【詐欺ニュースまとめ 9/29】周南の70代、自宅敷地の紙袋で2600万円 詐欺の金を暗号資産に替えた“相対屋”、半年で40億円か
9/29の詐欺ニュースは16項目。周南で2600万円、北見で2200万円、上越で1100万円とニセ警察の大口被害が各地で続き、宮崎では詐欺の金を暗号資産に替えた“相対屋”の男3人が逮捕された。
1. 上海行きの荷物、口座に9000万円 周南の70代女性、自宅の敷地に置いた2600万円
始まりは7月。山口県周南市の70代女性のスマホに、郵便局員を名乗る男から電話が入った。上海へ送られかけた荷物に、あなたの名前があったという。電話は“福岡県警の警察官”に回され、今度は「あなた名義の口座に被害者から9000万円が振り込まれている」。無関係なら捜査に協力を、とLINEへ誘導された。そこから奴らは“検察官”まで登場させ、口止めをかけた。最後の要求は、手元の現金が被害金でないことの証明。確認係が取りに行くという。9月8日、女性は2600万円入りの紙袋を自宅の敷地に置いた。袋は消えた。女性の口座から大金が引き出されたことを不審に思った金融機関が警察に相談し、被害が表に出た。約2か月、奴らは女性を画面の向こうから操り続けていたことになる。
2. 「荷物に現金100万円」から“科捜研に送れ” 北見の70代女性、宅配便3回で2200万円
オホーツク地方に住む70代の女性。8月10日ごろ、自宅の固定電話に大手配達業者を名乗る者から連絡が来た。あなたが送った荷物に100万円が入っていた、と。電話は警察に代わり、札幌の警察官を名乗る男が「重要参考人」だと告げる。そして出てきたのが、現金を調べるから科捜研に送れという指示だ。女性は言われた住所へ宅配便で600万円、900万円、700万円。3回で合わせて2200万円が消えた。やり取りは9月20日ごろまで続き、その後、男からの連絡がぷつりと途絶える。不審に思った女性が警察に相談し、ようやく詐欺と分かった。北見署が29日に発表した。科捜研が一般人から現金を受け取ることはない。警察が現金の送付を求める電話は、それだけで詐欺だ。
3. 詐欺の被害金を暗号資産に 宮崎県内初の“相対屋”検挙、父子ら3人で半年40億円か
詐欺グループの金を暗号資産に替えて“洗う”。その換金役、いわゆる相対屋が宮崎県内で初めて摘発された。宮崎県警が29日に逮捕したのは、東京都の会社役員、清水大貴容疑者(26)と父親の清水英明容疑者(58)、千葉県成田市の会社役員、覚王雅彦容疑者(39)の3人。容疑は組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)だ。昨年10月と今年2月、愛知県の40代女性と三重県の70代女性がだまし取られた金を含む計340万円を暗号資産と交換し、隠した疑いがある。3人は換金の手数料で稼いでいたとみられ、県警は昨年10月からの半年で洗浄額が40億円を超えるとみる。発端は警視庁からの情報だった。別のネットバンキング不正操作事件の被害口座から、父子が代表を務める宮崎市の会社に送金されていたという。認否は明らかにされていない。
4. 「令和のカリスマ」を名乗ったインフルエンサー 1個40万円の権利を“2000万円”と偽り6000万円
肩書は「令和のカリスマ」。ビジネス系インフルエンサーとして売っていた男が、愛知県警に再逮捕された。東京都中央区の会社役員、二井矢祥容疑者(39)。容疑は偽造有印私文書行使と詐欺だ。2023年、名古屋市の会社社長の男性に未上場企業の新株予約権を買う話を持ちかけ、6000万円をだまし取った疑いがある。手口は文書の偽造。本来1個40万円の新株予約権を、1個2000万円とした偽の書類を見せて信用させたとみられている。実に50倍。投資の世界で“カリスマ”を名乗る人物ほど、数字の裏付けを自分の目で確かめる必要がある。警察は認否を明らかにしていない。
5. かけ子を集めた男と、電話をかけた男 フィリピンから移送、機内で逮捕
カンボジアに拠点を置いた特殊詐欺グループ。その“人集め”役と“電話係”が、逃亡先のフィリピンから日本へ連れ戻された。埼玉など9道府県警の合同捜査本部は29日、住居不詳の無職、高橋勇太容疑者(45)と杉田裕希容疑者(39)を組織的詐欺の疑いで逮捕した。逮捕状は移送中の機内で執行された。容疑は長野県の女性から現金をだまし取ったというもの。捜査本部は、高橋容疑者が国内でかけ子を勧誘し、杉田容疑者がそのかけ子として拠点から電話をかけていたとみている。このグループではすでに男35人が逮捕されており、確認された被害は現金と電子マネーで約10億円。国境を越えて逃げても、捜査の手は届く。
