【詐欺ニュースまとめ 9/27】茅野の40代、SNS投資で2470万円余り “捜査のため金塊を”8000万円の被害を銀行員が止めた
9/27はSNS型投資詐欺やニセ警察の手口など十数件が報じられた。茅野で2470万円余り、藤枝で350万円とSNS投資の被害が続き、広島では金塊を買わせる手口で8000万円が寸前で守られた。
1. 「増資で高配当」「出金には税金」 茅野の40代自営業者が2470万円余り
長野県茅野市の40代の自営業の男性が、SNS型投資詐欺で現金2470万円余りを奪われた。茅野署が27日に発表した。始まりは6月下旬。SNSで目にした投資の広告を開いたのが入口だった。そこから別のSNSへ連れていかれる。待っていたのは、投資の指南役などを名乗る相手だ。「増資すれば、もっと高い配当が出る」。そうあおって入金を重ねさせた。利益を引き出そうとすれば、今度は「出金の前に税金を払え」。出したいカネを人質に、さらにカネを入れさせる。奴らの常套句である。最後は再び増資を迫られ、男性はようやく不審を抱いたという。広告から別のSNSへ、指南役が現れ、出金には税金。この流れは、もはや完成されたテンプレートだ。画面に並ぶ「利益」は、引き出せた瞬間までただの数字にすぎない。
2. 「捜査のため金塊を」 8000万円の購入を止めた広島銀行の行員2人
狙われたのは金塊だった。8月4日、広島銀行宮内支店(廿日市市)に来た70代の女性が、金を扱う業者へ5000万円を振り込みたいと申し出た。額の大きさに引っかかった女性行員が支店長に相談し、警察へ通報。別の金融機関で進めていた3000万円分の取引もキャンセルされ、計8000万円が守られた。厄介なのは、振り込みそのものは正規の業者から金塊を買うためのもので、違法な点がなかったことだ。表面上は、ただの金の購入。事情を聴くうちに、警視庁の警察官を名乗る人物とのLINEのやり取りが見つかり、ようやく特殊詐欺と分かった。手口はこうだ。捜査を名目に正規の業者から金塊を買わせ、自宅の軒先などに置かせる。それを詐欺グループ側が持ち去る。行員2人は、客の焦りや手書きのメモといった違和感に日ごろから目を配っているという。廿日市署は2人に感謝状を贈った。
3. 郵便局員→兵庫県警→検察官 和歌山市の70代女性、自宅で620万円を手渡し
またこの流れだ。9月中旬、和歌山市の70代の女性の自宅に、郵便局員を名乗る電話が入った。あなた宛ての荷物から通帳やキャッシュカードが見つかった、という。心当たりはないと答えると、電話は兵庫県警を名乗る人物に代わる。捕まえた犯人があなたの名前を口にしている。共犯を疑うそぶりで揺さぶりをかけた。仕上げに出てきたのが検察官を名乗る人物だ。手元の現金を調べる必要があるとして、預貯金を下ろすよう指示した。女性は言われるまま、預貯金を合わせて620万円を引き出し、封筒に入れ、家に来た男に渡した。そこから相手とは連絡がつかない。知人に相談して詐欺に気づき、警察に届け出た。和歌山東署が特殊詐欺事件として捜査している。郵便局、警察、検察。公的な肩書きを次々と繰り出す劇場型だ。警察や検察が、現金を家まで受け取りに来ることはない。
4. 自分のいるコンビニの地名が読めない男 タクシー配車係の違和感が「受け子」を捕らえた
8月26日、長野県須坂市。法律事務所の職員になりすました40代の男が民家を訪れ、80代の女性から現金200万円をだまし取った。男はそのまま市内のタクシー会社に配車を頼む。電話を受けた配車係が首をかしげた。男は自分がいるコンビニの地名を読めない。店員に尋ねることもなく、番地だけを繰り返す。居場所を伝えようとしない客。配車係は運転手に、服装などをよく覚えておくよう頼んだ。運転手は世間話をしながら、ミラー越しに服装や人相、持ち物を頭に刻んだ。男は須坂駅で降りた。配車の依頼から30分後、被害を知った警察から、タクシーが使われた可能性が高いと照会が入る。運転手が覚えていた特徴をもとに、男はその日のうちに詐欺容疑で緊急逮捕された。須坂署管内の被害は8月末までに12件、約4000万円(暫定値)。件数も額も前年同期の倍だ。
