【詐欺ニュースまとめ 10/2】中越の60代、ビデオ通話の“制服警官”に1億901万円 ラオス拠点の日本人9人を初摘発
10/2は約25件。中越の60代男性が現金と金地金で1億901万円、愛知では女性2人が各1億円超。ニセ警察が最多で、ラオス拠点の日本人9人が初めて逮捕された。
1. 「17人がもう振り込んだ」「朝・昼・夕に行動を確認する」 中越の60代男性、現金と金で1億901万円
始まりは7月下旬。自宅の固定電話に、郵便局を名乗る自動音声。転送された先は“大阪府警の警察官”だった。逮捕した詐欺犯があなた名義の口座を使っていた、すでに17人が振り込んだ、あなたは在宅起訴される。そして、朝・昼・夕方に行動を確認すると告げた。 男性の自宅には、奴らからスマートフォンが送り付けられた。ビデオ通話の画面に映ったのは警察官の制服を着た男たち。「金融庁とも連携している」「守秘義務を破れば刑事罰」。止めは「東京金融庁資金調査指示内容通知」と称する偽の書類だった。 言われるまま口座の金を引き出し、金地金を買う。そのたびに玄関前のボックスへ。誰かが回収していった。被害は9月下旬まで続き、現金3200万円と金地金約7701万円相当、合わせて約1億901万円。連絡が途絶えたことを不審に思い、警察に相談して発覚した。三条署が捜査している。
2. ラオス拠点の日本人グループ、初の摘発 23〜64歳の男女9人を機内で逮捕
栃木・神奈川両県警の合同捜査本部が、ラオスを拠点にした詐欺未遂の疑いで日本国籍の男女9人を逮捕した。年齢は23歳から64歳。うち1人は住所不定、無職の阿部紗耶佳容疑者(41)。9人はラオスから航空機で移送され、機内で逮捕状が執行された。認否は明らかにされていない。 容疑は6月17日。郡山市の67歳のパート従業員に通信アプリで近づき、警察官を名乗ってビデオ通話へ。偽の警察手帳を見せ「あなた名義の携帯電話が不正に契約されている」と迫り、現金を奪おうとした疑いだ。ラオス北部の拠点は6月に現地当局が摘発していた。 捜査本部は昨年11月からカンボジアの詐欺グループを追い、その過程で一部が浮上。5月に上三川町で起きた強盗殺人事件の主導役とされる男と面識のある者もいるとみられる。同じ日、東ティモールでは日本人7人を含む16人が拘束され、ミャンマー国境の拠点から逃れた日本人2人をタイ警察が保護したとも報じられた。
3. 少額を入れたら、もっと多く返ってきた 愛知の60代は暗号資産1億7800万円、70代は金地金込みで1億3400万円
愛知県警が発表した2件。どちらも1億円を超えた。 60代の女性は5月、SNSで知り合った男性とやり取りを始めた。好意が芽生えたところで、まず少額を入金させる。すると、それより多い額が返ってきた。投資で資産が増えている。そう信じ込ませるための仕掛けだ。7月から9月にかけて、事業立ち上げの資金名目で27回、暗号資産で計約1億7800万円が奪われた。県警はロマンス詐欺として捜査している。 もう1人は70代の女性。警察官を名乗る人物にあなたは容疑者だ、口座の金が犯罪がらみか調べる、と告げられ、5回で計約3600万円を振り込んだ。さらに金地金を買って玄関先に置くよう指示され、約9800万円相当が消えた。合わせて約1億3400万円。こちらはニセ警察詐欺だ。
4. 8か月で2360億円、去年より588億円多い SNS型投資は937億円、ニセ警察は728億円
警察庁が8月末時点の特殊詐欺の数字を出した。認知件数は2万9687件で、前年同期より3732件多い。被害総額は2360.7億円。588.4億円の上積みだ。検挙は5443件、1949人。 手口別で突出するのはSNS型投資詐欺。7097件、937.4億円で、件数も額も前年同期の約1.5倍に膨らんだ。2位はニセ警察詐欺の6346件、728.6億円。SNS型ロマンス詐欺が3506件、325.8億円で続く。 この3つだけで被害総額の8割近くになる計算だ。一方、昔ながらのオレオレ詐欺は2739件、104.2億円。架空料金請求は4211件、97.5億円、還付金詐欺は2058件、46.5億円。件数は多くても、額では桁が違う。奴らの稼ぎ頭は、電話口の“息子”から、SNSの“投資の先生”と、画面の向こうの“警察官”へ完全に移った。