6. マレーシアで日本人9人拘束 “海外の高額バイト”の行き着く先
今度はマレーシアだ。日本人を狙ったとみられる特殊詐欺に関わったとして、日本人9人を含む13人が現地の警察に拘束された。NHKが29日に報じた。海外での高収入のアルバイトなどをうたって勧誘され、そのまま詐欺の片棒を担がされるケースが後を絶たない。東南アジアでは今月、バンコクの高級住宅で日本人4人が拘束されたばかり。拠点は国を変え、場所を変え、次々と現れる。「海外で稼げる」の誘い文句に乗った先で待っているのは、詐欺の実行役という立場だ。拘束された9人の役割や経緯の詳細はまだ伝えられていない。
7. 12年前の1600万円未遂 中国に5年以上、時効は止まっていた
時効まで逃げ切れる。そう踏んでいたのかもしれない。警察は、およそ12年前の特殊詐欺未遂事件で、住居不定・無職の32歳の男を逮捕した。2014年5月下旬、仲間と組んで長野県東御市の80代男性に警察官などを装って電話をかけ、約1600万円をだまし取ろうとした疑いがある。詐欺罪の公訴時効は7年。だが男は少なくとも5年以上を中国で過ごしており、国外にいる間は時効の進行が止まっていた。男は当時、グループの指示役だったとみられる。受け子などの実行役は2015年にすでに逮捕済み。上だけが外に逃げていた構図だ。男は調べに容疑を否認している。
8. “特選調査”に“保釈金”、最後は「上越署で返す」 30代男性、ネットバンキングで1100万円
7月28日、新潟県上越市の30代男性の携帯に、クレジットカード会社を名乗る男から電話が来た。大分県でカードが使われている、と。電話は“大分県警”に引き継がれ、口座が特殊詐欺に使われていると告げられる。奴らが持ち出したのは「特選調査」なる聞き慣れない言葉。選ばれれば逮捕されずに済むという。連絡用アプリでの定期報告を命じられ、7月31日には“検察官”から保釈金を払えば逮捕されないと迫られた。男性は8月22日までに、指定の4口座へネットバンキングで計1100万円を送った。8月30日、金はいつ戻るのかと尋ねると、今日上越警察署で返すとの答え。署に行って、すべてが作り話だと知った。
9. 資産をすべて現金に、そして玄関の外へ 松山の70代女性570万円、光市でも200万円
愛媛県松山市の70代女性。始まりはNTT職員を名乗る男の電話だった。携帯料金の未払いから、話は犯罪への関与へ。電話を代わった“兵庫県警の警察官”に、あなたが犯罪に関わっていると言われ、女性は指示どおり資産をすべて現金に換えて自宅に置いた。とどめは“検事”を名乗る別の男。報道によれば、SNSのビデオ通話でもやり取りがあったという。8月27日、女性は約570万円を紙袋に入れて玄関の外に置き、何者かに持ち去られた。その後、相手と連絡が取れなくなり詐欺と気づいた。山口県光市でも29日、50代の会社員が警察官をかたる特殊詐欺で現金200万円をだまし取られたと光署が発表した。“警察”からの電話で金の話が出たら、一度切って、その署にかけ直す。これだけで防げる。
10. 「犯人を逮捕した」「あなた名義のカードが出てきた」 久喜の52歳公務員、1日で1248万円
埼玉県久喜市に住む52歳の女性公務員が、1248万円をだまし取られた。幸手署が28日に発表した。8月6日から、警察官を名乗る男らが繰り返し連絡してきた。特殊詐欺の犯人を捕まえた、その犯人のもとからあなた名義のキャッシュカードが見つかった、という筋書きだ。自分が事件に巻き込まれていると思い込まされた女性は、翌7日、市内のコンビニのATMなどから指示どおりに5回振り込み、1248万円が奴らの口座に消えた。たった1日の出来事だ。その後、不安を覚えて久喜署に相談し、詐欺だと告げられた。現役の公務員でも見抜けない。それが今の“ニセ警察”の完成度だ。
11. 「私たちの生活を」から“田黄石”の保証金 佐賀・長崎、SNS発の被害が1日に3件
佐賀県の鹿島署管内に住む60代男性は7月から、日本人女性を名乗る相手とSNSでやり取りしていた。将来を一緒に考えたいという甘い言葉のあと、8月に出てきたのが「田黄石のオークションの保証金が150万円足りない」。田黄石は中国で珍重される黄色い印材だ。男性は8月21日と24日、保証金名目で3回送金し、計150万円を失った。同じ佐賀県では、鳥栖市の50代男性もマッチングアプリの相手に好意を抱き、暗号資産で370万円をだまし取られたと報じられている。長崎県佐世保市では、20代の男性がSNSで知り合った人物からうその投資話を持ちかけられ、約970万円の被害。恋愛も投資も、始まりはいつもスマホの中の見知らぬ相手だ。
