【詐欺ニュースまとめ 10/8】茨城の72歳、暗号資産6921万円 詐欺の金を暗号資産に洗う「相対屋」の人材派遣会社社長ら逮捕
10月8日は詐欺関連の報道が約15件あった。熊本の6000万円、茨城の暗号資産6921万円とニセ警察・SNS投資の高額被害が並び、詐欺金を暗号資産に洗う「相対屋」の摘発も出た。
1. 詐欺の金を、暗号資産に洗う 「相対屋」の人材派遣会社社長ら逮捕、洗浄額は約9100万円
洗う側が捕まった。警視庁などの合同捜査本部は7日、大阪府泉佐野市の人材派遣会社「Weather」代表の田中慶佑容疑者(36)ら3人を、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の疑いで逮捕した。報道では5人または6人と伝える社もあり、人数は異なる。国に登録しないまま現金と暗号資産を替える「相対屋」だったとみられる。流れはこうだ。詐欺グループから現金が会社の口座に入る。それで日本の取引所でビットコインを買う。海外の取引所でテザーに替える。仲介役を通じて、グループへ戻す。2024年2月の440万円が容疑の核だ。警視庁は2〜3月に流れた被害金およそ9100万円を洗ったとみて、約1%を報酬として受け取っていたと見る。社長が指示役、東京の45歳の男が仲介役という見立てだ。会社ぐるみの犯行とみて、9日にも法人を書類送検する方針。奴らの金は、こうして綺麗な顔になって戻っていく。
2. 最初は92万円、次は8000円の「利益」 筑西の72歳、12回で暗号資産6829万円
入口は動画アプリの副業アカウントだった。茨城県警筑西署は7日、筑西市の72歳の男性が、暗号資産およそ6921万円相当をだまし取られたと発表した。SNS型投資詐欺として調べている。男性は7月23日ごろ、副業を紹介するアカウントにメッセージを送る。返ってきたのは、ネット通販の運営を手伝う会社の窓口役を装う相手のLINEだった。運営の説明を受け、まず暗号資産約92万円相当を送る。するとサイト上に利益が出たと表示され、8000円相当が男性自身の取引所アカウントに届いた。これが罠だ。男性は7月29日から9月7日にかけて、12回、計約6829万円相当を指定アドレスに送った。小さな実入りで信用を買い、本命の大金を引き出す。投資詐欺の古典的な手順が、そのまま使われた。
3. 「カードが20枚入っていた」から始まった 鴨川の66歳女性、ニセ警察に5636万円
荷物の話から始まる。千葉県の鴨川署は6日、鴨川市の無職女性(66)が現金5636万円をだまし取られたと発表した。9月2日、金融機関職員を名乗る男から電話が入る。あなたが送った荷物にキャッシュカードが20枚入っていた、という。次の電話は警察官をかたる男で、詐欺の容疑がかかっていると告げた。そこへ検察官役の男が現れ、潔白の証明になるからと、ネット口座を作って送金するよう求めた。職員、警察官、検察官。役者を替えて、疑われた側が自分から金を動かすよう仕向ける。女性は何度も振り込んだ。気づいたのは本人ではない。9月29日、金融機関が多額の資金の動きを警察に連絡し、被害が発覚した。その時点でも、女性は被害に気づいていなかったという。
4. 「財産が減るのを示せ」 熊本市の50代女性、制服姿の写真を信じて約6000万円
熊本北合志署は8日、熊本市の50代女性が現金約6000万円をだまし取られたと発表した。手口は「電話で『お金』詐欺」。9月中旬から10月上旬、日本郵政職員を名乗る男が電話してきた。キャッシュカードの不正をしているでしょ、と決めつける。身に覚えがないと答えると、警察に代わると言う。次に出てきたのは、県外の警察官を名乗る人物だ。SNSで連絡を取り、不正をしていないと証明したいなら口座から財産が減っていくのを示した方がいい、と迫った。女性は指示通り、1回数百万円を市内の指定場所に何度も置いた。決め手になったのは、SNSで送られてきた制服姿の警察官の写真だったという。今月上旬、警察と連絡が取れなくなり、女性自身が署に相談して発覚した。署は、相手がやめろと言うなら詐欺を疑えと呼びかけている。
5. 「私は独身です」「彼氏が欲しくて」 所沢の49歳、15の口座へ3255万円
