【詐欺ニュースまとめ 10/30】津島市の60代男性がニセ警察に1億8940万円、岡崎では金地金8キロ、融資金詐取の「指南役」2人を逮捕
29〜30日に報じられた詐欺は約16件。愛知・津島市でニセ警察詐欺の1億8940万円、岡崎市で時価約1億7000万円の金地金と高額被害が続き、警視庁は融資金を詐取する「指南役」2人を逮捕した。
1. 「あなたを共犯と疑っている」 津島市の60代男性、5〜8月に1億8940万円
愛知県警津島署が29日に発表した。始まりは4月。配送会社の職員を名乗る男から「あなた名義の荷物にキャッシュカード類が入っていた」と電話が入る。そこから警察官役、検事役へと電話は渡され、LINEで指示が飛んだ。「マネーロンダリングの共犯を疑っている」「潔白を示すために資金を調べる」。男性は5月から8月にかけ、指定された口座へ複数回振り込んだ。総額は1億8940万円。5月には金融機関が不審な送金に気づいて警察に通報し、署員が男性から話を聞いている。だが当時の男性は「警察」を信じ切っており、聞き入れなかった。発覚は10月。やり取りしていたアカウントに連絡がつかなくなり、28日に自分から警察へ相談した。警察は、捜査の名目で金を振り込ませることは絶対にないと呼びかけている。
2. ビデオ通話の相手はカメラオフ 岡崎市の70代女性、金地金8キロ・時価約1億7000万円
28日、岡崎市の70代の無職女性の携帯電話に警察官を名乗る人物から連絡が来た。「スマホ決済サービスが不正に使われた疑いがある」。やり取りはすぐLINEなどの通信アプリに移され、ビデオ通話になる。ただし相手のカメラはオフ。顔は最後まで見せなかった。翌29日、相手は女性が持っていた金地金に目をつける。「不正に入手した金ではないと確認する必要がある」。女性は言われたとおり、金地金8キロを風呂敷に包んで自宅の車庫に置いた。しばらくして見に行くと、消えていた。時価にして約1億7000万円。30日、不安になった女性が110番通報して発覚した。警察は「警察がLINEでやり取りすることはない。詐欺を疑ってほしい」と注意を呼びかけている。
3. 偽の収入と偽造保険証で融資金2340万円 詐欺グループの「指南役」今村浩司容疑者(58)ら2人を逮捕、被害は8億円超か
警視庁は今村浩司容疑者(58)と姫野智正容疑者(48)を逮捕した。容疑は2025年9月。不動産を買うという名目で金融機関に住宅ローンを申し込み、融資金2340万円をだまし取ったというもの。申請には嘘の収入を書き、偽造した健康保険証を添えていた。2人は詐欺グループの「指南役」とみられる。今村容疑者は、ローンの手続きをしたのは自分で、申請の中身がでたらめだと分かっていた、と認める趣旨の供述をしているという。警視庁は、このグループが複数の金融機関から計8億円以上をだまし取ったとみて調べている。電話一本で老人を狙うだけが詐欺ではない。銀行の審査をくぐる書類づくりを請け負う裏方がいる。そこを断たなければ、新しい借り手役が次々に立てられる。
4. 暴力団への送金で逮捕状が出ている 大津市の87歳男性、神社に置いたかばんから3800万円
滋賀県警大津署が30日に発表した。14日、男性宅に警視庁の警察官を名乗る男から電話があった。「暴力団に現金を渡した件で逮捕状が出ている」。男は住所などの個人情報と、自宅にある現金の額を聞き出した。次に出た台詞はこうだ。その金が犯罪に使われていないか、こちらで確認する。21日、男性は指示に従い、現金を詰めたかばんを自宅近くの神社に置いた。かばんは持ち去られた。被害は約3800万円。逮捕状という脅しで怯えさせ、金額を探り、一番大きくなったところで取りに来る。87歳の男性相手に、奴らは1週間かけて準備を整えていた。
5. お札の指紋を調べるから車の下に置け 島田市の80代男性、約1400万円
静岡県島田市の80代の無職男性の家の固定電話に、9月下旬から10月下旬にかけて何度も電話があった。名乗ったのは警察官や検事。「暴力団員を逮捕したら、あなたの免許証が出てきた」「その組員は免許証を使って薬を売っていた」。さらに「お札に付いた指紋や番号を調べる必要がある。下ろした金を車の下に置いてほしい」。男性は指示どおり、自分の車の下に現金を複数回置き、合わせて約1400万円をだまし取られた。発覚のきっかけは金融機関。何度も大金を下ろす男性を不審に思って警察に通報した。警察は、警察官が金を振り込むよう求めることはないと呼びかけ、必ず家族か警察に相談してほしいとしている。