12. 「投資グループに有名な人がいる」 島田の70代女性から200万円、46歳の受け子を逮捕
静岡県島田市の70代女性は、SNSで知り合った相手を信じていた。投資グループに有名な人物がいる、金を預けて運用を任せれば利益が出る。そう言われ、2月ごろから4月中旬にかけて話が進んだ。現れたのは“投資グループの社員”を名乗る男。女性は島田市内の駐車場で、現金200万円を手渡した。この受け取り役として、住所不定・無職の46歳の男が詐欺の疑いで逮捕された。男は静岡県外の同じような詐欺事件ですでに捕まっており、その捜査の中で今回の件が浮かんだ。女性は警察から問い合わせを受けるまで、だまされていることに気づいていなかった。男は金を受け取ったことを認めている。
13. 島根は8か月で10億円超、愛媛は去年の3倍近い22億円 地方の“最悪”が止まらない
数字が地方の危機を物語る。島根県では、今年1月から8月末までの特殊詐欺の被害額が10億円を突破した。たった8か月で、去年1年分に並ぶ規模だという。県警は10月末までを集中対策期間と位置づけた。愛媛県も深刻だ。8月末までの被害は215件、被害額は約22億5700万円。前の年の同じ時期と比べて3倍近くに膨らんだ。29日には松山市内のコンビニで、電子マネーを買いに来た客が架空料金請求の被害者だったという想定の訓練が行われ、店員が購入理由を尋ねたり110番したりする手順を確かめた。人口の少ない県ほど、1件の大口被害が全体の数字を大きく押し上げる。油断していい地域など、もうどこにもない。
14. 生成AIに「どこで売ってる?」 答えのリンクが詐欺サイトだった
調べものをAIに任せる時代。そこに奴らが食い込んできた。日本経済新聞によると、生成AIの回答に偽サイトや詐欺サイトへのリンクが混じる例が相次いでいる。犯罪グループが検索結果を不正に操作して、正規のショップにそっくりなサイトを上位に押し上げ、それをAIに参照させる手口だという。記事では、対話型AIにある商品を売っているサイトを尋ねると、ショッピングサイトのURLが返ってきた事例が紹介されている。AIは“正しそうな答え”を自信満々に出す。だが、その出どころまでは保証しない。警察やセキュリティー会社は、回答をうのみにしないよう注意を促している。リンクを踏む前に、公式サイトのアドレスかどうかを自分で確かめるしかない。
15. 「男子トイレでかばんの受け渡し」 知人を“運び屋”に誘った22歳の女を逮捕
闇バイトの勧誘は、知人から来ることもある。警察は名古屋市中区の無職、服部蓮歩容疑者(22)を逮捕した。9月22日、インスタグラムの通話機能などを使って知人の男性に、特殊詐欺でだまし取った現金を運ぶ仕事を持ちかけた疑いだ。持ちかけた内容は生々しい。男子トイレで金の入ったかばんを受け渡す。着替えやリュック、帽子、マスクを用意しておく。つまり、防犯カメラに顔と服装を残さないための準備だ。服部容疑者は、自分がしていた運び屋の闇バイトに誘ったこと自体は認めているが、話した内容はまったく違うと述べているという。警察は余罪や共犯者の有無を調べている。
16. 「妊娠したかも」「入院費が必要」 知人男性から228万円、31歳の女を逮捕
相手は見知らぬ詐欺師ではなく、顔見知りの知人だった。警察は名古屋市中区の職業不詳、宮本夏帆容疑者(31)を詐欺の疑いで逮捕した。2024年から2025年にかけて、東海市の54歳の男性にSNSで妊娠したかもしれない、子宮の病気で入院費や治療費がかかるなどとうそのメッセージを送り、あわせて約228万円をだまし取った疑いがある。金は手渡しのほか、自宅の郵便受けに入れさせる形でも受け取っていたという。宮本容疑者は、妊娠の話自体は本当だったが途中からうそを混ぜて金をもらったと話し、容疑を一部否認している。
断言する。“警察”が金を預かる、調べる、返す——この3つが出た時点で詐欺だ
この日も並んだのは、郵便局、配達業者、NTT、カード会社を入り口にした“ニセ警察”だ。周南は紙袋を庭に、北見は宅配便で科捜研へ、松山は玄関の外、上越はネットバンキング。渡し方はバラバラでも、筋書きは一つ。あなたが疑われている、潔白を証明するために金を出せ。上越の男性は最後に「上越署で返す」とまで言われている。本物の警察は、捜査のために市民の金を預かりも、調べもしない。そして“返す”と言ってくることもない。一方で、宮崎の相対屋、フィリピンからの移送、12年越しの逮捕と、奴らの背後を追う捜査も確実に進んでいる。逃げ得は許されない。だが、被害を止める一番の近道は、電話を切って家族に話す、その一手だ。