【詐欺ニュースまとめ 11/5】名古屋の女性会社役員が現金約3億円、警察庁が807金融機関と詐欺口座を共有へ
11月5日は、ニセ警察詐欺とSNS型投資詐欺を中心に十数件が報じられた。名古屋の女性会社役員が約3億円を失い、愛知県内では2週間で10億円超の被害が出ていた。警察庁は口座情報の全国共有に動いた。
1. 現金約3億円を3回の振り込みで 名古屋市昭和区の50代女性会社役員、愛知は2週間で10億円超
愛知県警が5日に発表した。被害に遭ったのは名古屋市昭和区の50代の女性会社役員。10月3日、金融機関職員を名乗る電話が自宅にかかり、秘匿性の高いSNSへ誘導された。そこから警察官や検察官を名乗る男が登場する。「あなたの口座に不正な資金が紛れていないか調べる」と言って、金を動かさせた。23日から30日にかけて、指定された法人名義の口座2つに現金を3回振り込んだ。合計は約3億円だ。気づいたのは家族。不審な振り込みを見て県警に相談し、発覚した。愛知県内では10月17日から30日の2週間で、1000万円以上の高額被害が15件。うち5件が1億円超で、総額は10億円を超えるという。被害者は20代から80代まで。大半がLINEに誘導され、「守秘義務があるので誰にも言うな」と口止めされるケースも多く、被害が長引く傾向がある。
2. 詐欺に使われた口座の情報を全国約800の金融機関へ一斉共有 警察庁、9日から運用開始
警察庁は5日、特殊詐欺の被害者が送金した口座の情報を集め、全国の金融機関に一斉に共有する仕組みを作ったと発表した。メガバンクや地銀などが対象で、報道によって807機関、約800機関と数字に幅がある。5日にはみずほ、三菱UFJ、三井住友、りそなや大手ネット銀行など30の金融機関と協定を結んだ。運用開始は9日。金融機関は該当口座に振り込んだ人の情報を警察庁へ返し、地元の警察官がその人に接触して被害を止める流れだ。狙いは、詐欺と気づかないまま送金している「潜在被害者」を探し出すこと。組織は都道府県をまたいで電話をかけ、同じ人に何度も送金させるケースも珍しくない。今年1〜8月の特殊詐欺の被害は約2361億円。前年同期から約3割増で、過去最悪だった昨年の3257億円を上回るペースだという。
3. お札の番号を調べるから車庫に置け 上越市の70代男性から500万円、台湾籍の林治维容疑者(27)を逮捕
新潟県の上越署は5日、台湾籍で住所不定、職業不詳の林治维容疑者(27)を詐欺の疑いで逮捕した。受け子役とみている。林容疑者は容疑を否認している。事件が起きたのは7月28日から8月24日。共犯者らは上越市の70代男性宅の固定電話に、警視庁の警察官や検事を名乗って電話をかけた。「犯罪に関与している疑いがある。身の潔白を証明するため、口座の金の紙幣番号を捜査する。捜査員が受け取りに行く」。男性は言われるまま、現金500万円を自宅の車庫に置いた。24日、林容疑者がそれを持ち去った疑いだ。発覚のきっかけは預かり証。いつまでたっても郵送されてこないことを不審に思った男性が警察に相談し、被害が分かった。
4. 福岡県警を名乗り「現金の指紋を調べる」 柏崎市の70代女性、車内に置いた現金と振り込みで985万円
新潟県の柏崎署に被害が届け出られた。被害に遭ったのは柏崎市に住む70代の一人暮らしの女性。10月23日、携帯電話に福岡県警の警察官を名乗る男から電話があり、「あなたは犯罪への関与が疑われている」と告げられた。秘匿性の高いメッセージアプリ「Zangi」にも誘導され、指示は具体的だった。疑いを晴らすため、現金の指紋や番号を調べる。金融庁の職員が取りに行く。現金を車の中に入れ、鍵は開けておけ。疑いが晴れれば全額返す。女性は27日、自宅前の自家用車に現金を置いて鍵を開けたまま帰宅。翌朝、現金は消えていた。さらに29日までに指定口座へ2回振り込み、合計985万円を失った。連絡が取れなくなったことを心配した女性が29日に署を訪れ、詐欺と分かった。署は11月4日に被害届を受理した。
5. ラオスで拘束された8人を再逮捕、カンボジア拠点から8000万円の25歳女も 海外の詐欺拠点から日本へ電話
