【詐欺ニュースまとめ 9/25】“警視庁”を名乗る電話で福島の70代が7300万円 ニセ社長のメールは2時間で5390万円
約130本の詐欺報道から16件。警察官を名乗る電話で福島の70代が7300万円、社長を装うメールで静岡の施設が2時間に5390万円。暗号資産や交際あっせんの被害も目立った。
1. 「荷物に金塊が入っていた」 送られてきたスマホで、福島の70代が7300万円
福島市の70代男性が、現金およそ7300万円を奪われた。電話の主が名乗ったのは「警視庁捜査第二課の職員」。切り出しは、あなた宛ての荷物に金塊が入っていたという話。さらに個人情報が不正に使われていると畳みかけ、身の潔白を証明したければ指定の口座に金を振り込めと迫った。仕掛けはここからだ。男性の自宅には、スマートフォンが送られてきていた。男性はその端末で金融機関のアプリを操作し、言われるままに振り込んだ。合わせて7300万円。電話一本で始まり、送金の道具まで向こうが用意する。これが今の“ニセ警察”のやり口だ。警察は、捜査機関が指定口座への振り込みをさせることは絶対にないと強調している。潔白を証明する方法が「送金」であるはずがない。
2. カンボジアの拠点から“ニセ警察”の電話 かけ子の男女2人逮捕、総額2億4000万円相当か
舞台は海の向こう、カンボジアの特殊詐欺拠点。そこから日本へ電話をかけていたとみられる「かけ子」の男女2人を、警視庁が逮捕した。いずれも30代で職業不詳。名乗ったのは警察官など。ウソの電話で信じ込ませ、暗号資産を送らせる。“ニセ警察詐欺”の典型だ。逮捕容疑は、都内の会社役員をだまし、暗号資産およそ8000万円相当を奪った疑い。2人が関わったとみられる被害は、あわせて2億4000万円相当の暗号資産にのぼる。国外の拠点、暗号資産、日本語の電話。この3点セットが、奴らの逃げ道になってきた。拠点の場所が海外でも、電話をかけた人間は特定される。今回の逮捕は、その一例だ。
3. 「LINEで業務連絡を」社長の名前のメール わずか2時間で5390万円
始まりは8月3日、1通のメールだった。差出人の欄には社長の名前。業務の連絡はLINEでするから先にグループを作れ、という趣旨の指示だった。静岡市の介護施設で管理者を務める56歳の男性は、QRコードを返信した。社長本人に電話して確かめようとしたが、つながらない。グループに現れた“社長”は経理担当者も招くよう命じ、入金の予定があると言って振込先を送ってきた。最初は990万円。要求は止まらず、4回で計5390万円。この間、わずか2時間。違和感を覚えてメールを見直すと、送り元は見知らぬGmailのアドレスだった。いわゆる「ビジネスメール詐欺」。静岡県警には、本部長を名乗る同じ型のメールまで届いたという。県警は、送金時の合言葉や、別ルートでの確認といった社内の決まりごとを作るよう勧めている。
4. 郵便局員→大阪府警→検事 各務原の70代女性、12回で暗号資産3929万円相当
岐阜県各務原市の70代女性が奪われたのは、暗号資産約4000万円相当と現金200万円。8月13日、自宅の電話が鳴った。最初は郵便局員。続いて大阪府警の警察官、そして検事。肩書きが次々と入れ替わる、お決まりのリレーだ。告げられたのは、犯罪収益の一部を受け取った疑いがあり、金の出どころを捜査しているという話。資産を確認する必要がある、とも。女性は指示に従い、12回にわたって送金を繰り返した。内訳は暗号資産3929万円相当と現金200万円。相手と連絡が取れなくなって初めて不審に思い、警察に相談。事件が明るみに出た。“資産の確認”を名目に、現金ではなく暗号資産を送らせる。ここでも、被害の大半は暗号資産だった。