5. 入社2日目の部長に届いた“会長”のメール ジェリービーンズグループ、4500万円送金の経緯を公表
ジェリービーンズグループが9月30日、6月に4500万円を失った件の調査結果を公表した。社内の不正関与はなし。外部からのなりすまし、いわゆるビジネスメール詐欺だったと結論づけた。 6月2日、公開の問い合わせ窓口に“取締役会長”からメールが届く。業務連絡を効率化したいから個人のLINEのQRコードを送れ、という内容。件名には迷惑メールの識別タグまで付いていた。受け取った総務部長は前日に入社したばかりで、過去の注意喚起を知らなかった。 翌3日、今度は“社長”を名乗るLINEが現れ、管理本部長をグループに招いて4500万円の至急送金を指示。ネットバンキングは送金の登録と最終承認が1人でできる設定で、その場で実行された。気づいたのは約10分後、取り消しは間に合わず。奴らはさらに1億円を求めたが、こちらは回避した。
6. 「身の潔白を証明する資金調査」で金塊1.2キロ 船橋の79歳は2800万円、三島の70代は3600万円
“容疑者”にされた高齢者が、金や現金を差し出す。同じ構図がまた2件。 千葉県船橋市の79歳男性。6月中旬から7月下旬にかけて、警察官を名乗る男らから2回、あなたを容疑者として捜査していると電話があった。資金調査をすれば潔白を証明できる、そのために金塊を買え。男性は金塊1.2キロ、約2800万円相当を購入し、自宅に来た受け子に渡した。警察が奴らの行方を追っている。 静岡県三島市では70代の女性が約3600万円。7月下旬、携帯電話に国際電話がかかってきた。名乗ったのは警察官や郵便局員。荷物から金塊などが見つかった、あなたは犯罪の疑いをかけられている、と。9月中旬に被害が確認された。 “荷物”と“容疑”で揺さぶり、“調査”の名目で財産を差し出させる。手口は完全にテンプレート化している。
7. 口座が止まると、覚えのないカードが届いた 出雲の70代は23回で1410万円、松江の80代も1000万円
島根でまた大口の被害が2件発表された。 出雲市の70代女性は7月上旬、警察官や検察官を名乗る男らから、詐欺事件の共犯者として捜査している、逮捕状を請求していると告げられた。疑いを晴らすには口座の金を調べる必要がある。ビデオ通話で警察手帳のようなものを見せられ、本物だと信じた。7月16日から8月30日まで23回、指定口座へ振り込んだ。 途中で自分の口座から振り込めなくなった。すると、開設した覚えのない本人名義のキャッシュカードが自宅に届き、指示どおりそこへも入金させられた。被害は報道により約1400万円とも1410万円とも。相手と連絡が途絶えて発覚した。 松江市では80代女性が現金1000万円。“金融庁の職員”を名乗る人物に手渡したと報じられている。
8. 「宝くじ1等6億円が当選」の手続き費用 松阪の70代、ギフトカードで約2000万円
三重県で1000万円を超える被害が2件判明した。 松阪市の70代の会社役員女性。1月ごろ、携帯電話に宝くじの抽選券を3枚プレゼントするというメッセージが届き、続いて1等6億円が当選したと知らせてきた。受け取るには手続き費用が要る。指示されたのはアップルギフトカードを買い、裏面のコードを送ること。3月ごろから9月21日まで繰り返し、約2000万円分を失った。家族に詐欺だと指摘されて気づいた。 四日市市の70代のパート女性は、証券会社の社員を名乗る相手から、県内に銀行を出すので名前を貸してほしいと頼まれ、承諾した。直後に金融機関の職員を名乗る電話で、名義貸しは犯罪で裁判になると脅される。8月14日と9月1日、“証券を買う代金”として送ったのは、現金1000万円と電子マネー8000円分。親切に応じた一言が、そのまま脅しの材料に変わった。