5. 「プラン変更に1000万円」で家族が気づいた 藤枝の60代講師、FXアプリで350万円
静岡県藤枝市の60代の男性が、SNS型投資詐欺で現金350万円をだまし取られた。男性は高校の非常勤講師。8月8日、SNSで知り合った相手に外国為替取引のアプリを勧められ、ダウンロードした。画面の上では、儲けが出ていることになっている。そう信じ込まされ、8月27日までに指定の銀行口座へ7回、計350万円を振り込んだ。転機は奴らの欲だった。投資のプランを変えないか、変更には1000万円がいる。額が一気に跳ね上がったところで、男性は家族に打ち明けた。家族が詐欺を疑い、警察に相談して発覚した。アプリに表示される数字は、奴らがいくらでも動かせる。まっとうな投資で、個人名義の口座へ振り込ませることはない。警察もそう注意を促している。
6. 「融資を受けたい」でキャッシュカードを郵送 76歳の静岡市職員を逮捕
静岡市環境局で働く76歳の会計年度任用職員の男が、犯罪収益移転防止法違反の疑いで逮捕された。容疑は9月2日、融資を受けるつもりで、自分名義のキャッシュカード1枚を、SNSで知り合った“金融業者”に郵便で送って渡したというもの。男は相手がSNSで指定した静岡市内のポストにカードを投函し、翌日にはSNSで暗証番号まで伝えていた。発覚は25日。口座の不審な送金に気づいた金融機関が警察に通報した。男は容疑を認めているという。警察は、この口座が特殊詐欺の送金先に使われた可能性も視野に調べている。カネを借りるつもりが、詐欺のカネの通り道を差し出す側に回っていた。カードを送れば融資する、という話はそれ自体が罠だ。そして渡した側も罪に問われる。市の総務局長は、事実関係を確認したうえで厳正に対処するとコメントした。
7. 熟年離婚、定年、めったに鳴らないスマホ 70代の法学者が925万円
東京新聞の連載が、ロマンス詐欺で925万円を失った70代の法学者の体験を取り上げた。長年連れ添った妻とは熟年離婚し、古いマンションで一人暮らし。定年から数年が過ぎ、めったに鳴らなくなっていたスマートフォンに届いた通知が始まりだった。相手は中国に住むという女性。画面越しのやり取りの中で、男性は「兄さん」と呼ばれ慕われるようになり、少しずつ警戒を解いていった。その先に待っていたのが925万円の被害だ。法律の専門家であっても、孤独の隙間を突かれれば崩れる。奴らが見ているのは、相手の知識の量ではない。心に空いた穴の大きさだ。
8. 「退職した今だから話せる」偽の社員証・退職証明書でLINEへ 村田製作所も注意喚起
有名企業の「元社員」になりすまして投資に誘う手口が広がっている。9月25日には村田製作所が公式Xで、社名に似たロゴを使った「退職証明書」がSNSに出回っていると警告し、自社が発行したものではないと否定した。読売新聞は9月3日、キオクシアホールディングスや野村證券、三菱重工業などの社員・元社員を装う投稿を確認したと報じている。社員証や資格証明書に見せかけた画像を添え、辞めたから話せる、業界が長いから分かる、と内部事情通を演じる。そして値上がりしそうな銘柄を知っているとして、LINEへ誘い込む。キオクシアや野村側は、投稿の人物は在籍していないと答えた。これらの投稿による金銭被害は公表されていない。ただ、SNS型投資詐欺は今年上半期だけで5893件、797億9000万円(警察庁)。肩書きと証明書は、奴らにとって一番安い小道具だ。
