【詐欺ニュースまとめ 10/9】給湯器点検商法で22億円、8人逮捕 カンボジア拠点は同日に2本の逮捕
9日に報じられた詐欺は十数件。給湯器の点検商法で約22億円、新宿の会社の実質的経営者ら8人が逮捕された。ニセ警察詐欺では暗号資産3640万円相当や1550万円の被害が相次ぎ、カンボジア拠点の逮捕も2本あった。
1. 「一酸化炭素が出ています」の嘘で22億円 給湯器の点検商法、新宿の会社の実質的経営者ら8人逮捕
ガスの点検を装って家に上がり込み、「一酸化炭素が基準値以上出ていて危険です」と嘘で脅す。必要のない給湯器の交換を迫る。警視庁が詐欺などの疑いで捕らえたのは、新宿区のリフォーム業者「大安設備」を実質的に仕切る糠信秀企容疑者(36)ら計8人。去年6月、都内の70代男性から約56万円をだまし取った疑いだ。2023年1月から今年1月までに全国のべ1万3800人へ工事を持ちかけ、約22億円を不正に得たとみられる。都は去年8月に6カ月の業務停止を命じたが、奴らは社名を変えて営業を続けていた。取材に応じた80代男性は「今交換すれば割引率が違う」と言われ、ガスコンロの工事を契約させられかけた。TBS系の報道では約1年分で8.5億円、のべ5900人とも伝えられ、報道により数字は異なる。
2. カンボジア拠点の詐欺、同じ日に2本の逮捕 拠点オーナーとみられる39歳と、かけ子の53歳
カンボジアの詐欺拠点をめぐり、9日、逮捕の報道が2本重なった。1本目は同国ポイペトの拠点のオーナーとみられる39歳の会社役員。すでに逮捕・起訴されていた男が、神奈川県の女性に嘘の電話をかけて現金約600万円をだまし取った疑いで再逮捕された。もう1本は、警視庁と神奈川県警の合同捜査本部が、かけ子として関与した疑いで住所不定・職業不詳の大塚謙史容疑者(53)を逮捕した件だ。昨年10月、東京都内の50代女性に郵便局員や警察官を装い、「マネーロンダリングの犯人として紙幣調査をする」と告げて700万円を振り込ませた疑い。大塚容疑者は容疑を否認している。同じ拠点のグループでは、すでに20〜60代の男女13人が逮捕され、11人が組織的詐欺で起訴されている。約20件、計約2億円の被害に関わったとみられる。
3. 「資産成長率500%以上」実在の経済学者を名乗る勧誘 米沢の50代男性が約2656万円
名乗った相手は、実在する経済学者だった。山形・米沢市の50代男性はSNSで勧誘を受け、「資産成長率500%以上」という言葉を信じた。振り込んだ総額は約2656万円。見せられていた利益は、画面の上だけの数字だったことになる。異変に気づいたのは出金のときだ。「保証金として200万円が必要」と求められ、不審に思って金融庁に相談したことで被害が発覚した。同じ日、山形県内ではSNSを使った投資詐欺の被害がほかにも明らかになり、米沢市と長井市の男性2人が計2800万円あまりをだまし取られたと報じられている。出金の段階で新たな費用を求めるのは、この種の詐欺で繰り返されてきた型だ。実在の肩書きや人物像を借りれば、信用してしまう人が出る。奴らはそこを突いてくる。
4. 「現金を門に掛けて待機して」10分後に700万円が消えた 長崎市の70代男性
長崎市の70代男性が先月、警察や検察をかたる人物から電話を受けた。「このままでは逮捕される」「免除するには現金が必要」。そんな嘘の指示で、現金700万円をだまし取られた。報道によると、男性は指示に従って現金を自宅の門扉に掛け、中で待機していた。それから約10分後、現金は消えていたという。刑事を名乗る女の指示があったとされる。玄関先や門、郵便受け、室外機の脇。この数日のまとめでも繰り返し出てきた、置かせて持ち去る手口だ。受け取る側は被害者と顔を合わせず、短時間で現れて去る。本人は電話の指示で動いているだけなのに、犯人側はほとんど姿を見せない。警察官が現金を要求することはない。電話の相手がどれほど堂々としていても、中身は同じだ。
5. 制服姿のビデオ通話と逮捕状のような紙 伊賀の30代看護師、暗号資産3640万円相当
三重県警伊賀署が9日に発表した。伊賀市の30代の看護師の女性が、3640万円相当の暗号資産をだまし取られた。7月22日、国際電話で大阪府警の警察官や検察官を名乗る男から連絡が入る。「詐欺事件の犯人の所持品から、あなた名義の口座が見つかった」。さらにビデオ通話で、警察官の制服姿や逮捕状のような紙まで見せられたという。男は「身の潔白を証明するため」として、銀行口座の現金を指定の暗号資産アプリに移すよう指示。女性は7月24日から8月31日までに7回、指定されたアドレスへ暗号資産を送った。連絡が取れなくなって被害に気づいた。警察は組織的な特殊詐欺グループの犯行とみて調べている。ニセ警察詐欺が、現金だけでなく暗号資産にも広がっている実態がここにある。