埼玉県警所沢署は6日、所沢市の男性会社員(49)がSNS経由の恋愛名目の詐欺に遭い、約3255万円を失ったと明らかにした。7月中旬ごろ、SNSで知り合った女性を名乗る相手が、私は独身、彼氏を探している、と語りかけてきた。続けて、儲かる投資を知っている、と誘う。男性は7月26日から9月18日までの間に、15回、相手が指定した15の口座へ振り込んだ。1回ごとに違う口座。金融機関によるモニタリングで、男性の口座が被害に遭っている可能性が浮上し、9月30日に被害が発覚した。本人が気づく前に、銀行の目が先に異変をつかんだ形だ。恋心を握られた人間は、15回でも送る。恋愛と投資を一本の線で結ぶ、ロマンス詐欺の型どおりの経過である。
6. 「銀行員が口座情報を暴力団に」 大分の90代男性、縁側の紙袋に約1020万円
大分県内の90代の男性が、ニセ警察詐欺で約1020万円をだまし取られた。報じられた経過はこうだ。8月中旬、男性の携帯に警視庁の警察官を名乗る男から電話がある。あなた名義の口座や携帯電話番号などの情報を、銀行員が暴力団に渡していた、と言う。男性は男の指示で、複数回にわたり預金を引き出し、自宅に保管した。そこへ追い打ちが来る。身の潔白を証明するために、家にある現金を調べる必要がある、紙袋に入れて外に置け。男性は紙袋を自宅の縁側に置き、金を失った。大分県内のニセ警察詐欺は、今年すでに82件、被害額はおよそ6億2000万円に上るという。銀行員まで悪者に仕立て、窓口への相談を封じる。奴らは、頼れる相手から先に潰してくる。
7. 「マネロンがばれた、400万円かかる」 息子を名乗る電話、郡山の80代男性が1300万円
息子を名乗る電話で、自分が洗浄役にされた。郡山署は、郡山市の80代男性が現金約1300万円をだまし取られたと明らかにした。9月上旬、息子を名乗る者から電話がある。マネーロンダリングをやっていたことがばれた、口座の解約に400万円かかる。続いて弁護士を名乗る者が登場し、現金を新聞紙に包んで段ボールに入れ、配達業者を向かわせるから渡してくれと指示した。電話はほぼ毎日かかってきたという。男性は3回にわたり現金を渡した。それでもまだ金を求められ、銀行へ出向いたことで被害が発覚した。皮肉な話だ。今日、警視庁が摘発した相対屋は、詐欺の金を洗う側だった。こちらは、洗浄の罪をでっち上げて、金をむしり取る側である。
8. 資産が11倍に見えたアプリ 富山の30代女性、「手数料」で暗号資産1109万円
きっかけは在宅ワークの応募だった。富山県警によると、6月ごろ、富山市の30代女性がSNSから在宅ワークに応募し、担当者からLINEのチャットに招待された。女性は2カ月ほど続けた。するとチャット内で投資アプリを紹介される。暗号資産を買うと、アプリ上の資産は11倍に増えたように表示された。だが、利益を引き出すには手数料が必要だと告げられる。女性は暗号資産およそ1109万円分を送金した。その後、相手とは連絡が取れなくなる。親族に相談して、詐欺と気づいた。画面の数字は、いくらでも書き換えられる。警察は、偽アプリ型の被害が相次ぐとみて、投資を勧める事業者が金融商品取引業者として登録済みか、事前に調べるよう促している。副業、投資アプリ、出金手数料。三点セットが、またそろった。
9. 18人から2億5000万円 かけ子のリクルーター役か、福岡の48歳を宮崎県警が逮捕
かけ子を集める側にも手が回った。宮崎県警は、警察官などをかたる特殊詐欺の手口で、およそ2億5000万円をだまし取った疑いで、福岡市の自営業、佐藤大幸容疑者(48)を逮捕した。「トクリュウ」の一員とみられる。容疑は、2024年5月から2025年3月にかけて、ほかのメンバーと共謀し、京都府の90代男性ら18人から現金をだましとったというもの。発端は意外な角度だった。今年2月、宮崎県警は大麻所持の疑いで佐藤容疑者を逮捕し、押収したスマートフォンを解析する。そこから詐欺への関与が見えてきたという。県警は、佐藤容疑者をかけ子のリクルーター役とみている。これまでに、かけ子とみられる20代の男5人を摘発した。県警は事件の全容解明を進めている。認否は、報じられた範囲では確認できない。
10. 金塊1.2キロ、3600万円相当 ニセ警察の「受け子」役の台湾出身の被告ら2人を送致、12事件で約1億9800万円
約2億円の詐欺で、実行役の捜査が終わった。大阪府警は8日、台湾出身の王裕閔被告(38)と中国籍の黄翠被告(37)を送致し、2人についての捜査を終えたと発表した。警察官などを装って現金や金塊をだまし取る、ニセ警察詐欺である。王被告は、1月に和歌山県の高齢女性から金塊約1.2キロをだまし取ったとして逮捕された。当時の時価で3600万円相当。受け子役として、あわせて12の事件、被害総額約1億9800万円に関わったとされ、詐欺罪ですでに起訴されている。黄被告はだまし取った金の回収役とみられ、5つの事件に関与した疑いだ。府警は、2人の上に指示役がいるとみて、引き続き捜査している。現金から金塊まで、運び屋の足跡は長い。だが、頂点はまだ見えない。