9. 「株の大会で優勝、賞金20億円で未公開株を」 湯沢の50代は1630万円、山梨の60代は6640万円
SNS型投資詐欺の報告も途切れない。 秋田県湯沢市の50代女性は7月、YouTubeに出た株式投資の広告から、投資家を名乗る相手とLINEでつながった。東京の株の大会で優勝した、その賞金20億円を使って未公開株の情報をやる。次に“アシスタント”が登場し、証券アプリを入れて運用資金を入れろ、多く入れるほど買える株が増えると迫った。アプリの画面には利益が出ている。信じて5回、計1630万円を振り込み、連絡が途絶えて発覚した。 栃木県佐野市では50歳の会社員女性が、2023年7月ごろSNSの投資広告から始まったやり取りで、計1500万円あまりを振り込んでいた。 山梨県では9月、60代男性が6640万円の被害に遭った。県警は、グループ内の「もうかった」という書き込みは奴らが用意したサクラの場合があると注意を促している。
10. 従業員の18歳に“出し子”をさせたか 農業用ハウス製造会社の社長を逮捕
雇う側が、雇った少年を詐欺に使った疑い。 警視庁が逮捕したのは、農業用ハウス製造会社の社長、菊島拓実容疑者(29)。今年5月、神奈川県の50代男性に高額医療費の還付金を受け取れるとうその電話をかけ、指定口座に約200万円を振り込ませ、その現金を引き出した疑いが持たれている。 この事件では、菊島容疑者の会社で働く18歳の少年が出し子としてすでに逮捕されている。少年は、菊島容疑者の指示で出し子をしたという趣旨の話をしているという。 “還付金”の電話は古典的な手口だ。それでも奴らは使い続ける。警視庁はほかにも余罪があるとみて調べている。
11. 「税金を払わないと凍結が解けない」 新潟の70代2人から780万円、宅配便の荷物を受け取った40歳を再逮捕
息子になりすました電話。その口実は、投資をしていたのに税金を納めておらず口座が凍結された、払わないと解除されない、というものだった。 新潟市東区の70代女性は6月7日ごろから7月9日にかけて電話を受け、東京都文京区の集合住宅あてに宅配便で現金を送り、380万円を失った。上越市の70代女性も7月6日ごろから13日までに同じ手口で、埼玉県新座市の集合住宅へ400万円を送った。 新潟県警は、これらの荷物を受け取った疑いで東京都府中市の無職の男(40)を30日に再逮捕した。男は否認している。7月27日に詐欺未遂の現行犯で、8月26日にも詐欺容疑で逮捕されていた男だ。余罪と共犯者の捜査が続く。
12. 「詐欺電話なんですよ」「架け子なんで」 海外の拠点へ人を送る側、広島で43歳逮捕、名古屋では30歳に実刑
拠点に人を送り込む“リクルーター”に、捜査と裁判が相次いだ。 広島県警が逮捕したのは長崎市の自称アルバイト、山口正剛容疑者(43)。3月下旬から4月中旬にかけ、求人に応募してきた30代の男性に音声通話で、詐欺電話の仕事だ、架け子だと説明しながら海外での特殊詐欺に誘い、連れ出そうとした疑い。同じ事件では30代の女2人がすでに起訴されており、その供述から浮上した。山口容疑者は男性に電話して海外派遣の話をしたと認めている。 名古屋地裁は、カンボジア北西部ポイペトの拠点に男性2人をかけ子として送り込んだとして職業安定法違反の罪に問われた大阪市の山本克哉被告(30)に、懲役2年6月(求刑3年)を言い渡した。渡航させた後も指示を出し、稼働状況まで把握していた。裁判長は、組織が詐欺を行ううえで重要な役割を担ったと断じた。
13. 「特別優遇調査制度」で保釈を保証? 伊那の30代は500万円、秋田の30代も710万円