6. 「携帯電話がウイルスに感染」 須坂の30代男性、現金1100万円余り
須坂市の30代男性が、セキュリティ関係の団体職員と称する相手から電話を受けた。「携帯電話がウイルスに感染している」「ほかにも被害者が出ている」。そう嘘を告げられ、現金1100万円余りをだまし取られた。NHKは見出しで被害を1160万円と伝えている。警察が詐欺事件として調べている。公的な機関に近い名前を出し、不安をあおってから金を引き出す。ウイルス感染を口実にする手口は、画面の警告表示から始まるものが目立つが、今回は電話の相手が職員を名乗って近づいた形だ。報じられている範囲では、現金を渡した詳しい経緯や回数までは分かっていない。ただ、携帯電話の不調を理由に大金を求められたら、その時点で詐欺と疑っていい。団体を名乗る電話は、一度切って自分で調べ直すのが鉄則だ。
7. 郵便局員、兵庫県警、検事と3人が登場 田野畑村の30代男性、5回で1550万円
岩手県田野畑村の30代男性が、9月下旬から10月1日にかけて現金1550万円をだまし取られた。岩泉署の発表によると、きっかけは「通知不可能」と表示された着信。出ると「神戸中央郵便局の者」を名乗る相手が、男性が差出人の郵便物の中から他人名義のキャッシュカードや通帳、現金が出たと話した。「詐欺に加担しているのでは」と疑わせ、LINEのテレビ電話へ誘導。次に出てきたのが、警察手帳を示す「兵庫県警のミヤカワ」と、「検事のハセガワ」だった。数日間にわたり仕事や資産を聞き出されたあげく、「貯金が被害金でないと調べるため」と指定口座への振り込みを指示される。男性は計5回、合わせて1550万円を振り込んだ。ミヤカワのLINEアカウントが消えて、ようやく気づいたという。名前が三つ出てくる芝居だ。警察はSNSで連絡しない。
8. 長野のオレオレ詐欺、95件で去年の6倍 8割が親族の実名を名乗る
長野県警のまとめで、オレオレ詐欺の被害が今年に入って95件、去年1年間の15件から跳ね上がっていることが分かった。7月までは21件で月0〜9件にとどまっていたのが、8月から9月上旬にかけて74件と急増。今年の被害の8割弱がこの期間に集中する。多くは息子や親族の実名を名乗る電話で、県警の担当者は卒業名簿などが第三者に流出し、悪用されている可能性が高いと指摘している。9月末時点の「電話でお金詐欺」全体では427件、被害額29億2042万円。去年の同じ時期より115件、約2億円増えた。1件あたりの被害額は683万円で、186万円ほど下がった。つまり金額は小さくなり、件数が増えている。名簿を手に集中的にかける、数で押す方式だ。県警は国際電話の着信ブロックなど、犯人と話さない対策を勧めている。
9. 高校生寮で女性になりすまし、金を詐取 上越高校サッカー部の寮生、関与は30人超
新潟県上越市の上越高校で、生徒寮の男子生徒らがSNSで女性になりすまし、男性から金をだまし取っていた疑いが明らかになった。新潟放送によると、寮で生活する11人が中心で、一部の生徒は800円から10万円を超える額を受け取っていた。さらに7月以降、男子生徒21人が寮内や駐車場、休日の海岸でのバーベキューで飲酒や喫煙をしていたことも確認され、関与した生徒は30人以上にのぼるという。学校は先月24日に全校集会を開いて生徒に報告し、今月5日には保護者へメールで説明した。警察にも相談している。県にも報告が上がった。学校は「現在、生徒への指導・ケアを優先して対応している」とし、説明会や会見は未定とした。詐欺の担い手が少年にまで広がる現実を、これほど身近な形で突きつけた例は少ない。
10. 17歳の高校生が「弁護士」役で受け子 沼津の80代女性から300万円、黙秘
静岡県警は、住所不定の17歳の男子高校生を詐欺の疑いで逮捕した。9月下旬、沼津市の80代の無職女性から現金300万円をだまし取った疑いだ。共謀者が息子を名乗って電話をかけ、「投資で1700万円儲けたが、税金の600万円を払っておらず国税局に目をつけられている」「できるだけ早く必要」と告げる。そこへ受け子として現れたのが、息子の知人の弁護士を装った高校生だった。女性は後から帰宅した息子に「お金を渡したけどその後どうなの」と話し、詐欺に気づいた。9月27日に被害届を出している。警察は防犯カメラの映像などから高校生を特定。高校生は黙秘している。警察は匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウによる犯行とみて、余罪を調べる。顔を出す役を、17歳が担わされていた。
