよう指示された投資アプリには、1億円を超える利益が表示されていた。引き出そうとすると、今度はサービス料の請求。男性が署を訪れたのは7月27日だった。
5. “証券会社の従業員”が受け取りに来る 山形の70代は6回で9500万円余り、佐賀でも4530万円
投資の金を、人が取りに来る。この手口の受け子が2人、逮捕された。 山形県警が逮捕したのは、東京都港区の無職・坂田恵美子容疑者(52)。グループは去年6月から7月、県内の70代男性にSNSで、株取引には証券会社の従業員へ現金を渡す必要があると伝えた。7月19日、男性の自宅近くで従業員になりすまして200万円を受け取った疑い。男性は9月10日までに6回、複数の女に現金を渡し、被害は9500万円余り。別の県の詐欺事件の捜査から警察の連絡が入り、初めて被害だと分かった。坂田容疑者は兵庫と神奈川でも同様の事件で逮捕・起訴されている。 佐賀南署は29日、宮崎市の無職の男(63)を逮捕。佐賀市の60代男性に、株の売却益を出金するにはサービス料が要る、スタッフが受け取りに行くと伝え、市内の駐車場で1000万円を受け取った疑い。男性の被害は計4530万円にのぼる。
6. 架空発注で10年、2億5000万円超か 東芝子会社の元社員3人を逮捕
だました相手は、自分の会社だった。 30日、警視庁に詐欺の疑いで逮捕されたのは、東芝の子会社だった「東芝ITコントロールシステム」の元社員3人。同社はすでに別の会社に吸収合併されている。岩沢英智容疑者(51)、中嶋弘晃容疑者(54)、赤楚由紀朗容疑者(42)。認否は明らかにされていない。 逮捕容疑は2021年2月から22年12月。取引のある都内の下請け会社に設計を頼んだと自社の経理担当に偽り、約3800万円を振り込ませた疑い。金は下請けから知人らの口座へ回り、引き出された現金が3人の手に戻る仕組みだったとされる。 警視庁の見立てでは、金額を決めていたのは岩沢容疑者で、取り分は全体の6、7割。同じやり方は13年ごろから続き、総額は約2億5000万円にのぼるとみられている。発覚のきっかけは税務調査だった。
7. 【続報】司法取引が使われた福山の“ニセの金”事件 指示役とみられる37歳を逮捕
司法取引が実を結んだのか。広島県福山市の買い取り店に金の模造品が持ち込まれた事件で、広島県警は30日、中国籍のシュエ・ジーウェイ容疑者(37)を詐欺の疑いで逮捕した。指示役とみられている。 容疑は去年7月、別の人物と共謀し、福山市内の買い取り専門店3店舗に金を装った品を持ち込んで買い取らせ、現金をだまし取ったというもの。 この事件ではすでに共犯の5人が逮捕・起訴された。そのうち1人が検察の捜査に協力する司法取引に応じ、執行猶予付きの判決を受けている。県内では今年初めてとみられる適用例だ。 背後にいるのは匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウとみられる。警察は共犯事件であることを理由に認否を明かしていない。余罪があるとみて、全容の解明を進める。
8. 拠点は西アフリカのシエラレオネ かけ子は50〜80代、男女6人を再逮捕
東南アジアではない。今度の拠点は西アフリカである。 シエラレオネを拠点に特殊詐欺をしていたとして、兵庫県警などは29日、横浜市の自称個人事業主・北岡博文容疑者(61)、札幌市に住む山中竜政容疑者(58)ら男女6人を詐欺の疑いで再逮捕した。6人は50〜80代。認否は明らかにされていない。 再逮捕の容疑は去年6月。徳島県の20代の女性に警察官や検察官をかたって電話をかけ、あなた名義のカードが見つかった、金を振り込めば逃げない意思を示せる、などと告げて、ATMから3回、計47万円を送金させた疑い。 警察は北岡容疑者を、人を集めるリクルーターとみている。残る5人は誘われて電話をかけた「かけ子」とみられる。兵庫県警は7月、この6人を含む9人を逮捕していた。札幌市の女性から5500万円をだまし取った疑いも持たれている。
9. 【続報】カンボジア拠点の“リーダー格”は31歳 強制送還の2人を福岡県警が逮捕