5. 出会い系の“女”の連絡先を知りたくて 松山の40代会社員が約2030万円
入口は携帯に届いたURLだった。5月下旬、松山市の40代の会社員男性が出会い系サイトに登録しようとすると、登録費用の名目で電子マネーを求められた。コンビニで買った約10万円分の番号を伝えた。サイトで紹介された女とメッセージや電話を重ねるうち、男性は好意を抱く。女の連絡先を教えてほしい。そう頼んだ瞬間から、奴らの請求が本格化した。認証手続きなど、名目は次々と変わる。6月1日から7月16日までに、現金約280万円を振り込み、暗号資産約1740万円分を送った。被害は合計で約2030万円分。回数は報道により異なり、31回とも28回とも伝えられている。気づいたのは本人ではなく金融機関だった。不自然な口座の出入りを警察に知らせ、被害が分かった。いわゆる“交際あっせん詐欺”。相手は最後まで会おうとしない。
6. 実在の病院を名乗り「抗菌剤を立て替えて」 松山で400万円、宮城でも被害相次ぐ
狙われたのは、工事を請け負う側だ。松山市では今月3日、外装塗装などを手がける男性に、市内に実在する病院の副院長を名乗る男から塗装工事の依頼が入った。ついでに頼まれたのが、施設で使う抗菌剤などの立て替え購入。代金は工事代と一緒に払うという。男性は指示された業者に発注し、ネットバンキングで約400万円を振り込んだ。宮城県でも同じ型の被害が出ている。7月、県内の建設業者に、取引先の不動産業者から病院がリフォーム業者を探していると話が回ってきた。院長を名乗る人物は、病院では直接取引ができないとして抗菌剤の購入を依頼。1本あたり数千円を上乗せして買い取ると持ちかけた。業者は約200万円を振り込んだが、振込先が個人口座だったことで不審に思い、病院に確かめて発覚。宮城県内では9月17日までに同様の被害がほかに2件ある。
7. 【続報】司法取引が使われた事件、実行役に拘禁刑3年4カ月の実刑
“トクリュウ”の関与が疑われる広島県福山市の詐欺事件。広島地裁福山支部は25日、実行役とされた松本雅子被告(55)に拘禁刑3年4カ月の実刑判決を言い渡した。去年7月、別の人物と共謀し、金に見せかけた模造品を買取専門店に持ち込んで現金をだまし取るなどした罪。起訴は6つの事件に及ぶ。弁護側は本物の金だと思っていたとして、一部について無罪を主張していた。だが裁判官は、面識のない人と一緒に売りに行く時点で違法を疑うべきだと退けた。判決は、SNSで知り合った人物から100万円の報酬を約束されていたとも指摘。被告は法廷で、上の人を信用してやったことを後悔していると述べた。この事件では、共犯者の元被告に検察が司法取引を適用し、すでに執行猶予付きの判決が出ている。警察はその供述などをもとに暴力団組員らを逮捕し、捜査を続けている。
8. 広島、8か月で39億3500万円 8月は“3つの手口”が97%
広島県内の特殊詐欺被害は、8月末時点で約39億3500万円。去年の同じ時期より6億円近く多く、過去最悪を上回るペースで膨らんでいる。中身を見ると、偏りは極端だ。8月1か月の被害額は5億3300万円あまり。そのうち97%を、ニセ警察詐欺、SNS型投資詐欺、SNS型ロマンス詐欺の3つが占めた。なかでもニセ警察は約3億6200万円で、月ごとの被害額として今年最大となった。警察を名乗る電話、SNSのもうけ話、そして恋愛感情。奴らの入口は、ほぼこの3本に絞られている。県警は、年末にかけて被害が増える傾向があるとして、公式防犯アプリ「オトモポリス」の活用などを呼びかけている。
9. 7月末で2108億円、前年より632億円増 急拡大は「交際あっせん」と「金融商品」