海外の詐欺拠点に絡む逮捕が2件重なった。1件目は北海道。ラオスの特殊詐欺拠点で拘束された男8人が、6月に札幌市南区の60代女性へ電話をかけ、警察官を名乗って「あなたは詐欺の共犯者だ」とうそを言い、現金をだまし取ろうとした疑いで再逮捕された。8人のうち7人は、現地当局に拘束され10月に日本国内で別の詐欺容疑で逮捕されていた。女性が詐欺と気づき、被害はなかった。警察はかけ子とみて余罪を調べ、認否は明らかにしていない。2件目は東京の事件だ。カンボジアの拠点から東京都内の高齢女性に電話をかけ、現金あわせて約8000万円をだまし取ったとして、25歳の女が逮捕された。女は容疑を否認している。
6. 「投資でもうけたが税金を払っていない」 オレオレ詐欺グループのリーダー奥原卓也容疑者(32)ら7人を再逮捕、被害7億4000万円超か
オレオレ詐欺の再逮捕が出た。グループの頭目格とされる奥原卓也容疑者(32)、その次席格の森山宗容疑者(28)ら計7人だ。今年7月、兵庫県内の80代男性に息子をかたって電話をかけた。「投資でもうけたが、税金を払っておらず逮捕されてしまう。今すぐお金がいる」。男性から現金110万円をだまし取るなどした疑いだ。逮捕者の中には奥原容疑者の両親もいる。詐欺で得た金の一部を運ぶ役割だったとみられる。同じ手口の被害は全国で7億4000万円以上確認されていて、警察は関連を調べている。7人の認否は明らかにされていない。
7. 「政府公認支援金として3億円差し上げます」 契約金5000円から始まり、ギフト券30万円分を送らされた岩手の50代女性
岩手県の久慈署が5日に発表した。洋野町の50代女性のスマホに9月5日、「幸せとは何かご存じですか?」の一文とURL付きのショートメッセージが届いた。アクセスすると、「当協会は政府公認支援機関です」。契約金5000円を払えば、政府公認の支援金3億円を差し上げるという。支払い方法はアップルギフトカードを買って、シリアルコードを送ることだった。女性が従うと、今度は「手数料1万円が必要」。理由を変えては請求が続き、計30万円分のコードを送信した。3億円がもらえるはずの期日になっても、来るのは手数料の請求だけ。不審に思って家族に相談し、詐欺と気づいた。署は「手数料を払えば大金がもらえる」は詐欺の可能性が高いと呼びかけている。
8. 実在の投資会社を名乗るSNSアカウントから偽アプリへ 島根・安来市の50代男性、約2カ月半で約1200万円
島根県安来市の50代男性が、SNS型投資詐欺で約1200万円をだまし取られた。報道によって金額は約1200万円、1249万円と表記が分かれる。男性は8月、「儲かる株を紹介する」とうたう、実在の投資会社を名乗るSNSアカウントの人物と知り合った。勧められたのはニセの投資用アプリ。約2カ月半にわたり、指定された口座へ繰り返し入金した。アプリ上には利益が出ているように表示され、男性はそれを信じて入金を続けた。ところが利益を引き出そうとすると、サービス料の名目でさらに送金を求められる。おかしいと感じて警察に相談し、被害が分かった。警察は、SNSで知り合った面識のない人の話を信用せず、高額な支払いを求められたら入金をやめて相談するよう呼びかけている。
9. 通院日数を水増しして保険金77万円 福島市の接骨院院長、服部誉司容疑者(40)が再逮捕、患者の吉田和幸容疑者(32)も
交通事故のけがの通院日数を水増しし、保険金をだまし取ったとして、福島署は4日、福島市の接骨院院長の服部誉司容疑者(40)を再逮捕し、通院していた会社員の吉田和幸容疑者(32)を逮捕した。容疑は、2024年3〜7月分の施術日数を実際より多く申告して保険会社に請求し、77万円余りを受け取ったことだ。服部容疑者は治療費名目で約29万円、吉田容疑者は通院交通費や慰謝料名目で約48万円を受け取っていた。捜査関係者によると、2人は通院した日付を事前にすり合わせていたとみられる。警察は服部容疑者が水増しを持ちかけたとみている。服部容疑者は10月14日にも、別の患者との保険金詐欺容疑で逮捕されており、ほかの患者とも同様の行為を繰り返していた可能性があるとして調べている。
10. TikTokで知り合った女から「チャリティー活動」 岩手・一関市の60代男性、VIP会員費や修復費など72万円