9. 大量注文のあと「別の業者から買って」 韓国の“ノーショー詐欺”半年で約133億円
韓国で、公的機関や軍の部隊の関係者を装って自営業者を狙う「ノーショー詐欺」が急増している。大口の注文をちらつかせたうえで、指定する業者から別の品物を代わりに仕入れてほしいと頼み、その代金を前払いさせてだまし取る手口だ。与党議員が警察庁などから得た資料によると、今年1〜6月の被害額は暫定で1155億ウォン(約133億円)。昨年1年間の9割を超えた。件数は3936件で昨年通年の6割ほどだが、1件あたりの被害は約2934万ウォン(約339万円)と5割以上膨らんだ。地域別の最多は京畿南部。ソウルは半年で昨年通年を上回った。上半期に摘発された容疑者は600人で、昨年通年の561人をすでに超えている。8月には、ベトナムを拠点に631人から243億ウォンをだまし取った疑いのある組織の7人が韓国へ送還された。
10. 手口を知っていても4割が「本物」と信じた ニセ警察、20〜30代は5割超
警察官を名乗る不審な電話を受けたことのある25〜69歳の360人に聞いた調査を、トビラシステムズが公表し、Forbes JAPANが伝えた。電話の時点で、ニセ警察詐欺を「手口まで知っていた」「名前は聞いたことがあった」人は合わせて92.8%。それなのに、相手を本物の警察官だと思った、あるいは途中まで思っていた人は37.5%にのぼった。年代別では、20〜30代の5割以上が一時的にでも信じていた。40代以上は、最初から疑った人が7割を超える。信じた理由の最多は、事件や逮捕の話をされて動揺したこと。自分の氏名や住所を相手が知っていた、話がもっともらしかった、が続く。警察庁によると、今年上半期のニセ警察詐欺の被害額は507億9000万円。知識は盾にならない。動揺させた時点で、奴らの勝ちなのだ。
11. 新潟は7月末で19億円超、愛知は過去最悪の約215億円 “最悪”が並ぶ
新潟県内で今年7月末までに確認された特殊詐欺の被害額は19億6600万円余り。去年の同じ時期の1.7倍近くに達し、過去最悪のペースだとNHKが報じた。愛知県では、県内の被害が過去最悪の約215億円にのぼると伝えられた。尾張旭市では「知らない電話ムシ」「あやしいメールムシ」の語呂合わせで、スズムシを配って注意を呼びかける取り組みまで行われている。長野県の須坂署管内も、8月末までの被害が前年同期の倍だ。どの地域の数字にも「最悪」の二文字が並ぶ。
12. 「レターパックから大麻」 八女市・広川町で郵便局員を名乗る電話が相次ぐ
福岡県の八女市と広川町で、郵便局員を名乗る不審な電話が複数かかっていると西日本新聞が報じた。レターパックから大麻が見つかった、などと身に覚えのない話を持ちかける内容だという。和歌山市で620万円が奪われた事件も、入口は郵便局員を名乗る電話だった。荷物から不審な物が出たと告げ、警察や検察を名乗る人物へ電話をつなぐ。この流れは各地で繰り返されている。郵便局員から突然、あなたの荷物に違法な物が、と電話が来た時点で疑ってかかるべきだ。
断言する。肩書きは、何ひとつ証明にならない。
郵便局員、兵庫県警、検察官。法律事務所の職員。投資の指南役。有名企業の元社員。金融業者。この日報じられた事件に登場した肩書きは、どれも奴らが勝手に名乗ったものだ。社員証も退職証明書も、画面に並ぶ利益の数字も、作ろうと思えばいくらでも作れる。手口を知っていても、4割が一度は本物だと信じた。だから知識だけでは足りない。カネや金塊、カードの話が出た瞬間に、相手の肩書きではなく、話の中身を疑うこと。警察は金塊を軒先に置かせない。まっとうな投資は個人の口座に振り込ませない。融資のためにカードを送らせる業者はいない。そして、ひとりで決めない。藤枝で被害を止めたのは家族のひと言であり、広島で8000万円を守ったのは窓口の違和感だった。