警察庁が、7月末時点の特殊詐欺の認知・検挙状況(暫定値)をまとめた。認知件数は2万6051件で、前年同期から3709件増。被害額は2108.1億円で、632.8億円も増えた。件数で最も多い手口はSNS型投資詐欺。ニセ警察詐欺、SNS型ロマンス詐欺が後に続く。被害額でもSNS型投資詐欺が突出し、ほかの手口の3倍以上に達した。伸び方で目を引くのが、交際あっせん詐欺と金融商品詐欺。どちらも急拡大しているという。出会い系サイトで“女性の連絡先”を餌に費用を積ませる交際あっせん型は、この日報じられた松山の事件そのものだ。統計の上でも、足元の被害の上でも、同じ流れが見えている。
10. 口座情報をその日のうちに共有、70件超を凍結 京都府警と金融機関の“京都モデル”
奴らは、だまし取った金を口座から口座へと素早く逃がす。それに追いつくための仕組みが京都で動いている。京都府警と金融機関が口座情報を即時に共有する「京都モデル」だ。昨年12月に始まり、振込先などに使われた口座を70件以上凍結して、被害金の引き出しを止めた。今年1月には、副業の準備金名目で数百万円を送ってしまったという相談があった。被害金は4つの口座に分けられていたが、参加銀行がその日のうちに移転先の情報を出して口座を凍結。出金はすべて防げたという。以前は書面でのやり取りが中心で、回答まで数日から数週間かかることもあった。今は電話やメールで照会し、オンラインで即座に答えが返る。ATMの場所も早く分かり、防犯カメラの映像が消える前に出し子とみられる男を特定した例もある。参加は当初の10行から25団体に増えた。
11. “保釈金”と“口座の確認” 青森の20代と石川の70代、ともに420万円
同じ420万円。狙われた相手の年齢は大きく違う。青森県の20代男性には8月23日、銀行関連会社の社員を名乗る男から、クレジットカードが徳島県内で不正に使われていると電話が入った。続いて徳島県警の警察官を名乗る男が、マネーロンダリングに加担した疑いがあると迫る。やり取りはメッセージアプリのSignalへ移り、身柄を拘束しない調査には保釈金が要ると言われた。26日、男性は420万円を振り込んだ。9月10日、同じ相手から話はすべてうそだったと告げられ、ようやく被害に気づいた。石川県宝達志水町の70代女性には8月3日ごろ、兵庫県警を名乗る男から電話。スマートフォンを買うよう促され、LINEで金を調べる必要があると指示された。女性は8日から30日ごろにかけ、宅配便で何度も現金を送った。他県警からの連絡で被害が分かった。
12. 「ハッキングされた」と信じ込ませ約100人から1600万ドル コインベース利用者狙った23歳に最大12年
標的は暗号資産取引所コインベースの利用者だった。ニューヨーク・ブルックリンのロナルド・スペクトル被告(23)が、フィッシングとソーシャルエンジニアリングで約100人から約1600万ドルを奪ったとして罪を認め、最大12年の刑を言い渡された。手口は1年以上続いた。アカウントがハッキングされたと被害者に信じ込ませ、被告が管理する口座へ資産を移させる。奪った暗号資産は複数の取引所で別の通貨に換えられ、賭けにも使われ、現金化してギフトカードなどに変えるという形で洗浄されていた。約1600万ドルの賠償と、50万ドル以上とされる資産の没収も命じられた。地区検事は、コインベースなど多くの企業が客に電話をかけたり、“安全なウォレット”への移動を求めたりすることはないと警告している。
13. 20回の結婚と離婚、名乗った姓は14 熊本で“ネームロンダリング”詐欺