岩手県の一関署が5日に発表した。一関市の60代男性は8月、TikTokで知り合った女とLINEでやり取りするようになり、報酬が出るチャリティー活動を紹介された。次に出てきたのが「支払い担当者」。「VIP会員になれば高額な報酬がもらえる」と持ちかけられ、会員費として7万円を指定口座に振り込んだ。続いて「昇格にはトークグループへの参加が必要」。参加すると、今度は操作ミスをしたとして修復費を請求される。複数回の振り込みで計35万円、さらにPayPayで30万円を送った。被害は合わせて72万円。男性はその後、詐欺に気づいた。署は、電話やSNSで金銭のやり取りが出たら詐欺を疑い、すぐに家族や警察へ相談するよう求めている。
11. 福岡県の71歳男性から1500万円、台湾出身の23歳男を逮捕 山梨では投資名目で2000万円超、32歳の受け子
受け子の逮捕が各地で続いた。福岡県の71歳男性から警察官などになりすまして現金1500万円あまりをだまし取ったとして、台湾出身で職業不詳の23歳の男が詐欺の疑いで逮捕された。警察は匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の関与を視野に捜査している。山梨では、富士河口湖町の男性から「投資」と称して2000万円超を巻き上げたとして、福岡県内の32歳の男が詐欺容疑で捕まった。SNS型投資詐欺の受け子とみられ、調べに対して容疑を否認している。末端の受け子が捕まっても、その背後にいる指示役や組織の全体像は、まだ見えていない。
12. 特殊詐欺グループの指示役か 仙台市の中国籍・高永鑫容疑者(34)を函館中央署が逮捕
北海道の函館中央署は4日、仙台市宮城野区に住む中国籍で自称飲食店経営の高永鑫容疑者(34)を詐欺未遂の疑いで逮捕した。署は、特殊詐欺グループの指示役とみて調べている。被害の詳しい中身や認否は、確認できた範囲では報じられていない。受け子やかけ子が捕まっても、その上に立つ人物にはなかなかたどり着けないのが特殊詐欺の現実だ。指示役とみられる男の逮捕が、組織の上層に迫る一歩になるのか。続報を待ちたい。
13. Microsoftのサポートを装う偽警告、広告経由で80組織の利用者に セキュリティ企業PIXMが分析
セキュリティ企業PIXMが11月2日に公表した。2026年3月から10月の観測で、80の組織に属する利用者が、マイクロソフトの窓口になりすました偽の警告画面を目にしていた。入口は正規サイトに配信されるオンライン広告。クリックすると、Azureの静的Webサイト上の偽ページに飛ばされ、「System Error」「Windows Firewall」の警告と偽のサポートチャット、電話番号が表示される。電話をかけさせるのが狙いだ。表示する番号は別のサーバーから読み込む設計で、通報や停止があっても運営者が番号を入れ替えられる。どの広告枠から何人が来たかを数える計測の仕掛けまで仕込まれていた。ただし、確認されたのは偽ページと運営基盤で、80組織の侵害や金銭被害が確認されたわけではない。
14. 偽造免許証でなりすまし契約が前年の1.3倍 消費者金融アコムが警戒、販売業者は手口を明かした
関西テレビの取材で分かった。大手消費者金融アコムでは、他人になりすました契約が昨年に比べて1.3倍に増えているという。背景にあるのが偽造免許証だ。先月、兵庫県警は犯罪に使われた偽造免許証を公開した。奈良市の20代の男が自分の顔写真を貼って偽造した免許証でレンタカー会社からダンプカーを3回借りたとして、逮捕・起訴されている。京都でも、偽造免許証を会社の採用時に出した50代の会社員の男が逮捕・起訴された。アコムは危機感を強めている。8月には自動契約機で、本人確認の手続き中だった男を警察官が連行する場面もあった。男は以前、偽造の免許証で融資を受けていたことが分かり、警察が張り込んでいた。番組には偽造免許証の販売業者も登場し、「全く他人の身分を奪う方法」だとして手口を語った。
断言する。奴らの武器は「秘密にしろ」の一言だ。
この日、いちばん目立ったのはニセ警察詐欺だった。名古屋の3億円も、柏崎の985万円も、上越の500万円も、芯は同じ。「疑われている」と脅し、「誰にも言うな」と封じ、金を動かさせる。愛知では2週間で10億円超、大半がLINE誘導で、口止めが被害を長引かせている。逆に言えば、気づいたのは家族や郵送されない預かり証といった「外の目」だった。警察庁が動かす口座の全国共有も、外の目を増やす試みだ。警察が現金の紙幣番号や指紋を調べるために金を預かることはない。電話一本で秘密にされた話は、話した時点で負けではない。誰かに話せば、詐欺は崩れる。