11. 被害者が、運び屋にされた 新潟・五泉の公衆トイレに置かれた400万円、21歳の男を逮捕
詐欺の被害者が、次の現金の受け渡し役にされていた。新潟県警は7日、大阪府松原市の無職の男(21)を占有離脱物横領の疑いで逮捕した。男は6日、五泉市の公衆トイレに置かれていた現金400万円を持ち去った疑いだ。置いたのは市内の70代の男性。共犯者から、トイレに現金を置くよう指示されていた。この男性は、以前ニセ警察詐欺で金をだまし取られた被害者だった。今回の400万円は、別の被害者のものとみられる。つまり男性は、詐欺グループから現金の移送に使われたことになる。6日昼ごろ、警察が新潟市内で男を見つけ、不審な様子だったため職務質問した。多額の現金を持っていたことから事情を聞き、事件が発覚した。男は容疑を認めている。警察は、詐欺グループの実態解明を進めている。
12. 「月100万円は100%稼げる」 副業コンサルを名乗った28歳を逮捕、高知の女性は455万円
高知県警は、東京都板橋区の無職、半田虎太郎容疑者(28)を詐欺の疑いで逮捕した。SNSで副業サポートのコンサルタントを名乗り、須崎市の50代女性に、月100万円は100%稼げる、と持ちかけた疑いだ。女性はコース代金の名目で、合わせて現金455万円を振り込まされた。100%という言い切りが、すでに黄色信号である。振込先の口座が半田容疑者の名義だったことなどから、警察は容疑者を特定した。半田容疑者は調べに対し、間違いありませんと容疑を認めているという。実行役が他人名義の口座を使うケースが目立つなか、本人名義の口座がそのまま足がかりになった。副業コンサルへの支払いで、稼ぐ前に455万円が消えた。
13. 元プロ野球選手で暴力団幹部の57歳ら2人を逮捕 「車を買いたいので金を貸して」と知人から300万円
知人からの借金話が、詐欺容疑になった。山梨県警は、甲府市の山根善伸容疑者(57)と、韮崎市の会社員の女(60)を詐欺の疑いで逮捕した。山根容疑者は指定暴力団稲川会山梨一家萩原組の幹部で、1991年に当時の大洋ホエールズに入団し、1998年に退団した元プロ野球選手だという。2人は知人同士。2022年に共謀し、車を買いたいので金を貸してほしいと嘘をついて、知り合いの男性から現金300万円をだまし取った疑いが持たれている。警察は2人の認否を明らかにしていない。余罪についても調べている。特殊詐欺のような大がかりな仕掛けではなく、身近な人間関係をそのまま使った古い手口である。顔見知りの頼みでも、金の話になったら一度立ち止まる。
14. AIで曲を数十万曲、再生は数十億回 音楽ストリーミング詐欺で約12億8000万円、米国の54歳に禁錮18カ月
海外では、AIの楽曲そのものが詐欺の道具になった。米ノースカロライナ州のマイケル・スミス被告(54)が6日、禁錮18カ月の判決を受けた。連邦検察によると、AIで作った楽曲を、数千のボットアカウントで何十億回も再生させ、配信プラットフォームから800万ドル、日本円で約12億8000万円のロイヤリティを不正に得た。期間は2017年から2024年。最大1万件のボットアカウントを使い、Amazon MusicやSpotify、YouTube Musicなどで再生を稼いだ。アカウントは偽のメールアドレスと不正入手したデビットカードで作られたという。監視の目を避けるため、膨大な数の曲を使い分けた。約12億9000万円の罰金に加え、資産の没収と2年間の保護観察も言い渡された。検察は、AI音楽ストリーミング詐欺の刑事立件は初めてだとしている。
断言する。詐欺は「金を奪う」から「金を回す」産業になった。
この日の報道を並べると、被害者だけが標的ではない。相対屋は詐欺金を暗号資産に洗い、被害者だった男性は現金の運び屋にされた。かけ子を集める役、金塊を回収する役、口座を貸す役。分業の鎖は長い。一方で、銀行のモニタリングが所沢の異変を最初に見つけ、金融機関が鴨川の資金の動きを警察に伝えた。窓口と画面の違和感が、被害の発覚を早めた。電話でお金の話が出たら、一人で決めない。それだけで鎖は一つ切れる。