フィリピンで拘束されていた2人が、29日に強制送還され、福岡県警に逮捕された。大井拓実容疑者(31)と岡田翔容疑者(27)。容疑は詐欺未遂。認否は明らかにされていない。 県警がリーダー格とみているのは大井容疑者だ。カンボジアの拠点で岡田容疑者らメンバーと共同生活を送りながら、詐欺の電話を繰り返していたとみられる。この拠点をめぐっては5月以降、日本人の男女8人が摘発されている。 逮捕容疑は1月2日。8人らと共謀し、警察官を装って宮崎市の30代の女性に電話をかけ、資金洗浄の疑いがかかっていると告げてクレジットカードの番号を聞き出そうとし、現金をだまし取ろうとした疑い。 2人はカンボジアからフィリピンへ移り、4月下旬に現地当局に拘束されていた。国を変えても、逃げ切れなかった。
10. 口座の照会がオンラインで20行に 数週間かかった手続きが縮まり、出し子の逮捕も
金の流れを追う速さが変わる。 警察庁は30日、詐欺に使われた口座の資金移動をオンラインで照会できる官民の枠組みに、新たに11の金融機関が加わったと発表した。ソニー銀行、auじぶん銀行、ローソン銀行、ドコモSMTBネット銀行、みんなの銀行などで、運用は10月1日から。6月に始めたメガバンクなど9行と合わせ、参加は20行になる。 仕組みはこうだ。都道府県警が警察庁を通して、口座の情報をオンラインで問い合わせる。これまでは数日から数週間かかっていた。 6月以降の照会は1000件超。犯罪の金がたまっている疑いのある口座を複数凍結した。ATMからの出金をすぐにつかみ、防犯カメラの映像を早く確かめたことで「出し子」の逮捕につながった例もあるという。奴らが金を引き出すより先に止められるか。勝負はそこだ。
11. 四日市1040万、佐世保970万、鳥栖370万 気づくのは“出金できない”とき
SNSから始まる投資詐欺。この日も各地の警察が被害を発表した。 三重県四日市市では50代の女性。4月、SNSで知り合った人物に勧められて暗号資産のサイトに登録し、買った暗号資産を指定のアドレスへ送った。被害は1040万円分。利益を出金できないことを不審に思って署に相談したが、相手とは連絡がつかず、サイトも開けなくなっていた。 長崎県佐世保市では20代の会社員の男性。7月、インスタグラムで投資情報を流すアカウントを見つけた。資金が700万円まで増えれば割安な株を買える、という話を信じ、7回で約970万円を振り込んだ。 佐賀県鳥栖市では50代の男性。6月下旬にマッチングアプリで日本人女性を名乗る人物と知り合い、好意を抱いたところで、叔父の助言でもうかったと暗号資産投資を勧められた。5回で約370万円相当を送っている。
12. 「300万円は私が立て替える」親切な“株の先生” 返すまで出金させない
山形県山辺町の20代男性が、239万円をだまし取られた。入り口はXである。 5月、株式投資のアカウントをフォローすると、LINEへ移りたいというメッセージが届いた。現れたのは株取引のアシスタントを名乗る人物。そこから“先生”を紹介され、先生から手数料の安い取引サイトを紹介され、サイトの担当者ともLINEでつながった。登場人物は3人。 試しに40万円を振り込むと、サイトに利益が出た。信用して、さらに199万円。ここで先生が言う。あと300万円入れればもっと買える、自分が立て替える、と。サイトには300万円の入金が反映された。 出金を求めると、立て替え分を返さなければ出せないと言われ、しつこく催促された。 群馬県富岡市では20代の女性会社員が308万円。副業の投稿からLINEへ誘われ、店舗の出資金、ショップの凍結解除と名目を変えて10回振り込まされた。
13. 50万円の古民家に億単位の保険 元保険調査員に懲役14年を求刑