ニセ警察の標的は高齢者だけではない。30代の被害が2件続いた。 長野県伊那市の30代男性。9月上旬、携帯電話に金融機関を名乗る自動音声が流れ、案内どおり操作するとクレジットカード会社を名乗る者につながった。あなた名義のカードでスマートフォンが買われ、未払いになっている。そこから警察官、検察官へと電話が回される。あなたの口座が特殊詐欺に使われた、逮捕・勾留される。だが特別優遇調査制度を使えば、逮捕されても保釈が保証される。男性は9月中旬、保釈金名目で500万円を振り込んだ。そんな制度は存在しない。 秋田市でも30代男性が8月、警察官や検察官をかたるうその電話で、現金710万円をだまし取られた。
14. 「女の子とデートするには登録が必要」 まず多めに返金、その後に42万円 青森の30代
Xで知り合った相手から、LINEで女性を紹介すると持ちかけられた。青森県の30代男性の話だ。 9月28日、相手は女の子とデートするには登録が必要だと、専用サイトへの会員登録を求め、男性をLINEグループに招いた。グループでは、個人情報保護のため3万円が必要、登録後に返金すると言われた。29日に3万円を振り込むと、デートの補助費用を含めた3万9千円が本当に返ってきた。 ここからが本番だった。次々と支払いを求められ、2回で計42万円。被害は合わせて45万円。一向に女性には会えなかった。30日、金融機関に振り込みの理由を尋ねられて、ようやく気づいた。 最初に“得をさせる”。愛知の1億円超のロマンス詐欺と同じ仕掛けが、数十万円の規模でも使われている。
15. 「10分で融資します」のはずが手数料、保証金 焼津の50代、融資は受けられず50万円
検索で見つけたウェブサイトには「10分で融資します」の文字。静岡県焼津市の50代男性は7月下旬、そこで融資を申し込んだ。 やり取りの場はSNSに移る。まず手数料を振り込め。次は、取引実績が審査の基準に届いていないので、残りの手続きが必要だ。名目を変えて保証金を上乗せされ、8月下旬までにキャッシュレス決済アプリで何度も送金。合計50万円。 肝心の融資は一度も実行されなかった。そこで初めて詐欺だと気づき、警察に届けた。 金が要る人から、さらに金を取る。融資保証金詐欺は被害額こそ小さく見えるが、追い詰められた人を狙い撃ちにする悪質さは変わらない。県警は、簡単に融資が受けられるとうたうサイトはまず疑うよう呼びかけている。
16. 64人から3500万ドル、実際に運用は1000万ドル 米国の投資ファンド運営者に禁錮11年
海の向こうでも、投資詐欺に重い判決が出た。 米メディアの報道によると、投資会社「スウィフトアーク・キャピタル」を運営していた男の被告に、連邦裁判所が禁錮11年を言い渡した。被告は今年1月、通信詐欺3件の罪を認めており、約3135万ドル(約47億円)の返還も命じられた。 集めた資金は3500万ドル(約52億円)以上。検察によれば、実際に投資に回ったのは約1000万ドルにとどまる。運用が失敗しても順調だと偽り続け、新しい客の金を古い客への支払いに回すポンジ・スキームだったと報じられた。私生活ではプライベートジェットや高級ホテルを使っていたという。 被害者は64人。そこにはNFLチーフスのトラビス・ケルシー選手の名もあった。検察は、選手は不正に関わった側ではなく被害者だと明言している。
断言する。本物の警察は、ビデオ通話で制服を見せない。
中越の1億901万円、愛知の1億3400万円、出雲の1410万円。どれも画面の向こうに“警察官”がいた。制服、警察手帳、それらしい公文書。奴らは信じさせる小道具を揃えてくる。ラオスで捕まった9人も、まさにその偽の警察手帳を見せていた。 そして全国の数字が示すとおり、ニセ警察は8か月で700億円を超えた。高齢者だけではない。伊那と秋田では30代が狙われた。 警察がビデオ通話で取り調べることはない。口座の金を調べるために振り込ませることも、金塊を買わせることも、玄関に置かせることもない。“守秘義務”を口にして家族に話すなと言う相手は、その時点で警察ではない。電話が切れた後、まず誰かに話すこと。それが1億円を守る唯一の手順だ。