名字が変われば、足取りは追いにくくなる。熊本県で、婚姻制度を悪用した「ネームロンダリング」の詐欺事件が確認された。熊本中央署が5月に逮捕したのは、自称福岡市の無職の50代の男。2022年8月から9月上旬ごろ、熊本市東区の自動車販売店で、代金を払う意思がないのに分割払いで中古車1台(販売価格170万円)をだまし取った疑い。男は代金は払うつもりだったと否認している。県警の調べでは、男は2008年ごろから結婚と離婚を計20回繰り返し、14もの姓を名乗っていた。購入時は職業や年収も偽り、再発行した運転免許証で店の本人確認をすり抜けた疑いがある。県外の系列店でも少なくとも4件の被害。姓が変わると照会に時間がかかり、捜査は遅れる。それでも自治体は、書類に不備がなければ届けを拒めない。
14. 自分の店が入るビルに火、保険金狙いか 旭川の53歳を詐欺未遂で送検
旭川市の繁華街で去年11月、飲食店ビルが全焼した。火をつけたとして今年8月に逮捕されていたのは、そのビルに店を構える経営者本人。旭川市の無職、向口洋昭容疑者(53)だ。警察は今回、損害保険金をだまし取ろうとした詐欺未遂の疑いで逮捕し、送検した。容疑者は2025年11月19日、自分の店が入る3条通6丁目の飲食店ビルに火を放ち、全焼させた疑いが持たれている。放火と詐欺未遂、いずれの容疑も認めているという。警察は保険金目当ての放火とみて捜査を進めている。燃えたのは自分の店だけではない。ビルが丸ごと焼けた。
15. 「闇バイトを紹介して」の頼みを仲介 奈良の2600万円事件で19歳の女を逮捕
今年3月、奈良県内の高齢の男女3人などが、あわせて2600万円をだまし取られた特殊詐欺事件。高田署は、実行役を犯行グループへとつないだ「リクルーター役」として、兵庫県姫路市に住む無職の19歳の女を、職業安定法違反と詐欺の疑いで逮捕した。調べでは、すでに逮捕されている兵庫県加古川市の当時18歳の女から闇バイトの仕事を紹介してほしいと頼まれ、知人の男を通じて犯行グループに引き合わせた疑い。女は容疑を認めているという。割り出しの決め手は、携帯端末の通信履歴だった。警察は背後関係を調べている。実行役、仲介役、そしてその上。10代が10代を詐欺の現場へ送り込み、指示役は姿を見せない。この鎖の上をたどれるかどうかが問われている。
16. 「首謀者」の証拠を集めている カンボジアの詐欺対策トップが語った
詐欺拠点の取り締まりを進めるカンボジア。政府の詐欺対策委員会のトップがロイターの取材に応じ、大型事件の「首謀者」とみられる容疑者らについて証拠を集めていると明かした。首都プノンペンで開かれた国際的な詐欺対策会議の合間のことだ。法的措置には時間と証拠が要ると述べ、各国からの情報で一部の容疑者に対応できたとする一方、早く公表すれば逃亡の恐れがあると説明した。背景には、取り締まりが黒幕まで届いていないという批判の高まりがある。カンボジアは先月、大規模な拠点を根絶したと宣言したが、専門家は懐疑的だ。米国によれば、この地域の詐欺拠点が2024年に米国人からだまし取った額だけで100億ドル。拠点は潰したと言う。だが同じ日、日本では、カンボジアの拠点から電話をかけていたとされる男女が逮捕されている。
断言する。肩書きは証明にならない。確かめる電話は、自分からかけろ
この日並んだ事件の多くは、相手が“名乗った肩書き”だけで信用を勝ち取っている。警視庁捜査第二課、大阪府警、検事。社長。実在する病院の副院長。どれも電話やメールやLINEの向こうで名乗っただけで、本物だという証拠は一つもない。それでも福島では7300万円、静岡では2時間で5390万円が消えた。対抗策は単純だ。相手が教えた番号でも、送られてきた端末でもなく、自分で調べた正規の連絡先にかけ直す。つながらなければ、送らない。警察が口座への振り込みを求めることはない。社長の指示なら、社長本人の番号で確かめればいい。「身の潔白」も「立て替え」も「認証費用」も、確かめる前に払えば、そのまま奴らの手に渡る。