6. 実在の通信事業者を名乗る女から始まった 呉市の70代男性、敷地に置いた紙袋の730万円
広島県警広署が30日に発表した。今月1日、呉市の70代の団体職員の男性方の固定電話に、実在する通信事業者を名乗る女から電話があった。「あなた名義の電話番号が特殊詐欺に悪用されている」。直後に警察官を名乗る男が出る。「暴力団を捕まえたら、あなたに口座と電話番号を渡したと言っている」。続いて警察官役や検察官役とのやり取りで、犯罪収益を受け取っていないことの証明として口座から現金を引き出せと指示された。17日、男性は730万円を紙袋に入れて自宅の敷地内に置く。回収された。その後、男らと連絡が取れなくなったことで不審に思い、警察に届け出て発覚した。企業の名を最初に出して信用させ、警察へ「つなぐ」。入り口の電話から、すでに台本の一部だ。
7. 「あなたの携帯が詐欺メールの発信元だ」 中野市の60代男性、捜査員役に1450万円を手渡し
長野県中野市の60代男性が、警察官などをかたる詐欺に遭い、現金1450万円をだまし取られた。10月下旬、男性の携帯電話に総務省を名乗る男から電話があり、詐欺メールがあなた名義の端末から出ている、と告げられたという。その後、捜査員を装う男に現金を手渡した。総務省、捜査員と相手の肩書きが替わっていく。電話の主が変わるたびに、疑う余裕は削られていく。報道ではニセ警察詐欺とみられると伝えられている。直接手渡しである以上、受け取りに来た人間が必ずいたことになる。
8. 新潟中央署の警察官を名乗る男ら 釧路市の60代男性、計1118万円
北海道の釧路市に住む60代の男性が、新潟中央署の警察官を名乗る男らに、現金計1118万円をだまし取られていた。29日に判明し、釧路署が特殊詐欺の疑いで捜査している。道内の男性に、遠く離れた新潟の警察署の名が使われた。実在の署名を名乗られれば、疑いにくくなる。詳しい経緯は報道では明らかにされていない。
9. 「医療費の払い戻し」でキャッシュカード3枚 自衛官の男(21)ら3人を逮捕、釧路
釧路署は29日、詐欺と窃盗の疑いで、札幌市の販売代理店業の男(21)、旭川市の自衛官の男(21)、福岡市の会社員の男(30)を逮捕したと発表した。8月6日、釧路管内の70代女性の自宅の固定電話に「役場職員」を名乗る男から電話があった。「7年分の医療費の払い戻しがある」。続いて金融機関を名乗る男が暗証番号を聞き出し、「エラーが出た」とカードを取りに行くと伝える。やって来た若い男に、女性はキャッシュカード3枚を渡した。引き出されたのは3回、約102万円。札幌の男は実行役を集めるリクルーター兼回収役、旭川の自衛官は回収役、福岡の男はリクルーター役とみられる。警察は認否を明らかにしておらず、「トクリュウ」の可能性も視野に調べている。女性は隣人に相談して詐欺に気づいた。
10. 「家族が事故、緊急手術だ」 マレーシアで日本人の男5人を拘束、病院職員になりすまし
現地当局などの発表では、26日にマレーシアのペラ州(西部)の住宅から、日本人の男5人(21〜27歳)が身柄を押さえられた。容疑は、病院の職員になりすまして日本へ電話し、家族が事故で緊急手術になったと偽って、治療費名目の金をだまし取ろうとしたこと。連絡には秘匿性の高い通信アプリを使っていたとみられる。拠点からは携帯電話やタブレットなど20台以上が押収された。現地の日本総領事館は事実確認を進めている。マレーシアでは9月以降、特殊詐欺に関連して、この5人を含めて計31人が拘束された。海の向こうの住宅が、日本の家庭を狙う電話工場になっている。
11. レンタルスペースが「偽バー」に 飲み放題5000円のはずが、総額960万円以上を払わされた20代男性
日経新聞によると、大阪府警は男女10人のグループを詐欺容疑などで摘発した。8月までの捜査で、大阪・ミナミの貸しスペースが本物のバーを装っていたと分かった。2025年11月、「飲み放題付きで5000円」と説明されて入店した20代の男性に、実際に請求されたのは24万円超。払わずにいると、無銭飲食扱いにして弁護士経由で取り立てると脅され、さらに「営業が止まった」と自宅まで押しかけられ、支払いは960万円以上に膨らんだ。入口はマッチングアプリ。女のふりをした指示役が男性をデートに誘い、待っていたグループの女と会わせたうえで店内へ案内した。指示役は仲介サイトに偽名で「合コン」と書いて部屋を借りていた。警視庁も6月、新宿区で同様の手口の4人を逮捕している。約30人から計2000万円以上を詐取したとみられる。