11. 「イラク派遣中、郵送料300万円が必要」 高山の50代女性、自衛官を名乗る男に200万円
岐阜県高山市の50代の無職女性が、インスタグラムで知り合った自衛官を名乗る男に200万円をだまし取られた。高山署が8日に発表した。女性は8月ごろに知り合い、LINEで結婚を前提としたやり取りを重ねていた。9月25日、男は「自衛隊を退官するので退職金が入る」と切り出す。「イラクに派遣中で、日本へ退職金と荷物を送りたいが、郵送料が300万円必要」。女性は100万円ずつ2回、ATMから指定口座に振り込んだ。7日、金融機関の職員が「ATMから100万円を振り込んだというお客さまが窓口にいる」と署に通報。そこで詐欺の疑いが浮上した。もう少しで被害は膨らんでいたかもしれない。結婚という言葉で心をつかんでおいて、退職金と荷物という筋書きで金を引き出す。典型的な型だが、窓口の一声が被害を止めた。
12. 「70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか」 香川大名誉教授が925万円の被害を著書に
被害者が、自分の体験を本にした。香川大学教育学部で法律などを研究した同大名誉教授の高倉良一さん(72)=高松市=は、SNSで恋愛感情を抱かせるロマンス詐欺の被害に遭い、925万円をだまし取られた。その経緯をまとめた著書が出版された。題名は、70歳の法学者がなぜ騙されたのかを問うものだ。本人は、黙っていれば詐欺師の思うつぼだと語り、事実をそのまま伝えたい考えだという。法を専門にしてきた人でも、恋愛感情を持たされれば判断は揺らぐ。肩書きや知識が守ってくれるわけではない。恥ずかしくて言えず、黙ってしまう被害者が多いことを、詐欺側はよく知っている。被害を語ること自体が、次の被害を減らす。
13. ミャンマー拠点から逃れた日本人男性が証言「20人ほどの日本人が働かされていた」
詐欺拠点を抜け出した日本人男性が、保護先のタイでFNNの取材に答えた。場所はミャンマーだ。タイとミャンマーの国境地帯から首都バンコクへ8日に移されたのは、40代と20代の日本人男性の2人だ。関係者によると、2人は何者かにだまされて拠点に連れて行かれ、その後、タイ側で保護された。男性は「どこに行くのかも分からず、不安な状態で過ごしていた」と振り返る。施設には「20人くらいの日本人が働かされていて、すごく大変そうだった」と証言した。ミャンマーでは2025年に大規模な詐欺拠点が国際問題となり、軍による摘発が行われたが、新たな拠点の存在も指摘されている。拠点が壊されても、人をだまして連れていく仕組みは残る。かけ子は、加害者であると同時に、被害者でもありうる。
14. 携帯大手の事業話で1200万円 熊本の人材派遣会社から詐取した疑い、公判中の47歳を再び逮捕
熊本県警熊本南署は7日、宮崎県都城市の無職の被告(47)を詐欺容疑で逮捕した。2023年2月下旬から4月下旬にかけて、大手携帯会社が絡む事業だと偽り、熊本市の人材派遣会社に3回に分けて自身が当時経営していた会社名義の口座へ約1200万円を振り込ませた疑い。被告は「お金は借りただけ」と容疑を否認している。別の詐欺容疑で今年3月に福岡県警博多署に逮捕され、すでに詐欺罪で福岡地裁に起訴されて公判中の身だ。被害者は個人ではなく、会社だった。大手企業の名前を出した事業話は、法人相手でも通用する。振り込み先が個人の口座でなく、経営する会社名義の口座だった点は、確認の目をすり抜けやすい。会社の経理担当者は、取引先の大きな名前を見ても、送金先の名義を一度疑うべきだ。
断言する。詐欺は電話の外でも、玄関の中でも始まる。
この日の報道は、電話だけではなかった。玄関先の点検商法は22億円に膨らみ、SNSの恋愛、ウイルスの警告、実在の経済学者の肩書き、制服姿のビデオ通話と、入口は何種類もあった。長野では親族の実名まで使われている。共通するのは、不安か好意で冷静さを奪い、金を動かさせる点だ。突然の連絡で金の話が出たら、相手の言う連絡先ではなく、自分で調べた番号にかけ直せ。それだけで止まる被害は多い。