火災を調べる側の人間が、火をつける側に回った。 被告席にいるのは元保険調査員の深町優将被告(55)。北海道など4つの道県で古民家や空き家に火をつけ、保険金や共済金あわせて約1億2800万円を詐取したとして、放火と詐欺などの罪に問われている。岡山地裁で30日に開かれた公判で、検察側は懲役14年を求刑した。 検察側によれば、被告はどの事件でも放火の実行役。調査員としての知識を使って助言もしていたという。物件は50万〜230万円で買ったもの。そこに掛けられた保険金や共済金は4000万〜2億3000万円。名義人役、住人役まで置いた組織的な犯行だと指摘した。 弁護側は、物件の購入も保険の契約や請求も指示役が取り仕切り、被告は従う立場だったと主張。だまし取った金の分け前も受け取っていないと訴え、寛大な判決を求めた。判決は11月11日。
14. 改造したはずのごみ運搬車に、その跡がない 運送会社を詐欺容疑で捜索
徳島県警は30日、阿波市の運送会社を詐欺の疑いで家宅捜索した。 この会社は、阿波市や板野町などでつくるごみ処理の組合から、ごみの運搬を任されている。疑われているのは車両の改造費だ。ごみを積む荷台に腐食を防ぐステンレスの板を貼る、といった名目でトラック7台分の費用を組合から受け取りながら、実際には改造していなかったとされる。 金額は報道により異なる。約2000万円とする報道と、改造費などとして4000万円余りとする報道がある。 明るみに出た経緯が生々しい。今年5月、徳島県議が会社を視察した。そこでトラックに改造の跡がないことに気づき、6月に刑事告発。警察が捜査を進めていた。 出どころは住民のごみ処理のための金である。捜索で何が出てくるか。
15. 「風邪で声が変わった」「同窓会の招待状」 三条で100万円、札幌は“バッグを盗まれた息子”に400万円
古典的な“息子”の電話が、まだ効いている。 新潟県三条市の80代男性には24日、息子を名乗る男から電話。風邪で声が変だ、同窓会の招待状が届いたら教えて、と。翌日は、株の税務申告をしておらず脱税で逮捕される、100万円ほど用意できないか。男性は商業施設の駐車場で“代理人”に100万円を渡した。三条署管内では実在の高校名を挙げる似た電話が相次ぐ。 札幌市豊平区の70代女性は、喫茶店でバッグを盗まれたという“息子”の話を信じ、2日間でATMから400万円を引き出し、自宅に来た男に渡した。29日、本物の息子からの電話で気づいた。 逮捕もある。新潟東署と上越署は30日、東京都府中市の無職・永澤弘明容疑者(40)を逮捕。上越市の70代女性が息子を装う電話を受けて宅配便で送った400万円を、埼玉県新座市の集合住宅で受け取った疑い。容疑を否認している。
16. “独身のパイロット”は無職で妻子がいた 式場まで予約して140万円
名刺に、乗務員がよく使うキャリーケース。小道具をそろえた男の正体は、無職だった。 詐欺などの罪に問われている芳澤克哲被告(40)の公判が9月15日、東京地裁であった。FRIDAYが30日に報じた。被告は起訴内容を認めている。 報道によると、被告は去年10月、マッチングアプリで女性と知り合い、パイロットを名乗った。翌月には同棲。女性の家族にあいさつを済ませ、今年4月に式を挙げるつもりで式場まで予約していた。そのうえで、挙式の手付金や住宅の購入費がいると偽り、140万円をだまし取ったとされる。女性は生命保険を解約し、親族から借りて金を用意していた。 別の女性にはNISA口座の開設を持ちかけ、50万円。口座が作られた形跡はなかったという。 独身でもなかった。逮捕時、被告には妻がいた。
断言する。本物の警察は「資産を移せ」とも「金を買え」とも言わない。
芦屋の8億2600万円も、島根の7998万円も、一宮の金地金も、始まりは同じ。警察官を名乗る1本の電話だ。違うのは奪い方だけ。暗号資産に替えさせる。金を買わせる。2か月かけて毎日メッセージを送る。奴らは相手の資産に合わせて、いちばん大きく抜ける形を選んでくる。 投資名目でも同じである。山形でも佐賀でも新宿でも、最後は人が現金を受け取りに来た。証券会社も取引所も、客の金を駐車場や飲食店で受け取ったりはしない。 電話で資産の話が出たら、そこで終わり。金を手渡せと言われたら、そこで終わり。見分ける線は、それだけで足りる。