12. 「農林水産省が運営する公式サイトだから安心」 長井市の20代女性、副業サポート費93万円
山形県長井市の20代の女性が、約90万円をだまし取られた。8月、副業サイトで電話相談を予約すると、その日のうちに080から始まる番号から着信があった。勧められたのは、馬券を買って運用する副業。相手は、このサイトは農林水産省の運営だから危険はないと言い切り、元手に100万円が要る、借金しても2か月で返せるほど稼げる、と畳みかけた。女性は教えられたとおり貸金業者から100万円を借り、サポート費用として約93万円を指定口座に振り込んだ。残る約7万円で馬券を買ったが、もうけはほとんど出ない。友人や消費生活センターに相談して、被害に気づいた。国の名前を借りた安心と、借金をさせてまで払わせる強引さ。両方が一つの電話に入っていた。
13. インスタで「600万円援助する」 7万3000円を電子マネーで送らせた青森の大学生(23)を逮捕
長崎県警は28日、青森県に住む大学生の男(23)を特殊詐欺の疑いで逮捕した。容疑は昨年5月、仲間と共謀し、長崎市内の30代女性にInstagramのメッセージで「現金600万円を援助する」と持ちかけたこと。さらに「口座に振り込むには、PayPayで電子マネーを指定のアカウントに送金する必要がある」とうそをつき、同じ日のうちに5回、合計7万3000円相当を送金させて、男が管理するアカウントの残高を増やした疑いがある。女性はその日のうちに疑問を持って警察に相談した。送金先を調べた警察が、男にたどり着いた。600万円という餌に対し、請求は7万3000円。小さく刻む手口でも、足跡は残る。警察は男の認否を明らかにしておらず、共犯の有無も調べる方針。
14. 寝起きに「警察」から電話、免許証までビデオ通話で見せた 現役世界ランカーのプロボクサーが被害を報告
ボクシングのWBA世界ランキング4位の現役プロボクサーが30日、自身のXで詐欺の被害に遭ったと報告した。朝、警察を名乗る詐欺グループの電話で起こされ、個人情報を話し、免許証もビデオ通話で見せてしまったという。途中で詐欺と気づいて電話を切ったが、寝起きで信じてしまったと悔しさをにじませた。この選手は、相手の電話番号も明記し、フォロワーに注意を呼びかけている。被害額は報じられていない。11月26日には東京で8回戦を控えている。リングで打たれ慣れた人間でも、朝一番の電話には勝てない。自分は引っかからないという自信が、一番の隙になる。
15. 「法学者も騙された」 ロマンス詐欺で925万円、香川大の名誉教授(72)が学生に注意を訴え
恋愛感情につけ込んで金を要求したり、投資を持ちかけたりするロマンス詐欺で、925万円の被害に遭った香川大学の名誉教授(72)が29日、学生に向けて注意を訴えた。四国新聞が30日に報じた。「法学者も騙された」という言葉が見出しになっている。法律の専門家であっても、感情を動かされる相手を前にすると判断を誤る。学歴や職歴は防御にならない。有料記事のため、詳しい経緯は確認できていない。
16. 屋根点検を装い86歳宅に侵入、指輪など61万円相当を窃盗 千葉豪雨の「詐欺未遂」の滝口漂容疑者(23)ら3人を再逮捕
千葉県警は、滝口漂容疑者(23)ら3人を窃盗の疑いで再逮捕した。容疑は6月、習志野市で屋根の点検業者を装って86歳の男性宅に入り、指輪など61万円相当を盗んだというもの。3人は作業着を着て会社名を告げ、男性を信用させていた。滝口容疑者ともう1人は8月、千葉豪雨の被災地で、リフォーム業者を装って現金をだまし取ろうとしたとして、詐欺未遂の疑いですでに逮捕されている。調べに対し、否認や黙秘をしているという。警察は他にも余罪があるとみている。災害で家が傷んだ人の心細さに付け込む。屋根の点検と聞けば、断りにくい。
断言する。「潔白を証明しろ」と金を出させる捜査は、存在しない。
津島の1億8940万円、呉の730万円、島田の1400万円、大津の3800万円、岡崎の金地金8キロ。今日の被害は、どれも「その金を確認する」「潔白を示せ」という同じ台本で動いている。振り込ませる、紙袋を敷地に置かせる、車の下に置かせる、神社に置かせる、車庫に金を置かせる。場所は違っても、目的は同じ。しかも津島では金融機関が異変に気づき警察が声をかけたのに、本人が警察を信じ切って止まらなかった。電話口の「警察」「検事」「総務省」が潔白の証明を求めたら、その時点で詐欺だ。口座の金を動かしてはならない。